【親子問題】特別養子縁組

2015-06-16

一 特別養子縁組とは

特別養子縁組とは,子の利益を図るための養子縁組であり,養子となる者と実父母やその血族との親族関係が終了する養子縁組です。

 

二 特別養子縁組の成立

1 家庭裁判所の審判

特別養子縁組は,以下の要件があるとき,養親となる者の請求により,家庭裁判所の審判により成立します(民法817条の2第1項)。

2 要件

(1)夫婦共同縁組

養親となる者は,配偶者のある者でなければならず(民法817条の3第1項),夫婦の一方は他方が養親とならないときは,養親となることができません(民法817条の3第2項本文)。

ただし,夫婦の一方が他方の嫡出子(特別養子以外の養子は除く。)の養親となる場合を除きます(民法817条の3第2項但書)。

(2)養親の年齢

25歳に達しない者は養親となることができません(民法817条の4本文)。

ただし,養親となる夫婦の一方が25歳に達していなくても,その者が20歳に達していれば養親になることはできます(民法817条の4但書)。

(3)養子の年齢

特別養子縁組の請求時に6歳に達している者は養子となることができません(民法817条の5本文)。

ただし,その者が8歳未満であって6歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合には養子となることができます(民法817条の5但書)。

(4)父母の同意

特別養子縁組の成立には,養子となる者の父母の同意がなければなりません(民法817条の6本文)。

ただし,①父母が意思を表示することができない場合,②父母による虐待,悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は,同意は不要です(民法817条の6但書)。

(5)子の利益のための特別の必要性

父母による養子となる者の監護が著しく困難または不適当であることその他特別の事情がある場合に,子の利益のため特に必要があると認められなければなりません(民法817条の7)。

(6)試験養育期間

特別養子縁組の成立には,養親となる者が養子となる者を6か月以上の期間監護した状況を考慮しなければなりません(民法817条の8第1項)。

この期間は,特別養子縁組の請求前の監護の状況が明らかである場合を除き,請求時から起算します(民法817条の8第2項。

 

三 特別養子縁組の効果

特別養子縁組が成立すると,養方との関係では,普通養子縁組の場合と同様,養子は縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得する(民法809条)等の効果が生じます。

これに対し,実方との関係では,普通養子縁組の場合とは異なり,養子と実方の父母及びその血族との親族関係は終了します(民法817条の9本文)。

ただし,夫婦の一方が他方の嫡出子(特別養子以外の養子は除く。)の養親となる場合は,他方とその血族との親族関係は終了しません(民法817条の9但書)。

実方との親族関係が終了するため,養子となった者は,実方の相続をすることはありません。

もっとも,特別養子縁組によって実方との親族関係が終了しても,婚姻障害の規定は適用されます(民法734条,民法735条)。

 

四 特別養子縁組の離縁

1 離縁ができる場合

①養親による虐待,悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する場合で,かつ,②実父母が相当の監護をすることができる場合において,養子の利益のため特に必要があると認められるとき,家庭裁判所は,養子,実父母,検察官の請求により,離縁の審判をすることができます(民法817条の10第1項)。

それ以外の場合,離縁をすることはできません(民法817条の10第2項)。

 

2 離縁の効果

離縁の審判の確定により,養子と養親及びその血族との親族関係は終了します(民法729条)。

また,離縁により,実方との親族関係が回復します(民法817条の11)。

 

ページの上部へ戻る

Copyright(c) 2016 ながせ法律事務所 All Rights Reserved.