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離婚を求められてお困りの方へ
離婚調停や離婚訴訟を起こされてしまったけれども、どうしたらいいのか分からない
離婚を求められたけれど離婚したくない
相手方の主張する離婚理由が一方的で納得できない
相手方から提示された離婚の条件に納得できない
など、離婚問題に直面した方は、さまざまなことでお悩みのことと思われます。
人生の伴侶であるパートナーから突然離婚を切り出されたら、それまで築いてきたものが根底から覆されるような衝撃を受けてしまうでしょう。お子さんがいらっしゃる方にとっては、お子さんとの関係がどうなるかも心配でしょう。夜も眠れないほど悩んだり、食べ物も喉を通らなくなったり、自暴自棄になってしまうこともあるかもしれません。そのような場合、一人で悩まずに、弁護士にご相談ください。
離婚したくない場合、離婚しないと言えば、協議離婚や調停離婚は成立しませんが、相手方は離婚訴訟を起こしてくるかもしれません。離婚訴訟では離婚事由が存在すれば、一方が離婚に反対していても離婚は認められてしまいます。そのため、単に離婚に反対すれば済むわけではなく、離婚を避けるためにはどうしたらいいのかを考える必要があります。相手方はどうして離婚を求めているのか、その原因を考えた上で、まだやり直すことが可能であり婚姻関係が破たんしていないと説得しなければなりません。
また、離婚はやむを得ないけれども、慰謝料、財産分与、親権、養育費などの相手方の要求する条件が納得できない場合には、ご自身の言い分をしっかりと主張する必要があります。相手方が離婚の原因を作った有責配偶者であるにもかかわらず離婚訴訟を起こしてきた場合には、反訴を提起して自分から離婚を求め、慰謝料等を請求することも考えられます。
当事務所では、お客様がどのようなお考えなのかをよく確認し、法的な観点のみならず、お客様のご心情や、今後の生活、人間関係等に配慮した上で、よりよい解決を目指したいと考えております。
離婚を求められてお困りの方はご相談ください。

東武東上線・有楽町線・副都心線・武蔵野線沿線を中心に、新座市・志木市・朝霞市・和光市などの地域で、離婚・相続・借金問題・交通事故など、暮らしに身近なご相談を多くお受けしています。事前予約で平日夜間や土日祝のご相談にも対応。法律を身近に感じていただけるよう、丁寧な説明と親身な対応を心がけています。お困りごとがあれば、どうぞ気軽にご相談ください。
【お知らせ】:平成26年夏季休暇のお知らせ
当事務所は、平成26年8月13日(水)から平成26年8月17日(日)まで、夏季休暇とさせていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。

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自動車運転死傷行為処罰法が施行されました
自動車を運転して人を死傷させてしまうと、これまでは、刑法の危険運転致死傷罪や自動車運転過失致死傷罪で処罰されていましたが、平成26年5月20日より、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(「自動車運転死傷行為処罰法」といいます。)が施行されたことから、今後は、同法で処罰されることになります。
この法律の内容を大まかにご紹介します。
1 危険運転致死傷罪(法2条、3条)
(1)法2条の危険運転致死傷罪
従来の危険運転致死傷罪の類型(法2条1号から5号)に加え、
通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為(法2条6号)
が新たな類型として追加されました。
(2)法3条の危険運転致死傷罪
アルコール・薬物・病気(自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの)の影響により走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転し、それらの影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷又は死亡させた場合
も、危険運転致死傷罪として処罰されることになりました。
法2条1号では、「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」により人を死傷させた場合を処罰していますが、法2条1号で処罰されない場合でも、本条で処罰される可能性があります。
また、法定刑は法2条より軽くなっています。
2 過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪の新設(法4条)
アルコール又は薬物の影響により走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合に、
