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【お知らせ】令和4年夏季休業のお知らせ
当事務所は、令和4年8月12日(金)から令和4年8月15日(月)まで、夏季休業とさせていただきます。
8月16日(火)からは通常通り営業いたします。

東武東上線・有楽町線・副都心線・武蔵野線沿線を中心に、新座市・志木市・朝霞市・和光市などの地域で、離婚・相続・借金問題・交通事故など、暮らしに身近なご相談を多くお受けしています。事前予約で平日夜間や土日祝のご相談にも対応。法律を身近に感じていただけるよう、丁寧な説明と親身な対応を心がけています。お困りごとがあれば、どうぞ気軽にご相談ください。
【相続・遺言】被相続人の療養看護と寄与分・特別寄与料
相続人が被相続人の介護等の療養看護をしていた場合、その相続人には寄与分が認められることがあります。
また、相続人の配偶者等相続人以外の被相続人の親族が被相続人の療養看護をしていた場合には、その親族には特別寄与料が認められることがあります。
一 療養看護と寄与分
1 寄与分の制度
共同相続人の中に、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした相続人がいる場合は、その相続人の相続分を算定する際に寄与分が加算されます(民法904条の2)。
寄与分は共同相続人間の公平を図る制度です。
2 どのような場合に寄与分が認められるか
相続人が被相続人の介護等の療養看護をしていた場合、その療養看護が「被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与」にあたるときは、療養看護をした相続人に寄与分が認められます(民法904条の2第1項)。
(1)特別の寄与
特別の寄与といえるには、被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を超えることが必要です。
被相続人に療養看護の必要性がある場合(要介護度が2以上が目安となります。)に無償(又は無償に近い状況)で、相当な期間継続して、専従して被相続人の療養看護を行っていたことが必要となります。
療養看護の必要性がなかった場合、相当な対価を得ていた場合、ごく短期間の場合、片手間で行っていた場合には、特別の寄与とはいえません。
(2)被相続人の財産の維持又は増加
療養看護により被相続人の財産が維持又は増加したことが必要となりますから、療養看護により看護費用の支出を免れたことが必要となります。
療養看護により被相続人が精神的に楽になったというだけでは足りません。
3 寄与分額
寄与分額は、まずは当事者間の協議で定めます。協議が調わないとき又は協議ができないときは、家庭裁判所が、寄与者の請求により、寄与の時期、方法及び程度,相続財産の額その他一切の事情を考慮して定めます(民法904条の2第2項)。
寄与分は、被相続人が相続開始時に有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることはできません(民法904条の2第3項)。
療養看護の場合、寄与分額は、報酬額(日当)に療養看護した日数を乗じた金額に裁量割合を乗じて計算するのが一般的です。
寄与分額=報酬額×療養看護の日数×裁量割合
報酬額は、介護保険の介護報酬基準額によります。
療養看護の日数については、基本的に被相続人が要介護2以上の状態になっていた期間です。被相続人の入院期間や施設入所期間、介護サービスを受けていた期間は療養看護の日数から除かれます。
相続人による療養看護は職業人による療養看護ではないこと、親族として扶養義務があること等から、寄与分額を算定するにあたって裁量割合を乗じて減額されます。
二 療養看護と特別寄与料
1 特別寄与料の制度
相続法の改正(2019年7月1日施行)により、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務を提供して被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした被相続人の親族は、相続開始後、相続人に対し寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払を請求することができるようになりました(民法1050条)。
なお、改正前は、相続人の配偶者等の親族が被相続人の療養看護を行っていた場合には、相続人の履行補助者による療養看護と評価して相続人の寄与分と認められることがありました。改正後もこのような扱いをすることはできると考えられています。
2 特別寄与料の要件
