【離婚】清算的財産分与の2分の1ルール
夫と離婚の話合いをしている際,財産分与についても話し合ったのですが,夫は,自分が働いて得た財産だから,専業主婦である妻には,半分も渡したくないと主張しています。
専業主婦の場合,財産分与は半分よりも少なくなるのでしょうか。
一 清算的財産分与の2分の1ルール
財産分与には,①清算的財産分与(夫婦が婚姻中に協力して形成した財産を清算すること),②扶養的財産分与(離婚後の扶養として財産分与すること),③慰謝料的財産分与(離婚の慰謝料を財産分与に含めること)があり,このうち清算的財産分与が財産分与の中心です。
清算的財産分与は,夫婦が協力して形成した財産を夫婦で分けることですが,どの割合で分けるのかについて,かつては妻が専業主婦の場合には,妻の寄与度を低くみて,妻への分与の割合を2分の1より低くしていた時期もありました。
しかし,最近では,特段の事情がない限り,夫婦は財産の形成に等しく貢献しているものとみて,専業主婦であるか,共働きであるかどうか問わず,特段の事情がない限り,財産分与の割合は2分の1とされています(清算的財産分与の「2分の1ルール」といいます。)。
そのため,清算的財産分与については,原則として以下のように計算します。
清算的財産分与の額=(請求者の財産+義務者の財産)÷2-請求者の財産
二 2分の1ルールが修正される場合
清算的財産分与については,2分の1ルールが原則であり,多くの場合,2分の1の割合で算定されますが,例外がないわけではありません。
夫婦の一方が特別な才能,専門知識や努力により多額な収入を得て,財産が形成された場合には,特段の事情があるものとして,割合が修正されることがあります。
例えば,夫が会社経営者等で特別な才能,専門知識や努力により多額の収入を得ていた場合には,夫の寄与割合が2分の1より高いと判断されることがあります。
また,夫婦共働きで妻に夫と同程度以上の収入があるだけでなく,妻が家事育児のほとんどを行っていた場合や,夫が仕事も家事育児もせず,妻だけが仕事や家事育児をしていた場合には,妻の寄与割合が2分の1より高いと判断されることがあります。
三 まとめ
以上のとおり,夫婦共有財産の形成における夫婦の貢献の程度は等しいものとして,2分の1の割合で分与するのが原則です。
そのため,専業主婦だからというだけで,清算財産分与の割合が2分の1より低くなるということは通常ありません。