運転時のアルコールや薬物の影響の有無や程度の発覚を免れるべき目的で、
更にアルコールや薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコールや薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無や程度の発覚を免れるべき行為をしたとき
は処罰されることになりました。
3 過失運転致死傷罪(法5条)
従来は、自動車運転過失致死傷罪という名称でしたが、自動車運転死傷行為処罰法では「過失運転致死傷罪」という名称になりました。
4 無免許運転による刑罰の加重(法6条)
無免許で自動車を運転をし人を死傷させた場合には、刑罰が加重されることになりました。
以上のとおり、自動車運転死傷行為処罰法により、自動車を運転し人を死傷させた場合に、悪質な行為や危険な行為はこれまで以上に厳しく処罰されることになりました。
お酒を飲んだら絶対に運転しないでください。

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相続放棄(相続したくない場合の手続)
一 相続放棄とは
亡くなったご家族に多額の借金があった場合、どうなるでしょうか。
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するため(民法896条本文)、相続人は被相続人の積極財産のみならず、被相続人の負債も承継します。
そのため、被相続人の積極財産よりも、負債の方が多い場合には、相続人は困ったことになります。
そのような場合、相続人は、相続放棄をすることで、被相続人の負債の承継を免れることができます。
なお、被相続人に多額の負債があるけれども、相続財産を取得したいという場合には、限定承認をすることも考えられます。
限定承認とは、相続人が、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続の承認をすることです(民法922条)。
これに対し、無限に被相続人の権利義務を承継することを「単純承認」といいます(民法920条)。また、一定の事由がある場合には単純承認したものをみなされます。この場合を「法定単純承認」といいます(民法921条)。
二 相続放棄の手続
相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません(民法938条)。
具体的には、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所に相続を放棄する旨の申述書を提出することになります(家事事件手続法201条1項、5項)。家庭裁判所は相続放棄の要件を満たしていると判断すれば、相続放棄の申述受理の審判をし、要件を満たしていなければ、申述を却下します。
三 相続放棄の効果
相続放棄をした者は、その相続に関して、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。
そのため、相続放棄をした者は、被相続人の負債を承継することはありませんが、積極財産を承継することもできません。
相続放棄により初めから相続人とならなかったものとみなされることから、他の相続人が相続することになります。
同順位の相続人がいない場合には後順位の者が相続人になります(例えば、子供の全員が相続放棄した場合には、次順位の被相続人の父母などの直系尊属が相続人となります。)。
なお、相続の放棄をした者は、放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理をしなければなりません(民法940条1項)。
また、家庭裁判所に相続放棄の申述が受理されないと相続放棄したとはいえませんが、受理されたとしても、相続放棄が有効ということが確定されるわけではありません。相続放棄の申述受理後に相続放棄の有効性を巡って争われることがあります。
四 相続放棄ができなくなる場合
1 相続放棄をすることができる期間(熟慮期間)
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかをしなければなりません(民法915条1項本文)。この期間を「熟慮期間」といいます。
撤回は認められないため(民法919条1項)、単純承認又は限定承認を選択すると、原則として熟慮期間内であっても相続放棄はできなくなります。ただし、詐欺、強迫による取消等、相続の承認や放棄の取消ができる場合があります(民法919条2項、3項、4項)。
また、限定承認も放棄もしないで熟慮期間が経過すると単純承認したものとみなされます(民法921条2号)。
そのため、熟慮期間を経過すると、相続放棄はできなくなってしまいます。
ただし、熟慮期間については、家庭裁判所に請求することで伸長することができます(民法915条1項但書)。