特別寄与料が請求できるのは、①被相続人の親族(相続人、相続放棄をした人、欠格・廃除により相続権を失った人は除かれます)が、②被相続人に対して無償で療養看護その他の労務を提供したことにより、③被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした場合です(民法1050条1項)。
3 特別寄与料の額
特別寄与者は寄与に応じた額の金銭の支払を請求することができます(民法1050条1項)。
特別寄与料の支払については、まずは当事者間の協議で定めます。協議が調わないとき又は協議ができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができ(民法1050条2項)、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して特別寄与料の額を定めます(民法1050条3項)。
特別寄与料の額は、被相続人が相続開始時に有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることはできません(民法1050条4項)。
相続人が複数いる場合には、各相続人は、特別寄与料の額に法定相続分又は指定相続分を乗じた額を負担します(民法1050条4項)。
具体的な特別寄与料の金額の算定については、寄与分の場合の算定方法が参考となります。
4 請求期間
特別寄与者が家庭裁判所に協議に代わる処分を請求することができるのは、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月以内または相続開始時から1年以内です(民法1050条2項但書)。
権利行使できる期間は短期間なので注意しましょう。

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【交通事故】年少者の逸失利益
幼児や学生等の年少者が交通事故被害にあい、後遺症が残ったり、亡くなったりした場合、後遺症逸失利益や死亡逸失利益はどのように計算するのでしょうか。
一 年少者の後遺症逸失利益
1 後遺症逸失利益の計算方法
後遺症逸失利益とは、交通事故による後遺症が残存しなければ、被害者が就労して得られた収入のことです。
後遺症逸失利益は、被害者の収入(基礎収入)が労働能力の低下の割合(労働能力喪失率)に応じて減少するものと推定します。
また、後遺症逸失利益の賠償は一時金払いが通常であり、一時金払いの場合には中間利息を控除します。中間利息の控除は、ライプニッツ係数を用いるのが通常です。
このようなことから、後遺症逸失利益は以下の計算式で算定します。
後遺症逸失利益=基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間のライプニッツ係数
交通事故被害にあった年少者が未就労であっても、将来、就労して収入が得られるものと考えられることから、後遺症により労働能力が喪失した場合には後遺症逸失利益が損害と認められます。
労働能力喪失期間については、原則として18歳から67歳まで就労可能であるとされていますので、症状固定時に18歳未満の年少者の場合には、逸失利益は以下の計算式で計算します。
後遺症逸失利益=基礎収入額×労働能力喪失率×(症状固定時の年齢から67歳になるまでの期間のライプニッツ係数-症状固定時の年齢から18歳になるまでの期間のライプニッツ係数)
基礎収入については、賃金センサスの産業計、企業規模計、学歴計、男女別の全年齢平均の平均賃金とするのが原則です。
なお、女子年少者については、女性の平均賃金ではなく、男女を含めた全労働者の平均賃金で算定されることもあります。
2 大学・大学院を卒業する蓋然性がある場合
年少者が大学(大学院)を卒業する蓋然性がある場合には、賃金センサスの産業計、企業規模計、大学卒(大学院卒)、男女別の全年齢平均賃金を基礎収入とすることもありますが、労働能力喪失期間は大学(大学院)卒業時の年齢が始期となります。その場合、後遺症逸失利益は以下の計算式で計算します。
後遺症逸失利益=基礎収入額×労働能力喪失率×(症状固定時の年齢から67歳になるまでの期間のライプニッツ係数-症状固定時の年齢から大学(大学院)卒業時までの期間のライプニッツ係数)
二 年少者の死亡逸失利益
1 死亡逸失利益の計算方法
死亡逸失利益とは、交通事故により亡くならなければ、被害者が就労により得られた収入のことです。
被害者は亡くなったことにより収入を得られなくなった一方、生きていれば発生していた生活費の負担を免れることになりますので、生活費を控除します。
また、死亡逸失利益の賠償は一時金払いによることが通常であり、中間利息を控除します。中間利息の控除は、ライプニッツ係数を用いるのが通常です。
このようなことから、死亡逸失利益は以下の計算式で算定します。
死亡逸失利益=基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能期間のライプニッツ係数
