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【親子問題】非嫡出子と認知
一 非嫡出子
非嫡出子とは,婚姻関係にない男女の間に生まれた子をいいます。
子の出生によって,非嫡出子と父親の間に,法律上の親子関係が当然に発生するわけではなく,認知により,親子関係が生じます。
また,準正により,嫡出子となります。
二 認知
1 認知とは
子の出生によって,非嫡出子と父親の間に,法律上の親子関係が当然に発生するわけではなく,認知により,親子関係が生じます。
この点,民法779条は,「嫡出でない子は,その父又は母がこれを認知することができる。」と規定しておりますが,母とその非嫡出子との親子関係は,原則として母の認知をまたず,分娩の事実によって当然発生しますので,認知が問題となるのは,父親と子の間です。
2 任意認知
(1)任意認知とは
任意認知とは,父が自由意思により自分の子であることを承認することです。
(2)認知能力
認知をするには,父が未成年者または成年非後見人であっても,法定代理人を要しません(民法780条)。
(3)認知の方式
認知は,戸籍法の定めるところにより届け出ることによって行います(民法781条1項)。
また,認知は遺言によってもできます(民法781条2項)
(4)承諾を要する場合
①成年の子の認知
成年の子は,その承諾がなければ,認知できません(民法782条)。
②胎児の認知
父は胎児の認知をすることができますが,母の承諾を得なければなりません(民法783条1項)。
③死亡した子の認知
死亡した子でも,直系卑属がいる場合には認知ができますが,直系卑属が成年の場合には承諾を得なければなりません(民法783条2項)。
3 強制認知
(1)強制認知とは
強制認知とは,強制的に父子関係を認めさせることをいいます。
(2)認知を求める調停
調停前置主義が適用されるため,訴訟をする前に,子,その直系卑属またはこれらの者の法定代理人(民法787条本文)は,まず家庭裁判所に認知を求める調停を申し立てなければなりません(家事事件手続法257条1項)。
調停で当事者間で合意が成立すれば,家庭裁判所は合意に相当する審判をすることができ(家事事件手続法277条1項),認知の効力が生じます。
(3)認知の訴え
子,その直系卑属またはこれらの者の法定代理人は,家庭裁判所に認知の訴えを提起することができます(民法787条本文,人事訴訟法2条2号)。
認知の訴えは,父が死亡した後でも提起することができますが,父の死亡の日から3年以内に提起しなければなりません(民法787条但書)。
認知の訴えの被告は父ですが,父が死亡している場合には検察官が被告となります(人事訴訟法12条3項)。
4 認知の効果
(1)親子関係の発生(遡及効)
認知により,親子関係が生じます。
認知の効力は子の出生の時にさかのぼって生じます(民法784条本文)。
ただし,第三者が既に取得した権利を害することはできません(民法784条但書)。
(2)親子関係が発生することによって生じる効果
父の認知前は,非嫡出子は母の氏を称し(民法790条2項),母が親権者となりますが,認知後は,子は父の氏を称することができますし(民法791条1項),父が親権者となることもできます(民法819条4項)。
また,父が認知することにより,父は子を扶養する義務を負いますし,父の相続人となることができます。
なお,以前は,非嫡出子の法定相続分は嫡出子の法定相続分の2分の1とすると規定されていましたが(民法900条1項4号但書),違憲判決がでたことにより,その規定は削除されたため,現在では,非嫡出子の法定相続分と嫡出子の法定相続分は同じです。
5 認知の無効
民法786条は「子その他の利害関係人は,認知に対して反対の事実を主張することができる。」と規定しており,生物学上の親子関係がない場合や父の意思に基づかない届け出がなされた場合には,認知の無効の訴えをすることができます(人事訴訟法2条2号)。
なお,調停前置主義が適用されるため,訴訟をする前に,まず家庭裁判所に認知の無効を求める調停を申し立てなければなりません(家事事件手続法257条1項)。調停で当事者間で合意が成立すれば,家庭裁判所は合意に相当する審判をすることができ(家事事件手続法277条1項),認知無効の効力が生じます。
6 認知の取消し
人事訴訟法2条2号は,認知の取消しの訴えを人事訴訟の一つとしております(なお,調停前置主義が適用されるため,訴訟をする前に,まず家庭裁判所に認知の取消しを求める調停を申し立てなければなりません(家事事件手続法257条1項)。)。