2 相続人が相続財産の全部又は一部を処分した場合(民法921条1号)
相続人が相続財産の全部又は一部を処分した場合(保存行為や民法602条の短期賃貸借の場合を除きます。)には、単純承認をしたものとみなされます。
3 相続放棄後に相続財産の隠匿等をした場合(民法921条3号)
相続人が相続の放棄をした場合であっても、相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、私に費消し、又は悪意でこれを相続財産の目録に記載しなかったときは、単純承認したものとみなされます(ただし、相続放棄により相続人となった者が相続の承認をした後はこの限りではありません。)。
五 相続放棄をお考えの方へ
亡くなったご家族に多額の借金があった場合には、相続放棄をすることが考えられますが、相続放棄ができる期間には制限がありますので、相続放棄をお考えの方はお早めに手続をとることをお勧めいたします。
相続放棄をお考えのかたはご相談ください。

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取扱業務案内 離婚
1 離婚問題
夫婦問題に悩まれている方で離婚を考えておられる方、既に離婚を求めている方、あるいは、離婚を求められてお困りになられている方がいらっしゃることと思われます。
離婚については、話し合い(協議)で解決することもできますが、話し合いで解決できない場合には、家庭裁判所を利用して、調停や訴訟で解決することができます。
また、離婚にあたっては、慰謝料請求、財産分与請求、親権、養育費、年金分割等様々な問題がありますので、これらの問題についても、考えなければなりません。
2 離婚の手続
(1)協議離婚
夫婦は、その協議で、離婚をすることができます(民法763条)。
話し合いでの解決です。
(2)調停離婚
協議が調わなかった場合、家庭裁判所に調停を申し立て、調停で離婚することができます。
調停前置主義がとられており、原則として、訴えを提起する前に調停の申立をしなければなりません(家事事件手続法257条1項)。
(3)審判離婚
調停が成立しない場合であっても、家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者双方ために衡平に考慮して、職権で、事件解決のために必要な審判(調停に代わる審判)をすることができるため(家事事件手続法284条1項本文)、審判で離婚ができる場合もあります。
なお、審判に対し適法な異議が出されれば、審判は効力を失い(家事事件手続法286条6項)、訴訟をしなければならなくなります。
(4)裁判離婚
調停が成立しなかった場合、家庭裁判所に訴訟を提起して離婚を求めることができます。
裁判上の離婚をする場合には、以下の民法770条1項各号の離婚事由が必要です。
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
なお、裁判所は、①から④までの事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる(民法770条2項)とされております。
離婚請求については、判決で離婚が認められる場合もありますし、和解で離婚ができる場合もあります。
3 離婚の際に問題となる事項
(1)慰謝料請求
夫婦の一方が不貞行為(浮気、不倫)をするなどして婚姻関係を破綻させた場合には、他方に対し慰謝料請求をすることができます。
(2)財産分与請求(民法768条)
離婚をした場合、夫婦の一方は、相手方に対し、財産分与を請求することができます。
財産分与は、夫婦が婚姻中に形成した財産の生産(清算的要素)が中心ですが、それに加え、離婚後の配偶者の扶養の観点(不要的要素)や離婚による慰謝料の観点(慰謝料的要素)が考慮されます。
夫婦に自宅があるけれども、その価値を上回る住宅ローンがある場合(オーバーローンの場合)、どうするか難しい問題となります。
なお、離婚の時から2年を経過したときは、請求できなくなるので(民法768条2項)、ご注意ください。
(3)年金分割
離婚に際し、厚生年金(報酬比例部分)、共済年金(報酬比例部分と職域部分)について、婚姻期間中の保険料納付記録(夫婦合計)の分割を請求することができます。
なお、平成20年4月1日以降の離婚で、第3号被保険者である被扶養配偶者(専業主婦)は、請求により、平成20年4月1日から離婚するまでの間の相手方の保険料納付記録を自動的に2分の1の割合に分割することができます(「3号分割」といわれています。)。
それ以外の場合には、当事者の合意または裁判所の決定により按分割合を決める必要があります。
(4)親権(民法819条)
夫婦に未成年の子がいる場合、離婚の際、夫婦のどちらか一方を親権者と定めなければなりません。
協議離婚の場合は、協議で一方を親権者と定め(同条1項)、裁判上の離婚の場合、裁判所がどちらか一方を親権者と定めます(同条2項)。