交通事故被害にあった年少者が未就労であっても、将来、就労して収入が得られるものと考えられることから、交通事故により亡くなった場合には死亡逸失利益が損害と認められます。
就労可能期間については、原則として18歳から67歳まで就労可能であるとされていますので、死亡時に18歳未満の年少者の場合には、逸失利益は以下の計算式で計算します。
死亡逸失利益=基礎収入額×(1-生活費控除率)×(死亡時の年齢から67歳になるまでの期間のライプニッツ係数-死亡時の年齢から18歳になるまでの期間のライプニッツ係数)
基礎収入については、賃金センサスの産業計、企業規模計、学歴計、男女別の全年齢平均の平均賃金とするのが原則です。
なお、女子年少者については、女性の平均賃金ではなく、男女を含めた全労働者の平均賃金で算定されることもあります。
生活費控除率については、男性の年少者よりも女性の年少者の方が低くなります。なお、女性の年少者の基礎収入を全労働者の平均賃金とする場合には、女性の平均賃金とする場合よりも生活費控除率が高くなる傾向があります。
2 大学・大学院を卒業する蓋然性がある場合
年少者が大学(大学院)を卒業する蓋然性がある場合には、賃金センサスの産業計、企業規模計、大学卒(大学院卒)、男女別の全年齢平均賃金を基礎収入とすることもありますが、就労可能期間は大学(大学院)卒業時の年齢が始期となります。その場合、死亡逸失利益は以下の計算式で計算します。
死亡逸失利益=基礎収入額×(1-生活費控除率)×(死亡時の年齢から67歳になるまでの期間のライプニッツ係数-死亡時の年齢から大学(大学院)卒業時までの期間のライプニッツ係数)

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【相続・遺言】遺産分割の付随問題
遺産分割に付随する問題として、①使途不明金、②遺産収益、③遺産管理費用、④葬儀費用、⑤相続債務、⑥祭祀承継等について争いとなることがあります。
第1 使途不明金
1 相続開始前の預貯金の引出し
被相続人の預貯金の口座から使途不明の引出しがある場合、誰が引出し、何に使われたのか共同相続人間で争いとなることがあります。
被相続人が自分で引き出して使用した場合や被相続人以外の人が引き出した場合であっても被相続人のために適正に使用された場合には基本的に問題とならないでしょうが、そうでない場合には、被相続人は預貯金を引き出した人に対し損害賠償請求または不当利得返還請求ができることがあります。
これらの請求権は相続開始後は相続財産になりますが、可分債権であり、相続開始により各共同相続人に法定相続分に応じて当然に分割されるため、遺産分割の対象とはなりません。
遺産分割の対象とならない場合であっても、共同相続人全員で合意ができれば、遺産分割手続の中で解決することもできますが、合意ができない場合には、民事訴訟等で解決することになります。
なお、引き出した預貯金が別の相続財産として存在している場合には、その財産の種類によって、遺産分割の対象となること(現金として残っている場合)もあれば、可分債権として各共同相続人の法定相続分に応じて当然に分割されること(貸付金に当たる場合)もあります。
また、引き出された預貯金の使途が被相続人から相続人への贈与である場合には特別受益の問題となることもあります。
2 相続開始後の預貯金の引出し
相続開始後に被相続人の預貯金が引き出された場合、相続人は預貯金を引き出した人に対し、損害賠償請求または不当利得返還請求ができることがあります。
これらの請求権は相続開始後に発生したものであり、相続財産ではありませんので、遺産分割の対象とはなりません。
遺産分割の対象とならない場合であっても、相続人全員で合意ができれば、遺産分割手続の中で解決することもできますが、合意ができなければ、民事訴訟等で解決することになります。
なお、引き出した預貯金を相続債務、葬儀費用、遺産管理の費用の支払いにあてた場合であっても、これらは遺産分割の対象とはなりませんので、相続人全員の合意ができなければ民事訴訟等で解決を図ることになります。
また、相続法の改正により、遺産分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲についての規定(民法906条の2)が設けられ(2019年7月1日施行)、施行日以降に開始した相続については、共同相続人全員の同意がある場合(相続人の一部が財産を処分した場合には、その相続人の同意は不要です。)には、遺産分割前に処分された財産について遺産として存在するものとみなして、遺産分割の対象とすることができます。
第2 遺産収益
相続開始後に遺産から発生する収益や果実のことを遺産収益といいます。
遺産である不動産の賃料収入、株式の配当金、預貯金の利息等がこれにあたります。