取消事由については,条文上規定されていないため,様々な見解がありますが,認知に承諾を要する場合に(民法782条,民法783条)承諾を欠いたときは取り消すことができると解されています(ただし,無効原因になるとする見解もあります。)。
また,認知が詐欺または強迫による場合については,取消事由にあたるとする見解もありますが,民法785条が「認知をした父又は母は,その認知を取り消すことができない。」と規定しているため,認知無効の訴えによるべきであるとする見解が通説です。
三 準正
1 準正とは
準正とは,非嫡出子が父母の婚姻により嫡出子の身分を取得することです。
認知後,婚姻した場合(婚姻準正)と,婚姻後,認知した場合(認知準正)があります。
2 認知準正
父が認知した子は,父母の婚姻によって,嫡出子の身分を取得します(民法789条1項)。
3 認知準正
婚姻中父母が認知した子は,その認知の時から,嫡出子の身分を取得します(民法789条2項)。
条文上,「認知の時から」と規定されておりますが,効果は婚姻時にさかのぼるとする見解が通説です。
4 子が死亡していた場合
婚姻準正,認知準正の規定は,子が死亡していた場合にも準用されます(民法789条3項)。

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【親子問題】親子関係の種類・効果
親子関係としてどのような場合があるのか,親子関係があることによりどのような法的効果が生じるのかについて簡単に説明します。
一 親子関係の種類
1 実親子関係
血のつながりを根拠とする親子関係です。
嫡出子(法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子)と非嫡出子(法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子)があります。
2 法定親子関係
血のつながりのない親子関係であり,養子のことです。
養子は嫡出子となります(民法809条)。
二 親子であることの法的効果
1 親権
成年に達しない子(未成年の子)は父母の親権に属します(民法818条1項)。
子が養子の場合には養親の親権に属します(民法818条2項)。
また,両親が離婚する場合には,父母の一方が親権者となります(民法819条)。
親権の内容として,身上監護権(民法820条等)と財産管理権(民法824条)があります。
2 相続
被相続人の子は第1順位の相続人となります(民法887条1項)。
また,被相続人の親は第2順位の相続人となります(民法889条1項1号)。
3 扶養
親子は直系血族であり,直系血族は互いに扶け合わなければならず(民法730条),互いに扶養する義務を負います(民法877条1項)。
4 親族関係の発生
親子は一親等の血族であり,親族となります(民法725条1項)。
親族であることにより,民法その他の法律の規定で様々な法的効果が生じます。
5 氏
親子同氏の原則があります。
嫡出子は父母の氏を称し(民法790条1項),非嫡出子は母の氏を称します(民法790条2項)。
また,養子は養親の氏を称します(ただし,婚姻によって氏を改めた者が婚姻の際に定めた氏を称すべき間を除きます。民法810条)。
6 その他
生命侵害の不法行為の場合に,被害者の子や親には慰謝料請求権が認められる(民法711条)等,親子であることにより,法的効果が生じる規定があります。

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【離婚】離婚と氏(姓)
夫婦は,婚姻の際に夫または妻の氏のいずれかを称することになります(民法750条)。
また,夫婦が婚姻中に生まれた子(嫡出子)は父母の氏を称します(民法790条1項本文)。
では,離婚した場合,夫婦や子の氏はどうなるのでしょうか。
一 夫婦の氏
1 離婚による復氏
婚姻によって氏を改めた夫または妻は,離婚によって婚姻前の氏に戻ります(民法767条1項,771条)。
原則として,婚姻前の戸籍に編入されますが,婚姻前の戸籍が除籍されている場合や復氏する者が新戸籍の編成を申し出た場合には,新戸籍を編成します(戸籍法19条1項)。
2 婚氏続称
婚姻前の氏に復した夫または妻は,離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって,離婚の際に称していた氏を称することができます(民法767条2項,771条)。
この場合には,家庭裁判所の許可は不要です。
3 氏の変更の許可
3か月以内に婚氏続称の届け出をしなかったが,婚氏を称したい場合や,婚氏続称の届け出をしたが,婚姻前の氏を称したい場合には,家庭裁判所の許可を得た上で,氏の変更の届け出をしなければなりません。その際には,「やむを得ない事由」がなければなりません(戸籍法107条1項)。