(5)養育費
親権者となった者は、他方に対し、子の養育のための費用(養育費)を請求することができます。
養育費の額については、養育費算定表により、算定することが一般的です。
(6)復氏(民法767条)
婚姻によって氏を改めた夫婦の一方は、離婚によって婚姻前の氏に復しますが(民法767条1項)、離婚の日から3か月以内に届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができます(民法767条2項)。
なお、離婚によって親権者となった者が婚姻前の氏に復したとしても、子の氏が当然に親権者の氏になるわけではありません。子が父または母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可と届出によって、その父又は母の氏を称することができます(民法791条1項)。
4 離婚問題でお悩みの方へ
夫婦の一方が離婚に反対している場合には、訴訟で離婚することになりますが、裁判離婚の場合には民法770条1項各号の離婚事由が必要です。
そのため、離婚できるかどうかについては、離婚事由があるかどうか、また、離婚事由の存在を立証する証拠があるかどうかが問題となります。
また、離婚のほかに、慰謝料請求、財産分与、親権、養育費等の問題があります。
慰謝料請求をするにあたっては、浮気・不倫、DV(ドメスティックバイオレンス)の証拠があるかどうかが問題となりますし、財産分与の場合には相手方にどのような財産があるか把握する必要があります。
さらに、離婚後の生活がどうなるかも考えた上で行動しないと、後悔することがあるかもしれません。
このように、離婚については様々な要素を考えなければなりませんし、今後の生活に大きな影響を与えることになりますので、離婚問題でお悩みの方は、弁護士にご相談ください。

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取扱業務案内 遺留分減殺請求
一 遺留分とは
民法は、法定相続制度を定める一方、被相続人の意思を尊重して、被相続人が誰に財産を帰属させるか決めることができるようにするため遺言制度を設けております。
被相続人は遺言により、法定相続分と異なる相続分を指定したり、法定相続人以外の者に遺贈したりすることができるため、法定相続人が相続財産を取得することができない場合や取得できてもごく僅かの財産しか取得できない場合があり、遺言の内容によっては遺族の生活が守られなくなるおそれがあります。
そのため、民法は遺留分制度を設けており、兄弟姉妹以外の相続人には、遺言によっても侵害されない権利(「遺留分」といいます。)があり、遺言の内容が遺留分を侵害する場合、遺留分を侵害された相続人は遺留分減殺請求をすることができます。
相続法の改正(2019年7月1日施行)により、遺留分制度の内容が大きくかわりました。本ページのは改正前の制度についての説明ですので、ご注意ください。
二 遺留分減殺請求権
1 遺留分権利者
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分を有します(民法1028条)。
なお、子の代襲相続人、再代襲相続人も遺留分を有します(民法1044条は民法887条2項、3項を準用しています。)。
2 遺留分侵害額の計算方法
(1)遺留分割合
遺留分の割合は
①直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1
②その他の場合には、被相続人の財産の2分の1
となります(民法1028条)。
また、遺留分権利者が複数人いる場合、各遺留分権利者の遺留分は、上記の遺留分を相続分の原則にしたがって配分し計算します(民法1044条で民法900条が準用されています。)。
例えば、被相続人が夫で、法定相続人が妻、長男、長女で、遺言で長男が全財産を相続することになった場合、妻の遺留分割合は4分の1(法定相続分2分の1の2分の1)、長女の遺留分割合は8分の1(法定相続分4分の1の2分の1)となります。
(2)遺留分額
民法1029条1項は「遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。」と規定しています。
そのため、各相続人の遺留分額の算定方法は以下の計算式のとおりです。
遺留分額=(積極財産額+贈与額-債務額)×遺留分割合
なお、民法1030条は、贈与は①相続開始前の1年間にしたもの、②贈与が1年前の日より前であっても、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したものを遺留分額算定の基礎財産に算入するとしております。
また、民法1044条は特別受益についての民法903条を準用しており、特別受益がある場合、特段の事情がない限り、上記①②にかかわりなく、遺留分算定の基礎財産に算入されると解されております。
