配偶者の不貞行為(離婚請求・慰謝料請求)

2014-08-15

配偶者が、浮気や不倫といった不貞行為をした場合、不貞行為をされた配偶者はどのような対応をとることができるでしょうか。

 

一 配偶者の不貞行為は離婚事由にあたります

不貞行為とは、配偶者がいる者が自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性交渉をすることをいいます。

配偶者の不貞行為は離婚事由にあたるため(民法770条1項1号)、不貞行為をされた配偶者は、不貞行為をした配偶者と原則として離婚することができます(ただし、裁判所が一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認め、離婚を認めない場合があります。民法770条2項)。

なお、不貞行為とは性交渉がある場合をいうため、性交渉がないプラトニックな場合は民法770条1項1号の離婚事由にはあたりませんが、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)にあたり、離婚が認められることはあります。

 

二 配偶者が不貞行為をした場合には慰謝料請求ができます

1 不法行為に基づく損害賠償請求

配偶者が不貞行為をした場合には、不貞行為をされた配偶者は、不貞行為をした配偶者とその相手方に対し、慰謝料を請求することができます。

慰謝料請求は不法行為に基づく損害賠償請求であり(民法709条、710条)、不貞行為をした配偶者とその相手方の共同不法行為となります(民法719条1項)。

共同不法行為による損害賠償債務は不真正連帯債務であるとされていますので、不貞行為をされた配偶者は、不貞行為をした配偶者とその相手方の双方に対して慰謝料を請求することができますし、どちらか一方に対して全額請求することもできます。

2 慰謝料金額

慰謝料金額は、不貞行為をした配偶者の有責性の程度(不貞行為の期間や回数、同棲の有無等)、不貞行為をされた配偶者の精神的苦痛の大きさ、婚姻生活の状況、婚姻期間や年齢、未成年の子の有無、資力等、具体的な事情により異なります。

慰謝料の金額としては、通常、300万円以下であり、数十万円程度になることもあります。事案によっては、500万円以上の高額な慰謝料が認められることもあります。

慰謝料金額については具体的な事情によりますので、慰謝料請求をする場合には、単に不貞行為があったと主張・立証するだけではなく、不貞行為をした配偶者の有責性の大きさや自身の精神的苦痛の大きさ等、具体的な事情を主張・立証していく必要があります。

3 慰謝料請求ができない場合

(1)不貞行為より前に婚姻関係が破綻していた場合

不貞行為より前に婚姻関係が破綻していた場合には、不貞行為をしても不法行為とはいえず、慰謝料請求は認められません。

(2)消滅時効

不法行為による損害賠償請求は、損害及び加害者を知ったときから3年で時効により消滅します(民法724条)。

なお、時効の起算点について①不貞行為による精神的苦痛に対する慰謝料と考え、不貞行為を知ったときを起算点とする考えと、②離婚に至ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料と考え、離婚成立日を起算点とする考えがあります。

(3)一方が全額支払った場合の他方への請求

不貞行為をされた配偶者は、不貞行為をした配偶者とその相手方に対し、慰謝料請求をすることができますが、不貞行為をした配偶者とその相手方の債務は不真正連帯債務であるため、一方が、慰謝料を支払った場合には、支払った者の債務が消滅するだけでなく、他方の債務も消滅します。

そのため、不貞行為をされた配偶者が、不貞行為者の一方から、慰謝料全額の支払いを受けた場合には、他方に対する慰謝料請求は認められなくなります。

 

 三 配偶者が不貞行為をしたことでお悩みの方へ

以上のように、配偶者が不貞行為をした場合には、不貞行為をされた配偶者は、①離婚請求、②慰謝料請求をすることができますが、不貞行為の事実に争いがある場合にはどうやって立証するか問題となりますし、不貞行為の事実について争いがない場合であっても、慰謝料額は具体的な事情により変わってくるため、慰謝料請求をするにあたって具体的な事情を主張・立証する必要があります。

そのため、配偶者が不貞行為をした場合には、どのような対応をするか、弁護士に相談することをご検討ください。

当事務所には、男性弁護士、女性弁護士がおり、夫側、妻側どちらの側の相談にも対応できますので、配偶者の不貞行為にお悩みの方は、安心してお問い合わせください。

 

ページの上部へ戻る

Copyright(c) 2016 ながせ法律事務所 All Rights Reserved.