遺産収益は相続財産ではないため、遺産分割の対象とはならないのが原則です。
共同相続人間で分配について争いがある場合には不当利得返還請求訴訟等の民事訴訟手続で解決することになります。
ただし、遺産分割の当事者が合意すれば、遺産分割の対象とすることができます。
第3 遺産管理費用
相続開始後に遺産を管理するために生じた費用のことであり、遺産である不動産の固定資産税、火災保険料等がこれにあたります。
遺産管理費用は相続財産ではないため、遺産分割の対象とはならないのが原則です。
共同相続人間で負担について争いがある場合には不当利得返還請求訴訟等の民事訴訟手続で解決することになります。
ただし、遺産分割の当事者が合意すれば、遺産分割において清算することができます。
第4 葬儀費用
葬儀費用は遺産分割の対象とはなりません。
葬儀費用を誰が負担することになるかについては、相続人が共同で負担するとする見解、相続財産から負担するとする見解、喪主が負担するとする見解、慣習や条理により誰が負担するか決めるとする見解があります。
もっとも、相続人全員が合意すれば、葬儀費用を遺産分割において清算することもできますので、遺産分割協議の際、葬儀費用について協議することが考えられます。葬儀費用の負担について争いがある場合には、民事訴訟等で解決することになります。
なお、香典がある場合、香典を葬儀費用の一部にあてられますが、香典を葬儀費用にあてても余りがある場合には、どのように処理するかについても見解が分かれております。
第5 相続債務
遺産分割の対象となるのは積極財産であり、相続債務は遺産分割の対象とはなりません。
金銭債務については相続開始により法定相続分に応じて当然に分割され、各共同相続人に承継されます。
遺産分割手続の中で共同相続人間で誰が相続債務を負担するか決めることはできますが、債権者の承諾なく、共同相続人間で負担者を取り決めても、債権者は拘束されません。
第6 祭祀承継
位牌、仏壇、墓等の祭祀財産は祖先の祭祀を主宰すべき者が承継しますので(民法897条)、遺産分割の対象となりません。
祭祀を主宰すべき者は、①被相続人の指定がある場合にはそれに従い、②指定がない場合は慣習に従い、③慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定めます。
ただし、祭祀承継者について当事者全員が合意できる場合には、遺産分割手続の中で誰が祭祀財産を承継するか定めることができます。

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【相続・遺言】遺産分割の前提問題について争いがある場合
遺産分割の前提問題について共同相続人間で争いがある場合には、まず前提問題についての争いを解決してから、遺産分割をすることになります。
一 遺産分割の前提問題
遺産分割をするにあたっては、まず、誰が遺産分割の当事者となるのか(相続人の範囲)、遺産分割の対象となる財産としてどのような財産があるのか(遺産の範囲)を確定する必要があります。
また、遺言の有無や遺産分割協議の有無についても確認する必要があります。
遺言や遺産分割協議で誰が遺産を取得するか定められた場合、その財産について遺産分割は不要となりますが、遺言や遺産分割協議が無効となる場合には遺産分割をすることになりますので、遺言や遺産分割協議が有効かどうか争いになることがあります。
二 前提問題についての争い
遺産分割の前提問題となる①相続人の範囲、②遺産の範囲、③遺言の効力、④遺産分割協議の効力について争いがある場合には、それらの争いが解決するまで遺産分割をすることはできません。
そのため、前提問題について争いがある場合には、まず前提問題について人事訴訟、審判、民事訴訟等の手続で争いを解決する必要があります。
相続人の範囲についての争いがある場合には、家庭裁判所の調停、審判、人事訴訟の手続等で解決します。争いの内容に応じて、親子関係不存在確認、養子縁組無効確認、離縁無効確認、婚姻無効確認、離婚無効確認、認知、認知取消し、嫡出否認、養子縁組取消し、離縁取消し、婚姻取消し、離婚取消し、廃除、廃除の取消し等の手続をします。
遺産の範囲について争いがある場合には、遺産確認請求訴訟等の民事訴訟で解決します。
遺言の効力について争いがある場合には、遺言無効確認訴訟等の民事訴訟で解決します。
遺産分割協議の効力について争いがある場合には、遺産分割協議無効確認訴訟等の民事訴訟で解決します。
三 遺産分割調停・審判で前提問題が争いとなった場合
前提問題について争いがある場合、当事者間の合意ができなければ、遺産分割調停や審判の手続を進めることはできません。
前提問題の争いが婚姻取消請求訴訟等のように判決等の確定によって法律関係が形成される事項の場合には、判決等が確定するまでは効力が生じないので、家庭裁判所が遺産分割審判で前提問題について判断することができません。