なお,婚氏続称することにした者が後に婚姻前の氏へ変更を求めた場合には,「やむを得ない事由」の要件は,一般の場合よりは緩和して解釈される傾向があります。
二 子の氏
1 離婚後の子の氏
両親が離婚しても,子の氏は変更されません。
そして,父の氏を称する子は父の戸籍に入り,母の氏を称する子は母の戸籍に入るため(戸籍法18条2項),例えば,離婚により母が子の親権者となっても,子が父の氏を称している場合には,子を母の戸籍に入れることはできません(なお,母が婚氏続称をしたとしても,婚姻中の氏と婚氏続称による氏は,法的には別の氏になりますので,やはり,子を母の戸籍に入れることはできません)。
そのため,子を母の戸籍に入れるには,子の氏を母の氏に変更する必要があります。
2 氏の変更の許可
子が父または母と氏を異にする場合には,子は,家庭裁判所の許可を得て,戸籍法の定めるところにより届け出ることによって,父または母の氏を称することができます(民法791条1項)。
氏の変更許可の申立ては子が申立人となりますが,子が15歳未満の場合には法定代理人(親権者等)が子に代わって申し立てをすることができます(民法791条3項)。
3 子の成人後の氏の変更
氏を変更した子は,成年に達した時から1年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって,従前の氏に復することができます(民法791条4項)。
この場合,子は新戸籍を編成することもできますし,従前の氏を称する親の戸籍に入籍することもできます。

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【民事訴訟】本人訴訟
民事訴訟をする場合には,弁護士に依頼することもできますが,当事者本人だけで行うこともできます。
当事者本人だけで訴訟追行することを本人訴訟といいます。
一 本人訴訟とは
本人訴訟とは,訴訟代理人をつけずに,当事者本人が訴訟を追行することをいいます。
訴訟代理人には,①法令上の訴訟代理人(支配人(商法21条1項,会社法11条1項)や船長(商法713条1項)等)と②訴訟委任による訴訟代理人がおり,②の場合は弁護士でなければ訴訟代理人となることができないのが原則です(民事訴訟法54条1項本文。「弁護士代理の原則」といいます。なお,認定司法書士は簡易裁判所の訴訟で訴訟代理人になることができる等,弁護士以外の者が訴訟代理人になることができる場合があります。)。
もっとも,民事訴訟では訴訟代理人を付けることが強制されているわけではないので,当事者本人が訴訟代理人をつけずに,自ら訴訟追行することも可能です。
そのため,かなりの割合で本人訴訟が行われておりますし,裁判所も訴状や答弁書等の書式を用意しており,本人でも訴訟ができるようにしています。
二 本人訴訟をしようかどうかお考えの方へ
弁護士費用をかけたくない,本やインターネットで調べれば自分でできそうだ等と考えて本人訴訟をされる方もいらっしゃいます。
確かに,経済的利益が少額で弁護士を依頼しても費用倒れになる等,弁護士費用との兼ね合いで本人訴訟をするのがやむを得ないケースもあります。
しかし,なかには,弁護士費用をかけてでも弁護士に依頼した方がよいと思われるケースも少なくありません。
民事訴訟では当事者主義が原則であり,どのような内容の判決を求めるか,どのような事実を主張しどのような証拠を提出するかは当事者の判断に委ねられており(処分権主義,弁論主義),これらを適切に行うには専門的知識が必要です(裁判所は公正中立な立場で審理を行いますので,当事者の一方に肩入れすることはなく,本人訴訟だからといって,裁判所が特別な便宜を図ってくれることは通常,ありません。)。
どのような請求をするか,どのような法律構成をとるか,どのような主張,立証をするかは,訴訟の結果に大きく影響しますが,これらをご本人だけで行うのは困難であり,本来得られたはずの利益が得られなくなる結果になることもあります。また,和解で解決するにしても,どのような和解をすべきかについても,専門的知識がないと適切な判断は困難でしょう。
なお,いざとなったら訴訟を取下げてやり直せば良いと思われるかもしれませんが,取り下げができない場合もあります(民事訴訟法261条2項等)。
そのため,弁護士に依頼しようか,本人訴訟にしようかお悩みの方は,弁護士に相談した上で,どうすべきか良く検討すべきでしょう。
また,既に本人訴訟をやっているが,上手くいかなくて困っている方は,手遅れにならないうちに弁護士に依頼することを検討すべきでしょう。

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【交通事故】給与所得者の休業損害
