【遺言】遺言書の検認

2015-01-23

一 遺言書の検認とは

遺言書の検認とは、遺言書の保存を確実にして、検認後の偽造や変造を防止する手続であり、審判事件にあたります(家事事件手続法別表第1の103)。

また、手続について、相続人や受遺者等の利害関係人に通知されますので(家事事件手続規則115条)、相続人や受遺者等の利害関係人に対し、遺言書があることを知らせる手続でもあります。

遺言書の検認は遺言が有効か無効かどうかを判断する手続ではないので、遺言書の検認をしても、遺言として有効であると判断されるわけではなく、遺言の効力が争われることがあります。

 

二 検認が必要な遺言

公正証書遺言以外の遺言書には検認が必要です(民法1004条2項)。

したがって、自筆証書遺言、秘密証書遺言、一般危急時遺言、難船危急時遺言、伝染病隔離者遺言、在船者遺言については、検認が必要です。

公正証書遺言について検認が不要なのは、公証役場で原本が保管されるため、偽造・変造のおそれがないからです。

三 検認の手続

1 申立て

遺言書の保管者は相続の開始を知った後、遅滞なく、家庭裁判所に、遺言書の検認を請求しなければなりません(民法1004条1項)。

また、遺言書の保管者がなく、相続人が遺言書を発見した場合には、遺言書を発見した相続人は、遺言書を発見した後、遅滞なく、遺言書の検認を請求しなければなりません(民法1004条1項)。

管轄裁判所は、相続を開始した地を管轄する家庭裁判所です(家事事件手続法209条1項)。相続を開始した地とは、遺言者の最後の住所地です。

なお、検認の申立ては、遺言書の保管者等の義務ですので(民法1004条1項)、家庭裁判所の許可がなければ取り下げることはできません(家事事件手続法212条)。

 

2 審判手続

(1)期日の通知

申立後、裁判所書記官は、申立人、相続人に対し、検認期日を通知します(家事事件手続規則115条1項)。

(2)検認期日

申立人は、検認期日に、遺言書を持参して提出します。

家庭裁判所は、遺言の方式に関する一切の事実を調査し(家事事件手続規則113条)、裁判所書記官が調書を作成します(家事事件手続法211条、家事事件手続規則114条)

検認終了後、検認済証明書が作成され、遺言書に付されます。

また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いがなければ開封できないため(民法1004条3項)、検認期日に、相続人またはその代理人の立会いのもとで開封されます(なお、相続人等に立会いの機会を与えれば足り、実際に立会いがなくても開封はできます。)。

(3)検認された旨の通知

検認後、裁判所書記官は、検認期日に立ち会わなかった相続人、受遺者その他の利害関係人(家事事件手続規則115条1項の通知を受けた者を除きます。)に、その旨を伝えます(家事事件手続規則115条2項)。

 

四 過料

遺言書の保管者や遺言を発見した相続人が、遺言書を提出せず、検認の手続を経ないで遺言を執行したとき、封印のある遺言書を家庭裁判所以外で開封したときは、5万円以下の過料に処せられます(民法1005条)。

 

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