これに対し、前提問題についての争いが婚姻無効確認請求訴訟等のように法律関係を確認する事項の場合には、家庭裁判所は遺産分割審判で前提問題について判断することはできます。もっとも、家事審判には既判力が生じないため、前提問題について訴訟で争うことができ、訴訟で審判と異なる判断がなされたときは、その範囲で遺産分割審判の効力が失われることになります。
そのため、前提問題について争いがある場合には、遺産分割調停や遺産分割審判を進めることができませんので、一旦、申立てを取り下げ、前提問題についての争いを人事訴訟や民事訴訟等の手続で解決してから、改めて遺産分割調停の申立てを行うことになるのが通常です。

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【離婚】審判離婚
離婚する方法には、①協議離婚、②調停離婚、③審判離婚、④和解離婚、⑤認諾離婚、⑥判決離婚があります。ここでは審判離婚について説明します。
一 審判離婚とは
審判離婚とは、調停に代わる審判による離婚のことです。
家庭裁判所は、調停が成立しない場合に相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(調停に代わる審判)をすることができます(家事事件手続法284条)。
調停に代わる審判がなされた場合、当事者が2週間以内に家庭裁判所に対し異議申立てをしたときは、審判は効力を失いますが(家事事件手続法286条)、異議申立てがないときは、審判は確定判決と同一の効力を有します(家事事件手続法287条)。
また、家庭裁判所は、離婚のほか財産分与等の付随事項についても調停に代わる審判をすることができます。
二 審判離婚をする場合
離婚については、協議がまとまらない場合は調停手続をし、調停手続で調停が成立しない場合には訴訟で解決するのが原則であり、審判離婚はごくわずかです。
審判離婚をする場合としては、①当事者の意見の違いが僅かである場合、②当事者間で合意はできているけれども、当事者が出席できない場合、③渉外離婚で裁判離婚しかできない場合等があります。

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【お知らせ】令和3年 年末年始の営業について
今年も大変お世話になりました。当事務所の年末年始の営業についてお知らせいたします。
令和3年12月29日(水)から令和4年1月4日(火)まで休業いたします。
令和3年は,12月28日(月)午後6時まで営業いたします。
令和4年は,1月5日(水)午前10時より営業いたします。
よいお年をお迎えください。

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【交通事故】醜状障害
交通事故の被害者に傷あとが残った場合、醜状障害として後遺障害が認定されるか問題となります。
また、醜状障害が後遺障害と認定された場合、被害者が損害賠償請求するにあたって、どのようなことが問題となるのでしょうか。
一 醜状障害とは
醜状障害は、症状固定後に残った傷あとのことです。
事故によって直接生じたものだけでなく、治療(処置や手術)によるものも含まれます。
醜状障害には、外貌の醜状、上肢下肢の露出面の醜状、日常露出しない部位の醜状があります。
二 醜状障害の後遺障害等級
1 外貌の醜状障害
「外貌」とは、頭部、顔面部、頸部のように、上肢及び下肢以外の日常露出する部分のことです。
外貌の醜状障害には、7級12号「外貌に著しい醜状を残すもの」、9級16号「外貌に相当程度の醜状を残すもの」、12級14号「外貌に醜状を残すもの」があります。
かつては男女で区別されていましたが、男女の区別はなくなりました。
どの等級に該当するかは、瘢痕の面積や線状痕の長さ等で判断されます。
なお、線状痕や瘢痕が複数ある場合、それらが隣接しまたは相まって一つの線状痕や瘢痕と同程度以上の醜状となる場合には、長さや面積を合計して評価されます。
また、後遺障害として認定されるには、人目につく程度以上のものであることが必要です。眉毛、頭髪等に隠れる部分は、醜状とは扱われません。
(1)7級12号「外貌に著しい醜状を残すもの」
原則として、①頭部に、てのひら大(指の部分は含みません。)以上の瘢痕または頭蓋骨のてのひら大以上の欠損、②顔面部に、鶏卵大面以上の瘢痕または10円硬貨大以上の組織陥没、③頸部に、てのひら大以上の瘢痕がある場合で、いずれの場合も、人目につく程度以上のものをいいます。
(2)9級16号「外貌に相当程度の醜状を残すもの」
原則として、顔面部に、長さ5センチメートル以上の線状痕で、人目につく程度以上のものをいいます。
(3)12級14号「外貌に醜状を残すもの」