一 給与所得者の休業損害
休業損害とは,交通事故による傷害の治療のため,休業し,収入を得ることができなかったことによる損害です。
原則として,1日あたりの収入(基礎収入)に休業日数を乗じて計算します。
計算式:給与所得者の休業損害=1日あたりの基礎収入×休業日数
休業損害立証の資料としては,休業損害証明書や源泉徴収票等があります。
休業損害証明書は,休業したことを証明する書類で,勤務先に作成してもらいます。休業損害証明書には,休業日数や,事故前3か月の給与額等が記載されており,これを基に休業損害を算定するのが通常です。
なお,給与の支払に際しては,所得税や住民税といった税金や社会保険料が控除されますが,休業損害の算定においては,税金や社会保険料は控除しないのが一般的です。
二 休業したことにより賞与の減額等があった場合
休業したことにより賞与の減額・不支給があった場合には,本来支払われるはずであった金額と実際に支払われた金額との差額が損害となり得ます。
また,休業したことにより降格し,収入が減った場合や,昇給,昇格が遅延し,収入が増えなかった場合も,損害となり得ます。
これらの場合,事故との相当因果関係が立証できるかどうかが問題となります。
三 有給休暇を使用した場合
有給休暇を使用した場合,現実の収入の減少はありません。
しかし,有給休暇の使用は,労働者の権利であり,財産的価値があるといえます。
そのため,事故が原因で有給休暇を使用させられた場合には,休業損害が認められます。
四 事故後に退職した場合,事故後に解雇された場合
事故後に退職した場合や事故後に解雇された場合であっても,事故との相当因果関係が認められる範囲で,退職・解雇した後も休業損害が認められます。

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【交通事故】休業損害
一 休業損害とは
休業損害とは,交通事故による傷害の治療のため,休業し,収入を得ることができなかったことによる損害です。
治療が終了した日(症状固定日)より後に収入が得ることができなかった分については,後遺症逸失利益の問題となりますので,休業損害は,交通事故が発生してから治療が終了した日(症状固定日)までに休業したことによる損害です。
原則として,1日あたりの収入(基礎収入)に休業日数を乗じて計算します。
(計算式:給与所得者の休業損害=1日あたりの基礎収入×休業日数)
休業損害は,職業によって計算の仕方が異なりますので,以下,職業ごとに説明します。
二 給与所得者(会社員等)
給与所得者の休業損害については,休業損害証明書や源泉徴収票で立証します。
有給休暇を使用した場合も休業損害と認められます。
給与所得者の休業損害については別に説明します。
三 事業所得者(個人事業者)
原則として,確定申告書により基礎収入を計算します。
事業所得者の休業損害については別に説明します。
四 会社役員
会社役員の役員報酬については,労務提供の対価としての部分と利益配当としての部分があり,原則として,労務対価部分については休業損害と認められますが,利益配当部分については休業損害とは認められません。
労務対価部分と利益配当部分をどのように区分するのか問題となります。
五 不労所得者
不動産を賃貸している者等不労所得者は,休業しても収入が得られるので,原則として,休業損害は認められません。
ただし,被害者が事故前より不動産の管理を行っていたが,受傷により不動産の管理ができなり,他者に管理料を支払って管理してもらった場合等,労務の提供があった場合にはその範囲で損害と認められることはあるでしょう。
六 家事従事者
家事従事者には収入はありませんが,家事労働についても経済的な価値がありますので,受傷により家事労働できなかった場合には休業損害が認められます。
通常,賃金センサス第1巻第1表の産業計,企業規模計,学歴計,女性労働者の全年齢平均の賃金額(高齢者の場合には年齢別の平均賃金)を基礎収入とし,受傷により家事労働に従事できなかった期間について,休業損害が認められます。
パートタイマー等の兼業主婦については,現実の収入額と女性労働者の平均賃金額の高い方の金額を基礎収入として計算します。
なお,傷害の内容や程度によっては,受傷から治療終了までの間,全く家事労働ができないわけではないので,休業日数をどのように算定するか問題となり,例えば,入院期間中は100%,退院後,○か月間は○○%,その後は○○%というように,段階的に家事労働ができない割合を逓減させて,休業損害を計算することがあります。
七 失業者
収入の減少がないので,原則として休業損害は認められません。
ただし,労働能力及び労働意欲があり,就労の蓋然性がある場合には休業損害が認められることはありますが,基礎収入は平均賃金を下回るものと考えられます。
