【交通事故】被害者が死亡した場合の損害 死亡慰謝料

2017-12-21

交通事故で亡くなった場合の損害としては,主に①逸失利益,②慰謝料,③葬儀費用がありますが,ここでは死亡慰謝料について説明します。

 

一 死亡慰謝料

慰謝料とは,不法行為によって生じた精神的損害に対する損害賠償のことです。民法710条は財産以外の損害についても賠償請求できるとしておりますので,精神的損害についても賠償請求することができます。

死亡慰謝料は,被害者が死亡したことによる慰謝料のことであり,被害者本人の慰謝料と遺族固有の慰謝料があります。

 

1 被害者本人の慰謝料

慰謝料請求権は被害者の死亡によって当然に発生し,これを放棄,免除する等の特別の事情がなければ,被害者の相続人が相続するものと解されています。

 

2 遺族固有の慰謝料

民法711条は「他人の生命を侵害した者は,被害者の父母,配偶者及び子に対しては,その財産権が侵害されなかった場合にはおいても,損害の賠償をしなければならない。」と規定しており,被害者が死亡した場合,被害者の父母,配偶者,子は固有の慰謝料請求をすることができます。
また,民法711条所定の者以外の者(内縁配偶者,兄弟姉妹,祖父母,孫等)であっても,被害者との間に民法711条所定の者と実質的に同視できる身分関係があり,被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者については,民法711条の類推適用により,固有の慰謝料請求ができると解されています。固有の慰謝料が認められるかどうかは,同居の状況,扶養の状況,事故の重大性・悪質性等の具体的な事情を総合考慮して判断されます。

 

二 自賠責基準

自賠責保険の支払基準では,
死亡者本人の慰謝料は350万円
遺族の慰謝料については,請求権者を被害者の父母,配偶者,子とし,請求権者が1人であれば550万円,2人であれば650万円,3人以上であれば750万円とされており,被害者に被扶養者がいれば200万円を加算する
とされています。

 

三 裁判基準

裁判基準(いわゆる赤い本の基準)では,死亡慰謝料について,
一家の支柱の場合(被害者の世帯が主として被害者の収入によって生計を維持している場合)は2800万円
母親,配偶者の場合は2500万円
その他の場合(独身,子供,幼児等)は2000万円から2500万円
が基準とされています。
上記の金額は被害者本人及び遺族の慰謝料を合わせた金額です。
また,上記金額は
一応の目安であり,具体的事情により金額は増減するものとされています。
具体的な事情としては,扶養家族の人数や加害者の悪質性等が考慮されます。

 

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