原則として、①頭部に、鶏卵大面以上の瘢痕または頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損、②顔面部に、10円硬貨大以上の瘢痕または長さ3センチメートル以上の線状痕、③頸部に、鶏卵大面以上の瘢痕がある場合で、いずれの場合も、人目に付く程度以上のものをいいます。
2 上肢下肢の露出面の醜状障害
「上肢の露出面」は、肩関節から指先までの部分、「下肢の露出面」は股関節から足の背までの部分です。
上肢下肢の醜状障害については、14級4号「上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」または14級5号「下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」の後遺障害があります。
また、てのひらの大きさの3倍程度以上の大きさの場合は、12級相当と認定されます。
3 日常露出しない部位の醜状障害
胸部及び腹部または背部及び臀部の全面積の4分の1以上の範囲に瘢痕が残る場合は14級相当、2分の1以上の範囲に瘢痕が残る場合は12級相当と認定されます。
三 醜状障害の後遺障害逸失利益,後遺障害慰謝料
後遺障害が認定された場合、後遺障害逸失利益や後遺障害慰謝料が損害となりますが、醜状障害の場合は、どうでしょうか。
1 後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益は、認定された後遺障害等級に応じた労働能力喪失率をもとに算定するのが通常ですが、醜状障害の場合には労働能力に直接影響がないことを理由に逸失利益が否定されることがあります。
もっとも、外貌の醜状障害があることが原因で配置転換されることや、就職や転職が不利になること等、労働能力に直接影響を及ぼす場合がありますので、被害者の性別、年齢、職業等によっては逸失利益が認められることがあります。
また、逸失利益が認められる場合でも、労働能力喪失が低く認定されることがあります。
2 後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は認定された等級に応じて相場があります。
醜状障害の場合も、他の後遺障害の場合と同様、認定された等級に応じて慰謝料額が算定されるのが通常です。
醜状障害について逸失利益が否定された場合には、労働能力に直接的な影響はないが、労働能力に間接的な影響を及ぼすおそれがあることを理由に、慰謝料が増額されることがあります。

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【交通事故】会社役員の休業損害、逸失利益
交通事故被害者が会社役員の場合、休業損害や逸失利益はどのように算定するのでしょうか。
一 会社役員の基礎収入
休業損害は「基礎収入×休業期間」、後遺症逸失利益は「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」、死亡逸失利益は「基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数」で計算しますので、休業侵害や逸失利益を算定するにあたって基礎収入を把握する必要があります。
被害者が給与所得者(会社従業員)の場合には給与額を基礎収入とするのが基本ですが、被害者が会社役員の場合には役員報酬額がそのまま基礎収入となるわけではありません。
役員報酬には労務対価部分と利益配当部分があるとされており、基礎収入となるのは労務対価部分であり、利益配当部分は基礎収入に含まれないと解されています。
二 労務対価部分と利益配当部分
役員報酬のうち、どの部分が労務対価部分で、どの部分が利益配当部分なのかについては、明確な基準があるわけではありません。
会社の規模、同族企業か否か、会社の利益状況、被害者である役員の地位・職務内容・年齢・役員報酬額、他の役員の報酬額や従業員の給与額との比較、事故後の報酬額の推移、同種企業との比較等の事情を総合考慮して、個別具体的に判断することになります。
事案によって、役員報酬全額が労務の対価だと判断され、役員報酬全額が基礎収入とされることもありますし、役員報酬に利益配当部分も含まれると判断され、役員報酬の何割かが基礎収入となることもあります。
また、労務対価部分の判断をするにあたっては、賃金センサスの平均賃金を参考とすることもあります。
例えば、大企業の雇われ役員の場合には役員報酬は労務対価と判断されやすいでしょう。これに対し、小規模な同族会社の親族役員の場合には役員報酬に利益配当部分が含まれると判断されやすいでしょう。
役員報酬が役職、職務内容、年齢からして高額な場合や他の役員の役員報酬や従業員の給与と比較して高額すぎる場合には役員報酬のうち相当な部分が利益配当部分にあたると判断されやすいでしょう。
