取扱業務案内 遺言

2014-06-23

1 遺言

ご家族がお亡くなりになった場合、亡くなった人(「被相続人」といいます。)の財産(「遺産」または「相続財産」といいます。)は、民法の定める者(「法定相続人」といいます。)が相続します。法定相続人が複数いる場合は、民法の定める割合(「法定相続分」といいます。)で共同相続し、誰がどの財産を取得するか遺産分割を行うことになります。

他方、民法は、被相続人の意思を尊重して、被相続人が誰に財産を帰属させるか決めることができるようにするために遺言制度を設けており、被相続人は、遺言を作成することで、遺産分割方法の指定、相続分の指定や、遺贈(法定相続人以外にも財産を与えることができます。)ができます。

 

2 遺言の種類

遺言の種類として、普通方式の遺言と特別方式の遺言があります。

 

普通方式の遺言には、

自筆証書遺言(民法968条)

公正証書遺言(民法969条、969条の2)

秘密証書遺言(民法970条)

があります。

 

特別方式の遺言には、

危急時遺言

疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者の遺言(民法976条)

遭難した船舶にいて死亡の危急に迫った者の遺言(民法979条)

隔絶地遺言

伝染病隔離者の遺言(民法977条)

在船者の遺言(民法978条)

があります。

 

これらのうち、自筆証書遺言と公正証書遺言の方式が利用されることが多いです。

 

3 自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者が全文、日付、氏名を自書し、押印する方式の遺言です(民法968条)。

作成が簡単で遺言者本人が一人で作成することも可能です。

もっとも、自筆証書遺言については、遺言者本人が作成したのか明らかではない、方式違反がある、内容が不明確であるといった理由等で成立や効力が争われるおそれがありますし、紛失のおそれがあります。

また、相続開始を知った後に家庭裁判所で検認手続き(遺言書の現状を明確にし、後日の変造・隠匿を防ぐ手続)をする必要があります(民法1004条、1005条)。

 

4 公正証書遺言

公正証書遺言とは、公正証書による遺言で

①証人2人以上が立ち会い

②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授(遺言者の口がきけない場合は、通訳人の通訳による申述又は自書)し

③公証人が遺言者の口授(遺言者の口がきけない場合は、通訳人の通訳による申述又は自書)を筆記し、遺言者、証人に読み聞かせ(遺言者又は証人が耳が聞こえない場合は筆記した内容を通訳人の通訳により伝えることに代えることができます。)、または閲覧させ

④遺言者と証人が筆記の正確なことを承認した後、各自、署名押印し(ただし、遺言者が署名できない場合には公証人がその事由を付記して署名押印に代えることができます。)

⑤公証人がその証書が①から④の方式に従って作成したものである旨付記して署名押印する

方式の遺言です(民法969条、969条の2)。

 

公正証書遺言については、作成に費用がかかりますし、公証人との打ち合わせが必要であるなど手間がかかります。

しかし、公証人が関与するため、成立や効力が争われるおそれは自筆証書遺言より少ないですし、公証役場で遺言が保存されるため、自筆証書遺言よりも安全で確実だといえます。

また、公正証書遺言は、検認の手続は不要です。

そのため、遺言を作成するのであれば、安全で確実な公正証書遺言の作成をおすすめします。

 

5 遺言の作成をお考えの方へ

遺言が発生したときに家族の間でもめ事を起こさないようにしたいとお考えの方には、遺言書の作成をおすすめします。

 

その際、どのような内容の遺言を作るかについては、先々のことを考える必要があります。

例えば、配偶者がいるのに、自宅を含む全財産を子に相続させる遺言を作成してしまうと、将来、配偶者の生活する場所がなくなるおそれがあります。

そのため、将来、子に財産を相続させたいと考えている場合でも、配偶者の生活のことを考えて遺言を作成する必要があります。

 

また、兄弟姉妹以外の相続人には、遺言によっても侵害されない権利(「遺留分」といいます。)があり、遺言の内容が遺留分を侵害する場合、遺留分を侵害された相続人は遺留分減殺請求をすることができます。

そのため、遺言で財産を取得できない相続人が遺留分減殺請求をすることが予想できる場合には、将来の相続人間の争いを避けるために遺留分を考慮した内容の遺言を作成したほうが良い場合もあります。

 

遺言を作成したいけれども、どのような遺言を作成したらよいかお考えの方は、ご相談ください。

 

 

 

 

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