八 学生
原則として休業損害は認められませんが,収入があれば認められます。
就職が遅れたことによる損害は認められます。

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【離婚】子の親権者の指定の判断基準
協議や調停において当事者間でどちらが親権者となるか合意ができなかった場合には,審判や訴訟で裁判所が親権者を指定します。
子の親権者の指定については,子の利益や福祉のために,父母のどちらが親権者としてふさわしいか判断されます。
親権者の指定は子の利益や福祉の観点から判断されますので,離婚の有責性は余り考慮されません。
判断にあたっては,子の利益や福祉の観点から,父母側の事情(監護能力,資産・収入等の経済力,居住環境,教育環境,子に対する愛情,従来の監護状況,親族の援助があるかどうか等)や子の側の事情(年齢,性別,心身の発育状況,兄弟姉妹との関係,従来の環境への適応状況,環境の変化への適応性,子の意思,父母・親族との結びつき等)を総合的に考慮されます。
具体的には,以下のような基準があるとされています。
1 母性優先の原則
子供が乳幼児のうちは,母親の監護養育に委ねることが子の福祉に合致するとの考えです。
ただし,母親が親権者として不適格な場合や父親が養育監護を継続している場合には,母親だからといって親権者になることができるとは限りません。
2 継続性の原則
養育監護している者の変更は,子を心理的に不安定にさせることになるので,現実に子を養育監護している者が優先されるという考えです。
なお,現実に子を養育監護する者を優先すると,親の間で子の奪い合いが誘発されるという問題がありますが,子を違法に奪取した場合には,親権者としての適格性に問題があると判断されることもあります。
3 子の意思の尊重
親権者の指定は子の利益の観点から判断されるため,子の意思は尊重されます。
親権者の指定の裁判をするにあたっては,15歳以上の子の意見聴取をしなければならないとされておりますが(人事訴訟法32条4項),15歳未満であっても,意思を表明する能力があれば,子の意思表明は考慮されます。
4 兄弟姉妹の不分離
幼児期の子に兄弟姉妹がいる場合には,一緒に養育すべきであり,分離すべきではないという考えです。
離婚により,兄弟姉妹が離れ離れになることは,子にとって更なる心理的な苦痛となるからです。
5 面会交流を許容しているかどうか
子が別居している親の存在を知り,良好な関係を保つことは,子の人格形成のために重要です。
そのため,子に他方の親のことを肯定的に伝えることができ,他方の親と子の面会交流を認めることができるかどうかも,親権者としての適格があるかどうかの判断の基準となります。

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【離婚】子の親権者の指定
未成年の子がいる場合,婚姻中は父母である夫婦が共同して親権を行うのが原則ですが(民法818条3項),夫婦が離婚する場合には,夫婦の一方を親権者と定めなければなりません(民法819条)。
夫婦間で離婚すること自体に争いがない場合でも,親権者の指定をめぐって争いになることがよくあります。
そこで,子の親権者の指定について簡単に説明させていただきます。
一 協議離婚の場合
協議離婚とは,話合いによって離婚することをいいます。
民法819条1項は,「父母が協議上の離婚をするときは,その協議で,その一方を親権者と定めなければならない。」と定めていますので,協議離婚をする際には,親権者をどちらにするのか定めなければなりません。
話合いで親権者を決める場合には,特に決まりがあるわけではありませんが,子の立場に立って,最善の結論を導くために,父母が冷静に話し合いをすることが望まれます。
協議離婚の場,離婚届の未成年の子の氏名欄に,夫が親権を行う子,妻が親権を行う子の氏名をそれぞれ記入し,離婚届を提出することで,親権者が指定されます。
親権者が定まっていないと離婚届は受理されませんので,夫婦は協議離婚することができません。
そのため,夫婦が離婚すること自体には合意していても,親権者を誰にするか合意することができず,協議離婚自体ができないことがよくあります。
二 調停離婚の場合
夫婦間で親権に関する話し合いがまとまらなかった場合には,家庭裁判所に離婚調停を申立て,調停委員などの第三者を交えて,離婚の問題とともに親権者を誰にするかを話し合うことになります。
調停で話合いがついた場合,調停調書に離婚の合意や親権者の指定などの内容を記載すると,調停離婚が成立します。
調停はあくまで話し合いの場ですので,夫婦間の合意が前提となります。
