不貞行為があった場合、離婚や離婚条件にどのような影響があるか

2017-01-10

離婚事件では,主に①離婚できるかどうか,②慰謝料,③財産分与,④親権,⑤面会交流,⑥養育費,⑦年金分割が問題となりますが,配偶者の一方が不貞行為をした場合,どのような影響があるでしょうか。

 

一 不貞行為がある場合の影響

1 離婚できるかどうか

(1)不貞行為をされた配偶者からの離婚請求

配偶者の不貞行為は離婚事由にあたるため(民法770条1項1号),不貞行為をされた配偶者は,不貞行為をした配偶者と離婚することができます。

ただし,不貞行為がある場合であっても,裁判所が一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認め,離婚を認めないこともありますので(裁量棄却。民法770条2項),不貞行為があっても,必ず離婚できるというわけではありません。

なお,不貞行為とは,配偶者がいる者が自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性交渉をすることをいうため,性交渉がないプラトニックな恋愛の場合は民法770条1項1号の離婚事由にはあたりませんが,「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)にあたり,離婚が認められることはあります。

 

(2)不貞行為をした配偶者からの離婚請求

不貞行為をした配偶者からの離婚請求は,有責配偶者からの離婚請求になり,原則として認められませんが,一切認められないわけではありません。

婚姻関係が破綻しており,有責配偶者からの離婚請求が信義則上容認される場合には,離婚が認められると解されております。

離婚を認めても信義則に反しないかは,①別居期間が両当事者の年齢及び同居期間を対比して相当の長期間に及ぶかどうか,②未成熟の子が存在しないかどうか,③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的にきわめて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められないかどうかといった点を総合的に考慮して判断されます。

 

2 慰謝料請求

不貞行為は,不貞行為をされた配偶者に対する不法行為にあたるため,既に婚姻関係が破綻していた場合等特段の事情がない限り,不貞行為をした配偶者は,他方配偶者に対し,慰謝料を支払う義務を負います。

慰謝料額は,不貞行為をした配偶者の有責性の程度(不貞行為の期間や回数,同棲の有無等),不貞行為をされた配偶者の精神的苦痛の大きさ,婚姻生活の状況,婚姻期間や年齢,未成年の子の有無,双方の資力等,具体的な事情により異なります。

 

3 財産分与

財産分与には,①清算的要素,②扶養的要素,③慰謝料的要素があり,このうち①清算的要素が財産分与の中心です。

不貞行為は,扶養的財産分与や慰謝料的財産分与に影響しますが,清算的財産分与については,夫婦が婚姻中に形成した財産を清算するものですから,影響しないと解されます。

 

4 親権

離婚した場合,夫婦のどちらが親権者となるかについては,子の利益を最優先に考慮しなければなりませんので,不貞行為をしたからといって,そのことをもって親権者になれないというわけではありません。

 

5 面会交流

面会交流は,子の福祉を最優先に判断されるため,不貞行為をしたからといって,それだけで面会交流が認められなくなるわけではありません。

 

6 養育費

養育費は,子の養育のために支払われるものです。

そのため,養育費を請求する親が不貞行為をした有責配偶者であったとしても,養育費の支払義務や額に影響しません。

 

7 年金分割

年金分割には,合意分割と3号分割があります。

3号分割については,2分の1と割合が決まっているため,不貞行為をしたかどうかは関係ありません。

また,合意分割については,当事者が合意で按分割合を決めることができますが,合意ができなければ,家庭裁判所が按分割合を決めることになります。その際,裁判所は,殆どの場合,按分割合を0.5としており,不貞行為をしたことだけで按分割合が異なるということはないでしょう。

 

二 まとめ

以上のとおり,不貞行為があった場合には,不貞行為をされた配偶者の離婚請求や慰謝料請求は,原則として認められるでしょう。

これに対し,清算的財産分与,親権,面会交流,養育費,年金分割については,不貞行為があっても,通常,影響はありません。

そのため,不貞行為をされた配偶者からすれば,相手方の不貞行為が原因で離婚することになったのだから,離婚条件は自分の思い通りになるはずだとお考えになるかもしれませんが,必ずしも思い通りになるとは限りません。不貞行為をした配偶者から得られる慰謝料額よりも,不貞行為をした配偶者への財産分与額のほうが高くなる場合もありますので注意しましょう。

また,不貞行為があった場合でも,不貞行為をした配偶者が不貞行為の事実を否認したり,不貞行為があったことを立証できなかったりすることもありますので, 相手方が不貞行為を認めているかどうか,不貞行為の証拠があるかどうかについても注意しましょう。

 

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