【民事訴訟】和解のメリット・デメリット

2017-02-03

民事裁判では,判決でなければ終了しないというわけではなく,和解で解決することが多いですが,和解で解決することには,どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

 

一 和解のメリット

1 早期の解決ができる。

和解調書の記載は確定判決と同一の効力を有しますので(民事訴訟法267条),和解が成立することにより民事訴訟は終了します。

判決の場合は,終局判決が確定することにより民事訴訟が終了しますが,終局判決をするには,争点整理や証人尋問・当事者尋問を行う等,時間がかかりますし,判決が出ても,控訴や上告をされると判決が確定しないので,解決まで長期間を要します。

これに対し,裁判所は,訴訟がいかなる程度にあるかを問わず,和解を試みることができますので(民事訴訟法89条),早期に和解をして紛争を解決させることができます。

 

2 相手方からの任意の履行が期待できる。

判決の場合,相手方に支払能力があるかどうかや,相手方が納得するかどうか関係ありません。

そのため,判決が確定しても,相手方に支払能力がなければ,相手方は履行できませんし,支払能力があっても,相手方が判決に納得していない場合には,なかなか支払おうとせず,強制執行しなければならないことがあります。

これに対し,和解の場合,相手方は,支払可能な金額や条件でなければ和解しないでしょうし,和解で決めたことを履行するつもりがなければ和解しないでしょうから,和解成立後は,相手方が和解したとおりに履行してくることが期待できます。

 

3 柔軟な解決ができる。

和解は,当事者の合意による解決であり,当事者が合意できれば,請求内容以外についても取り決めをすることができます。

そのため,和解は,柔軟な解決をすることができますので,事案によっては,判決よりも和解で解決するほうが,妥当な解決ができることがあります。

 

4 敗訴を回避することができる。

判決では,どのような判決がなされるのかわかりませんし,一審で勝訴したとしても,控訴審や上告審で,判決の内容が変わる可能性があります。

敗訴の危険性がある場合,和解をすることで,相手方にある程度譲歩させた解決をすることができますので,最悪の結果を避けることができます。

 

二 和解のデメリット

和解は互譲が前提であるため,譲歩させられるというデメリットがあります。

 

相手方に金銭の支払を請求している事案で和解をする場合,相手方が請求額を全て認め,支払時期や支払方法(分割払い等)の約束をする和解ができることもありますが,相手方の反論や支払能力を考慮して,請求額を減額させられることがよくあります。

また,相手方から金銭の支払を請求されている事案で和解をする場合,相手方への支払い義務がないことを確認する和解ができることもありますが,通常は,相手方への支払義務をある程度認め,支払の約束をさせれられます。

 

勝訴の可能性が高い場合,和解で譲歩させられることは納得できないかもしれませんが,和解のメリットを念頭に置いて,どの範囲であれば譲歩してもよいか考えるべきでしょう。

 

 

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