どちらを親権者とするかについて話合いがまとまらず,離婚自体についても話合いがつかない場合には調停は不成立となります。その場合には,離婚訴訟を提起して,その附帯処分として親権者を決めることになります。
また,離婚自体については合意しているけれども,親権者について決まらない場合には,離婚について調停を成立させ,親権者の指定については,調停に代わる審判(家事事件手続法284条)がなされることもあります。
三 裁判離婚の場合
1 子の親権者指定の申立て
調停で離婚の話合いがつかなかった場合には,家庭裁判所に離婚訴訟を提起することになり,附帯処分として親権者の指定の申立てをします。
裁判所は,離婚を認める判決において,夫婦に未成年の子がいる場合には,申立てがなくても職権で親権者の指定をしなければなりませんが(民法819条2項,人事訴訟法32条3項),当事者が親権者の指定の申立てをするのが一般です。
2 審理
親権者の指定は子の利益を基準として判断されます。
そのため,有責配偶者だから親権者となることができないというわけではなく,例えば,不貞行為をした配偶者であっても親権者となることができます。
裁判所は,子の親権者を指定する場合に事実の調査をすることができ(人事訴訟法33条1項),家庭裁判所の調査官に事実の調査をさせることができます(人事訴訟法34条)。
また,15歳以上の子がいる場合には,その子の意見が聴取されます(人事訴訟法32条4項)。
3 裁判離婚の場合の子の親権者の指定
(1)判決
離婚を認容する判決がなされた場合には,あわせて親権者が指定されます。
(2)訴訟上の和解
訴訟手続中に話し合いがなされ,離婚や親権者の指定などについて,当事者に合意ができた場合には,和解により親権者を指定することができます。
(3)親権者の指定がある場合には請求の認諾はできません。
離婚訴訟では被告が請求を認諾することができますが(人事訴訟法37条1項本文),親権者の指定などの附帯処分の裁判を要する場合には請求の認諾はできません(同項但し書)。
四 まとめ
どのような方法で親権者を定める場合であっても,当事者は,子の利益が最優先であることをしっかり認識することが必要です。
相手方に対する反感から親権を主張したり,離婚条件の交渉材料として親権を主張したりするべきではありません。
親権者を定める場合に,両親の離婚によりすでに精神的に大きなダメージを受けている子を,さらに傷つけることがあってはなりません。

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【法律相談】弁護士の守秘義務
1 弁護士には守秘義務がありますので,安心してご相談ください
法律相談のご予約の際,相談者の氏名や連絡先,相手方等関係者の氏名や,事案の概要をお聞かせいただいております。
また,法律相談の際には,契約書等の関係資料をお見せいただいております。
弁護士に相談する内容はプライバシーに関わるものですので,ご自身や相手方の情報を開示することや,契約書等の資料を見せることを躊躇される方も少なくありません。
しかし, 弁護士は,以下のように,守秘義務を負っておりますので,安心してご相談ください。
2 利益相反の有無を確認する必要があります
例えば,弁護士が相手方の相談を受けている場合,相手方から事件を受任している場合等利益相反にあたる場合には,弁護士は原則として職務を行うことはできません(弁護士法25条,弁護士職務基本規程27条,28条)。
弁護士が利益相反する事件について職務を行うことは,相談者や依頼者の利益を害するおそれがありますし,弁護士の職務執行の公正の確保,弁護士の品位と信用の確保の観点から問題があるからです。
そのため,法律相談を受ける際には,利益相反がないかどうかを確認するために,当事者や関係者の氏名などをお聞きかせいただいております。
3 法律相談で適切なアドバイスをするためには,正確な情報が必要です
法律問題は事案によって千差万別であり,具体的な事実や証拠の有無によって異なるため,一般論では,適切なアドバイスにならないことが通常です。
例えば,離婚の法律相談では,相談者から離婚できるかどうか聞かれますが,具体的な事実やどのような証拠があるのか分からなければ,大まかな見通しをつけることさえできません。
そのため,事実を正確に把握し,できる限り適切なアドバイスをさせていただくため,相談者の方には,具体的な事情をお話ししていただくと共に,契約書などの重要な書類や,手紙やメールなどの資料がある場合には,それらをお見せいただいております。
4 弁護士の守秘義務
弁護士法23条は「弁護士又は弁護士であった者は,その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し,義務を負う。但し,法律に別段の定めがある場合は,この限りではない。」と規定しており,弁護士は職務上知り得た秘密を保持する権利を有し,義務を負います。