財産の評価については、相続財産開始時を基準時として評価します。
(3)遺留分侵害額
遺留分侵害額は、遺留分権利者の遺留分額から遺留分権利者が相続によって得た財産を控除し、その者が負担する相続債務額を加算して算定します。
また、遺留分権利者に特別受益がある場合、特段の事情がない限り特別受益の額を控除します。
そのため、遺留分侵害額の算定方法は以下の計算式のとおりです。
遺留分侵害額=遺留分額-相続によって得た財産+相続債務分担額-特別受益の額
3 遺留分減殺請求の対象と順序
(1)遺留分減殺請求の対象
遺贈や贈与により遺留分が侵害された場合には、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈や贈与の減殺を請求することができます(民法1031条)。
また、相続分の指定や分割方法の指定により遺留分が侵害された場合にも遺留分減殺請求ができると解されております。
(2)遺留分減殺請求の順序
「贈与は、遺贈を減殺した後でなければ、減殺することができない。」(民法1033条)
「遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。」(民法1034条)
「贈与の減殺は、後の贈与から順次前の贈与に対してする。」(民法1035条)
死因贈与については、遺贈と同順位とみる見解と最も新しい贈与とみる見解があります。
相続分の指定や分割方法の指定については、遺贈と同順位で減殺の対象になるものと解されています。
減殺請求の対象となる目的物が複数ある場合、対象となる物件を選択することができるかどうかという問題がありますが、否定的に解されております。そのため、全物件につき一律に減殺請求することになります。
三 遺留分減殺請求の行使方法
1 遺留分減殺請求の意思表示
遺留分減殺請求は、遺留分権利者が遺留分を侵害する者に対する意思表示により効果が生じます。
2 遺留分減殺請求権を行使することができる期間
民法1042条は「減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始のときから10年を経過したときも、同様とする。」と規定しております。
このように遺留分減殺請求権には行使することができる期間に制限があることから、いつ遺留分減殺請求をしたのか争いにならないようにするため、遺留分減殺請求の意思表示は内容証明郵便で行うことが一般的です。
四 遺留分減殺請求の効果と価額弁償
遺留分減殺請求は意思表示によりただちに効果を生じ、遺留分減殺請求により遺留分を侵害する行為は遺留分を侵害する限度で効力を失い、目的物は減殺請求者に帰属します(形成権・物権的効果説)。
そのため、遺留分減殺請求がなされた場合、現物返還が原則ですし、共有関係になった場合には共有物分割手続をすることになります。
もっとも、遺留分減殺請求権を行使された者は、遺留分権利者に対し、価額による弁償をすることで、返還を免れることができます(民法1041条)。
価額弁償額は、現実に弁償がなされるときの目的物の価額です。訴訟の場合は口頭弁論終結時の価額となります。
五 遺留分減殺請求の手続
遺留分減殺請求の手続としては
①内容証明郵便で遺留分減殺請求の意思表示をする
②遺留分権利者と遺留分侵害者との間で交渉する
③交渉がまとまらなければ家庭裁判所で調停する
④調停がまとまらなければ地方裁判所で訴訟をする
という流れが一般的です。
六 遺留分減殺請求でお悩みの方へ
遺留分は遺言によっても侵害されない権利ですから、遺言により財産を取得することができなかった遺族の方は遺留分減殺請求を検討すべきです。
他方、遺言により財産を取得しても、遺留分減殺請求により財産の処分や利用に支障が生じることから、遺留分減殺請求をされた方はこれを放置しておくべきではありません。
遺留分減殺請求でお悩みの方はご相談ください。

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取扱業務案内 遺言
1 遺言
ご家族がお亡くなりになった場合、亡くなった人(「被相続人」といいます。)の財産(「遺産」または「相続財産」といいます。)は、民法の定める者(「法定相続人」といいます。)が相続します。法定相続人が複数いる場合は、民法の定める割合(「法定相続分」といいます。)で共同相続し、誰がどの財産を取得するか遺産分割を行うことになります。
他方、民法は、被相続人の意思を尊重して、被相続人が誰に財産を帰属させるか決めることができるようにするために遺言制度を設けており、被相続人は、遺言を作成することで、遺産分割方法の指定、相続分の指定や、遺贈(法定相続人以外にも財産を与えることができます。)ができます。
2 遺言の種類
遺言の種類として、普通方式の遺言と特別方式の遺言があります。
普通方式の遺言には、
自筆証書遺言(民法968条)