また、名目だけの役員で職務を行っていない場合は、役員報酬は労務対価とはいえないでしょう。
また、休業したことにより役員報酬が支払われなかった場合には、支払われなかった役員報酬は労務対価と判断されやすいでしょう。

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【離婚】養育費・婚姻費用を算定する場合の自営業者の総収入
養育費や婚姻費用は標準算定方式や標準算定表を用いて算定するのが通常です。
標準算定方式では、当事者(権利者及び義務者)の総収入から生活に充てられる部分(基礎収入)を求めた上で、基礎収入額を計算式に当てはめて算定します。
また,標準算定表は、標準的なケースについて、標準算定方式に基づいて算定される婚姻費用や養育費を表に整理したものであり、当事者の総収入を表に当てはめて金額を算定します。
そのため、養育費請求事件や婚姻費用分担事件では当事者の総収入を把握することが重要となりますが、当事者が自営業者の場合,総収入はどのように算定するのでしょうか。
一 自営業者の総収入
給与所得者の場合、総収入は、基本的に源泉徴収票の「支払金額」や課税証明書の「給与の収入金額」の金額を指し、基礎収入は、総収入額から公租公課(所得税、住民税、社会保険料)、職業費(被服費、交通費等)、特別経費(住居費、医療費等)を控除した金額です。
これに対し、自営業者の場合は、事業の種類によって経費率が大きく異なるため、売上金額を総収入とすることは困難です。
そのため、自営業者の総収入は。所得税の確定申告書の「課税される所得金額」(「所得金額」から「所得から差し引かれる金額」を控除した額)を指します。
また、「課税される所得金額」は経費や社会保険料が既に控除されているため、基礎収入は、総収入から所得税、住民税。特別経費を控除した金額となります。
給与所得者の場合と自営業者の場合とでは、総収入の捉え方が異なるため、基礎収入割合が異なります。また,標準算定表の縦軸と横軸には給与所得者の年収と自営業者の年収がそれぞれ記載されています。
二 「課税される所得金額」に加算する項目
上述のとおり、自営業者の総収入は,所得税の確定申告書の「課税される所得金額」ですが、確定申告書の所得金額は税法上の観点から控除がなされたものであり、現実には支出していないのに控除されているものがあります。
そのため、「課税される所得金額」をそのまま総収入額とするのではなく、所得金額から税法上控除されているが現実には支出していない項目の金額を加算する等の修正をします。
1 「所得金額」の修正
確定申告書の「所得金額」は「収入金額等」から経費等を控除したものですが、現実に支出がなく,税法上の観点から控除が認められるものがあります。
「青色申告特別控除額」については、現実に支出がないので加算します。
「専従者給与(控除)の合計額」については、現実に支出がない場合がありますので、現実に支出がない場合には加算します。
減価償却費については、経費にはあたるものの、現実の支出はありませんが,資産取得のための借入金を返済している場合もありますので、加算すべきかどうか問題となります。
2 「所得から差し引かれる金額」の項目の修正
確定申告書の「所得から差し引かれる金額」の項目には、①雑損控除、②医療費控除、③社会保険料控除、④小規模企業共済等掛金控除、⑤生命保険料控除、⑥地震保険料控除、⑦寄附金控除、⑧寡婦、寡婦控除、⑨勤労学生、障害者控除、⑩配偶者(特別)控除、⑪扶養控除、⑫基礎控除があります。
このうち、①雑損控除、⑧寡婦、寡婦控除、⑨勤労学生、障害者控除、⑩配偶者(特別控除)、⑪扶養控除、⑫基礎控除については、現実の支出がないので、加算します。
②医療費控除、⑤生命保険料控除、⑥地震保険料控除については、現実の支出はありますが、基礎収入額を算定する際、標準的な額が特別経費として考慮されているので、基本的に加算します。
④小規模企業共済等掛金控除、⑦寄附金控除については、現実の支出はありますが、養育費や婚姻費用に優先させるべきものとはいえないので、基本的に加算すべきであると考えられています。
そのため、「所得から差し引かれる金額」のうち③社会保険料控除以外の項目の金額は「課税される所得金額」に加算するのが基本となります。
三 まとめ
以上のとおり、自営業者の総収入額は、確定申告書の「課税される所得金額」に、「青色申告特別控除額」、「専従者給与(控除)の合計額」(現実に支出がない場合)、「所得から差し引かれる金額」のうち社会保険料控除以外のもの等を加算した金額になります。
なお、確定申告書の内容が正しいかどうか争いとなることがありますし、自営業者は売上が安定せず、所得の変動が大きいこと等から、確定申告書があっても、総収入額が争いとなることがよくあります。

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