【離婚】再婚と養育費の減額

2017-09-14

離婚して養育費の支払額を決めた後に,養育費の支払を受ける側(権利者)が再婚した場合,養育費を支払っている側(義務者)は権利者に対し養育費の減額を請求することができるでしょうか。

また,義務者が再婚した場合,義務者は権利者に対し養育費の減額を請求することができるでしょうか。

 

一 養育費の増額・減額請求

民法880条は「扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは,家庭裁判所は,その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる」と規定しており,養育費の場合も「事情の変更」があれば,養育費を増額または減額することができます。
「事情の変更」とは養育費を決めた当時予測できなかった事情が発生したことであり,収入の増減,病気やケガ,家庭環境の変動,進学による教育費の増加等があった場合です。

養育費の増額・減額をするには,当事者間で協議して養育費の額を変更する合意をするか,家庭裁判所に養育費の増額請求または減額請求の調停または審判を申し立てます。

 

二 権利者が再婚した場合

1 再婚相手が子と養子縁組をしない場合

権利者が再婚したけれども,再婚相手が子と養子縁組をしていない場合には,義務者は子の扶養義務を免れません。
そのため,権利者が再婚したというだけでは事情の変更があったとはいえず,他に事情の変更がなければ養育費の減額は難しいでしょう。

 

2 再婚相手が子と養子縁組をした場合

再婚相手が子と養子縁組をした場合には,養親となった再婚相手は子の扶養義務を負います。
その場合,養親が第1次的に子の扶養義務を負い,実親である義務者の扶養義務は2次的なものとなりますので,養親の経済状況によって義務者は養育費支払の免除や減額が認められるでしょう。

 

三 義務者が再婚した場合

1 再婚相手が働いていない場合

再婚相手が働いておらず,無収入の場合には,義務者は再婚相手を扶養する義務を負います。また,義務者と再婚相手との間に子ができた場合には,義務者はその子を扶養する義務を負います。
そのため,養育費を決めた時に予測できた場合を除き,義務者が再婚したことや再婚相手との間に子ができたことは事情の変更にあたり,養育費の減額ができるでしょう。

 

2 再婚相手が働いている場合

再婚相手が働いており,自分の生活をまかなえる程度の収入がある場合には,養育費の算定において,再婚相手の扶養を考慮する必要はないでしょう。
再婚相手との間に子ができた場合には義務者はその子の扶養義務を負いますので,養育費を決めた時に予測できた場合でなければ事情の変更にあたり,養育費の減額が認められるでしょう。その際,再婚相手も子を扶養する義務を負いますので,再婚相手の収入も考慮されるでしょう。

 

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