公正証書遺言(民法969条、969条の2)
秘密証書遺言(民法970条)
があります。
特別方式の遺言には、
危急時遺言
疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者の遺言(民法976条)
遭難した船舶にいて死亡の危急に迫った者の遺言(民法979条)
隔絶地遺言
伝染病隔離者の遺言(民法977条)
在船者の遺言(民法978条)
があります。
これらのうち、自筆証書遺言と公正証書遺言の方式が利用されることが多いです。
3 自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が全文、日付、氏名を自書し、押印する方式の遺言です(民法968条)。
作成が簡単で遺言者本人が一人で作成することも可能です。
もっとも、自筆証書遺言については、遺言者本人が作成したのか明らかではない、方式違反がある、内容が不明確であるといった理由等で成立や効力が争われるおそれがありますし、紛失のおそれがあります。
また、相続開始を知った後に家庭裁判所で検認手続き(遺言書の現状を明確にし、後日の変造・隠匿を防ぐ手続)をする必要があります(民法1004条、1005条)。
4 公正証書遺言
公正証書遺言とは、公正証書による遺言で
①証人2人以上が立ち会い
②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授(遺言者の口がきけない場合は、通訳人の通訳による申述又は自書)し
③公証人が遺言者の口授(遺言者の口がきけない場合は、通訳人の通訳による申述又は自書)を筆記し、遺言者、証人に読み聞かせ(遺言者又は証人が耳が聞こえない場合は筆記した内容を通訳人の通訳により伝えることに代えることができます。)、または閲覧させ
④遺言者と証人が筆記の正確なことを承認した後、各自、署名押印し(ただし、遺言者が署名できない場合には公証人がその事由を付記して署名押印に代えることができます。)
⑤公証人がその証書が①から④の方式に従って作成したものである旨付記して署名押印する
方式の遺言です(民法969条、969条の2)。
公正証書遺言については、作成に費用がかかりますし、公証人との打ち合わせが必要であるなど手間がかかります。
しかし、公証人が関与するため、成立や効力が争われるおそれは自筆証書遺言より少ないですし、公証役場で遺言が保存されるため、自筆証書遺言よりも安全で確実だといえます。
また、公正証書遺言は、検認の手続は不要です。
そのため、遺言を作成するのであれば、安全で確実な公正証書遺言の作成をおすすめします。
5 遺言の作成をお考えの方へ
遺言が発生したときに家族の間でもめ事を起こさないようにしたいとお考えの方には、遺言書の作成をおすすめします。
その際、どのような内容の遺言を作るかについては、先々のことを考える必要があります。
例えば、配偶者がいるのに、自宅を含む全財産を子に相続させる遺言を作成してしまうと、将来、配偶者の生活する場所がなくなるおそれがあります。
そのため、将来、子に財産を相続させたいと考えている場合でも、配偶者の生活のことを考えて遺言を作成する必要があります。
また、兄弟姉妹以外の相続人には、遺言によっても侵害されない権利(「遺留分」といいます。)があり、遺言の内容が遺留分を侵害する場合、遺留分を侵害された相続人は遺留分減殺請求をすることができます。
そのため、遺言で財産を取得できない相続人が遺留分減殺請求をすることが予想できる場合には、将来の相続人間の争いを避けるために遺留分を考慮した内容の遺言を作成したほうが良い場合もあります。
遺言を作成したいけれども、どのような遺言を作成したらよいかお考えの方は、ご相談ください。

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取扱業務案内 内容証明郵便の作成
1 内容証明郵便とは
内容証明郵便は、郵便局が手紙の発送日と記載内容を証明してくれる制度です。普通郵便ですと、後日記載内容について争いになってしまうおそれがあるからです。相手に到達した日にちを証明してもらいたい場合には、配達証明を利用することになります。
内容証明と配達証明によって、文書の記載内容、発送日、到達日についての争いを防止することができます。
2 内容証明郵便を利用するケース
内容証明郵便は、通常、法的な争いがありお互いの権利関係をはっきりさせたいときに利用されます。また、意思表示をすることが法律上の要件になっているケースでは、内容証明郵便を利用することが一般的です。内容証明で意思表示をすると、後で訴訟等になったときに重要な証拠になるからです。
例えば、遺留分減殺請求をする場合、家賃滞納を理由に契約の解除をする場合、債権の消滅時効の完成を防ぐために債務履行請求をする場合などがあります。
3 内容証明郵便の出し方
