【離婚】離婚届 創設的届出と報告的届出

2017-04-07

離婚する方法には,①協議離婚,②調停離婚,③審判離婚,④和解離婚,⑤認諾離婚,⑥判決離婚があります。

いずれの方法による離婚でも,届出(離婚届の提出)が必要となりますが,協議離婚の場合には,届出によって離婚の効力が生じるのに対し(創設的届出),協議離婚以外の離婚の場合には,届出がなくても離婚の効力は生じており,届出は離婚したことの報告となります(報告的届出)。

 

一 協議離婚の場合(創設的届出)

協議離婚は,戸籍法の定めるところにより,届け出ることによって,その効力を生じます(民法764条,739条1項)。

届け出は,当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で,または,これらの者から口頭でしなければなりませんが(民法764条,739条2項),届け出は書面(離婚届)で行うのが一般的です。

協議離婚する場合には,役所や役場から離婚届の用紙をもらってきて,その用紙に必要事項を記入し,夫婦双方が署名押印し,証人2人に署名押印をしてもらい,本籍地または所在地の市区町村の役所や役場に離婚届を提出します。本籍地以外の役所や役場に届け出る場合は,戸籍謄本または戸籍事項全部証明書が必要となります。

また,夫婦に未成年の子がいる場合,協議離婚するときには,一方を親権者と定めなければなりませんので(民法819条1項),離婚届には,夫が親権を行う子の氏名または妻が親権を行う子の氏名を記載します。

 

離婚届は,当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で,または,これらの者から口頭でなされたこと(民法764条において準用する民法739条2項),親権者の定めがあること(民法819条1項)その他の法令の規定に違反しないことが認められた後でなければ,受理されませんが(民法765条1項),違反して受理された場合であっても,離婚の効力は妨げられません(民法765条2項)。

 

また,離婚届作成後に離婚意思がなくなった場合,役所・役場に離婚届が受理される前に不受理申出をしておけば,離婚届は受理されなくなりますので(離婚届不受理申出制度),離婚届を作成後に離婚意思がなくなった場合や,離婚意思がないが相手方や第三者が勝手に離婚届を出すおそれがある場合には,離婚届を出される前に不受理申し出をしておきましょう。

 

二 協議離婚以外の離婚の場合(報告的届出)

①調停離婚は調停の成立,②審判離婚は審判の確定,③和解離婚は和解の成立,④認諾離婚は請求の認諾,⑤判決離婚は判決の確定により,それぞれ離婚の効力が生じます。

これらの場合,離婚の効力が成立した日から10日以内に報告的届出をしなければなりません(戸籍法77条1項,63条1項)。

 

届出は,離婚届(用紙は協議離婚の用紙と同じです。)に必要事項を記入し,①調停調書の謄本,②審判書の謄本と確定証明書,③和解調書の謄本,④認諾調書の謄本,⑤判決書の謄本と確定証明書,のいずれかを添付して,本籍地または所在地の役所や役場に提出します。

協議離婚の場合とは異なり,証人は不要です。

届け出は,原則として申立人(原告)が行いますが,申立人が10日以内に届け出を行わない場合には相手方(被告)も届け出をすることができます(戸籍法77条1項,63条2項)。

また,相手方が届出をしたい場合には,調停条項や和解条項で「相手方(被告)の申出により離婚する」としておけば,相手方(被告)が届け出をすることができます。

 

なお,当事者が協議離婚の形をとることを望み,調停条項や和解条項で協議離婚の合意をすることがありますが,その場合には調停離婚や和解離婚ではありませんので,協議離婚の場合の届出をしないと離婚の効力は生じません。

 

 

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