また,日本弁護士連合会が定める弁護士職務基本規程23条は,「弁護士は,正当な理由なく,依頼者について職務上知り得た秘密を他に漏らし,又は利用してはならない。」と規定しており,弁護士は依頼者について職務上知り得た秘密を他に漏らすことが禁じられているのみならず,これを利用することも禁じられております。
このように,弁護士には守秘義務がありますので,安心してご相談ください。

東武東上線・有楽町線・副都心線・武蔵野線沿線を中心に、新座市・志木市・朝霞市・和光市などの地域で、離婚・相続・借金問題・交通事故など、暮らしに身近なご相談を多くお受けしています。事前予約で平日夜間や土日祝のご相談にも対応。法律を身近に感じていただけるよう、丁寧な説明と親身な対応を心がけています。お困りごとがあれば、どうぞ気軽にご相談ください。
【離婚】養育費・婚姻費用の履行確保
一 事例
私は,先日,調停で夫と離婚しました。調停では,私が子供の親権者になること,夫が子供の養育費を支払うことが決まり,その旨調停調書に記載されました。
夫は,はじめのうちは養育費を支払ってくれていましたが,3か月ほど前から,何かと言い訳をして支払いを渋るようになりました。
子供は2人とも中学生でお金がかかりますので,私の給料だけではとても生活していけません。夫に養育費を支払わせるには,どうしたらいいでしょうか。
二 履行確保の方法
1 履行勧告
家庭裁判所の調停や審判で決まった金銭の支払いなどの義務を履行しない場合,権利者の申出により,裁判所は,義務者に対して義務の履行を勧告することができます(家事事件手続法289条)。
申出に費用はかかりませんし,簡易迅速な方法であるため,利用しやすい方法であるといえます。
ただし,義務者が勧告に従わなかった場合,義務の履行を強制することはできません。
2 履行命令
家庭裁判所の調停や審判で決まった金銭の支払いその他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った場合,権利者の申立てにより,裁判所は,義務者に対して義務の履行を命ずる審判をすることができます(家事事件手続法290条)。
義務者が正当な理由なく命令に従わないときは,10万円以下の過料に処せられます。
義務者は命令に従わなくても過料に処されるだけですので,権利者が債権を回収することができるわけではありません。
2 強制執行
(1)金銭債権の執行
地方裁判所は,権利者の申立てにより,義務者の財産(不動産,動産,債権)を差し押さえて,その財産の中から金銭債権の弁済を受けます。
養育費や婚姻費用等の金銭債権については,以下の規定があります。
①将来分の差押え
養育費や婚姻費用等の定期金債権の一部に不履行がある場合には,期限が到来していない分についても,給料その他の継続的給付にかかる債権を差し押さえることができます(民事執行法151条の2)。
②差押禁止債権の範囲
差押禁止債権について,通常は,給料等の4分の3が原則として差押禁止ですが(民事執行法152条1項),婚姻費用や養育費等の債権を請求する場合には,差押禁止部分は原則として2分の1とされています(民事執行法152条3項)。
(2)間接強制
間接強制とは,権利者の申立てにより,地方裁判所が,義務を履行しない者に対し,一定の金銭の支払いを命じることにより,義務者に心理的強制を加え,自発的に支払を促すことができます(民事執行法172条1項)。
金銭債権の場合には間接強制ができないのが原則ですが,婚姻費用や養育費については,間接強制をすることもできます(民事執行法167条の15)。
ただし,義務者に支払能力がない場合や債務を弁済することにより生活が著しく窮迫する場合には,間接強制は利用できません(民事執行法167条の15第1項但書)。
また,婚姻費用や養育費などの定期金債権の一部に不履行がある場合には,6月以内に期限が到来する分についても間接強制による強制執行を開始することができます(民事執行法167条の16)。
三 まとめ
養育費や婚姻費用の履行を確保するには,以上のような方法があります。
家庭裁判所に履行勧告をしてもらい,それで相手方が履行してくれば解決しますが,強制力がないため,相手方が従わない場合には,強制執行を検討すべきでしょう。
なお,当事者が協議して養育費や婚姻費用の支払いの合意をしただけの場合には,債務名義がないので,民事訴訟をするなどして債務名義を得た上で強制執行の手続をとることになります。

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