【離婚】離婚原因(性格の不一致)

2017-01-17

夫婦の性格や価値観が合わないことから離婚を考えているけれども,相手方が離婚に応じない場合には離婚することはできないのでしょうか?

 

一 婚姻を継続し難い重大な事由

夫婦が離婚することに合意する場合には,離婚原因があるかどうかは問題となりませんので,性格の不一致を理由として離婚することができます。実際にも,性格の不一致が原因で離婚する夫婦が多いといわれています。

これに対し,夫婦の一方が離婚することに反対している場合には,協議離婚や調停離婚,和解離婚はできませんので,最終的に,判決離婚が認められるかどうかになります。

判決離婚ができるかどうかは,民法770条1項の規定する離婚原因(①不貞行為,②悪意の遺棄,③3年以上の生死不明,④回復の見込みのない強度の精神病,⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由)がなければなりません。

性格の不一致の場合は,①から④にはあたりませんので,⑤の婚姻を継続し難い重大な事由があるかどうかが問題となります。

 

婚姻を継続し難い重大な事由とは,婚姻関係が破綻しており,回復の見込みがないことをいいます。

婚姻を継続し難い重大な事由があるかどうかは,①夫婦の意思(婚姻継続の意思があるか,関係修復の意思があるか等),②夫婦の関係(会話,交流,性的関係,喧嘩等の有無・程度),③夫婦の言動や態度,④夫婦の年齢,職業,健康状態等,⑤子の有無,年齢,子との関係,⑥婚姻期間,同居期間の長さ,⑦別居の有無や別居期間の長さ等具体的な事情を総合的に考慮して判断されます。

 

二 性格の不一致が婚姻を継続し難い重大な事由にあたるか

人によって性格や価値観が違うのは当然のことであり,夫婦の性格や価値観に違いがあるのは普通のことです。

そのため,性格が極めて異常で婚姻関係を続けていくことができないような場合は別として,単に性格や価値観が違うというだけでは婚姻関係を継続し難い重大な事由があるとはいえないでしょう。

 

離婚したいと考える場合には,単に性格の不一致があるだけではなく,夫婦間で様々な問題が起こっているはずですから,そういった具体的な事情を離婚原因として主張すべきです。

例えば,性格の不一致が原因で夫婦が不仲になったことにより,喧嘩が絶えなくなったり,暴力や暴言,虐待があったりした場合には,それらの事実を離婚理由として主張することが考えられます。

また,夫婦が別居し,別居期間が長期に及ぶ場合には,婚姻関係が破綻していると判断されることがあります。どの程度の期間,別居していれば,婚姻関係が破綻しているといえるのかについては,明確な基準があるわけではありません。同居期間との比較や,具体的な事情によって,破綻していると判断される別居期間の長さは異なります。

 

三 まとめ

夫婦が性格や価値観の違いから離婚に至ることは多いですが,相手方が離婚に同意しない場合には,性格の不一致だけでは,通常,婚姻を継続し難い重大な事由があるとはいえず,離婚は難しいでしょう

そのため,離婚したい場合には,まずは相手方が離婚に同意するよう説得することを検討すべきです。

それでも,相手方が離婚に応じない場合には,判決離婚ができるかどうか,婚姻を継続し難い重大な事由があるのかどうか検討することになります。性格の不一致以外の事情から,婚姻関係の破綻が認められることもありますので,どのような事情を主張することができるのか良く検討しましょう。

長期間の別居により婚姻関係の破綻が認められることもありますので,長期間別居した上で離婚を求めることも,考えられます。

 

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