内容証明郵便を出す場合は、内容証明を取り扱っている郵便局に行き、同じ内容の文書3通(受取人が1人の場合)と封筒を提出して郵送してもらいます。
また、インターネットを通じて郵便局が24時間受付を行うサービスを利用することもできます。電子内容証明郵便の制度です。この制度を利用すると、より手軽に内容証明を出すことができますが、予め登録を行う必要があります。
4 弁護士に依頼したほうがいいケース
内容証明の書き方には予め決められた形式があります。この形式に従ったものであれば、どなたでも出すことができます。
ただし、内容証明郵便は相手方にかなりのインパクトを与えるものですし、その後の交渉や訴訟に重要な影響を与える文書です。そのため、事案をきちんと分析し後々のことも見越した上で、どのような内容を記載すべきか、弁護士名で出すべきかなどを検討する必要があります。
ですから、内容証明でトラブルを未然に防止したい場合、交渉の際に相手にスキを与えないような内容証明を作成したい場合、訴訟の際に意思表示があったことを確実に証明できるような内容証明を作成したい場合など、効果的な内容証明を作成したい方は弁護士に相談することをおすすめいたします。
内容証明の作成をお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

東武東上線・有楽町線・副都心線・武蔵野線沿線を中心に、新座市・志木市・朝霞市・和光市などの地域で、離婚・相続・借金問題・交通事故など、暮らしに身近なご相談を多くお受けしています。事前予約で平日夜間や土日祝のご相談にも対応。法律を身近に感じていただけるよう、丁寧な説明と親身な対応を心がけています。お困りごとがあれば、どうぞ気軽にご相談ください。
取扱業務案内 遺産分割事件
1 遺産分割とは
ご家族がお亡くなりになった場合には、相続が開始します。
亡くなった方(「被相続人」といいます。)の財産(「遺産」または「相続財産」といいます。)は、民法が定める相続人(「法定相続人」といいます。)が相続します。
そして、相続人が複数いる場合には、民法で定める相続分(「法定相続分」といいます。なお、遺言で相続分が指定される場合もあります。)で相続財産を共同相続することになるため、誰がどの財産を取得するか遺産分割を行うことになります。
そのため、相続が開始した場合には、①相続人は誰か、②相続財産としてどのような財産があるかを調べた上で、遺産分割を行うことになります。
また、遺言がある場合には原則として遺言の内容に従って相続しますので、遺言の有無や内容も確認する必要があります。なお、兄弟姉妹以外の相続人には、遺言によっても侵害されない権利(「遺留分」といいます。)がありますので、遺言により遺留分を侵害された場合には遺留分減殺請求をすることができます。
2 遺産分割の方法
遺産分割の方法としては、①遺産分割協議、②遺産分割調停、③遺産分割審判があります。
まず、共同相続人間で協議します。協議しても遺産分割ができなければ、家庭裁判所に調停を申し立て、家庭裁判所で話し合いを行います。調停も成立しなければ、審判となり、裁判所が判断します。
3 遺産分割でお悩みの方へ
相続はどなたにでも起こることですが、遺産分割の手続は簡単ではありません。
また、遺産分割について相続人間で争いになることもございます。
例えば、一部の相続人が相続財産の大部分の取得を主張し、他の相続人が法定相続分を大幅に下回る内容の遺産分割に応じることを迫られて困っている場合や、主だった相続財産として被相続人の自宅の土地建物しかないため、どのように分割するか相続人間で話がまとまらない場合等があります。
遺産分割の手続が分からない場合や相続人間で争いになってしまった場合には、ご相談ください。

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【お知らせ】:法律相談に来られる方へ
効率よく具体的なアドバイスができるようにするため、法律相談のご予約の際に関係資料や相談内容の概要メモなどのご準備をお願いしております。
関係資料とは、事件に関し相談者の方がお手持ちの資料です。必要な資料は事案によりますので、詳しくはお問い合わせください。
(例えば、交通事故事件の場合には、交通事故証明書、保険証券、医師の診断書、領収書等、労働事件の場合には、労働契約書、源泉徴収票、給与明細書、解雇通知書等会社から渡された書類等、不動産事件の場合には、登記、契約書、図面等です。)
概要メモについては、箇条書きで構いませんので、問題が起きた経緯について、できる限りお書きください。誰が、いつ、どこで、何があったかが分かると相談がスムーズになります。
もちろん、お急ぎの場合には、お手元にある資料と伺ったお話をもとに法律相談を行うことは可能です。手遅れにならないうちに相談することが何よりも大切ですから、躊躇せずにお気軽にお問い合わせください。

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