【離婚】有責配偶者からの婚姻費用・養育費の請求

2016-08-17

不貞行為をした有責配偶者が別居した後に婚姻費用分担請求をしてきた場合,婚姻費用を分担しなければいけないのでしょうか。

また,離婚して有責配偶者が子を養育することになった場合には,養育費を支払わなければならないのでしょうか。

 

 

1 有責配偶者からの婚姻費用分担請求

婚姻関係が破綻している場合であっても,婚姻関係が続いている以上は婚姻費用分担義務がなくなるわけではないと解されています。

もっとも,有責配偶者の婚姻費用分担請求は,権利の濫用にあたるものとして,請求が認められなかったり,減額されたりすることがあります。

どのような場合に権利濫用であると判断されるのかについては,婚姻費用分担額の算定を簡易迅速に行う必要性から,権利者(請求する側)が不貞行為をしたことが証拠上明らかである場合等,権利者に有責性があることが明白である場合に限られると解されております。

義務者(請求される側)が,権利者が勝手に出て行って別居したのだから婚姻費用は支払わないと主張することがありますが,勝手に別居したというだけでは権利の濫用にあたるとはいえませんので,義務者は婚姻費用の分担を免れることはできません。

また,権利者が有責であったとしても,子に責任はありませんから,権利者が子を監護している場合には,子の監護費用相当額については,義務者は支払を免れることはできません。婚姻費用分担額が減免されるのは,有責配偶者の分に限られます。

 

2 有責配偶者からの養育費請求

養育費は,子の養育のために支払われるものですから,養育費を請求する親が有責配偶者であるかどうかは,養育費の支払義務や額に影響しません。

そのため,権利者が有責配偶者であっても,義務者は養育費を支払う義務を負います。

なお,権利者が有責配偶者である場合,義務者は権利者に対し慰謝料請求をすることができることから,権利者が慰謝料を支払う代わりに,義務者との間で,慰謝料請求権と養育費請求権を相殺することを合意し,養育費の支払を減免することがありますが,子が生活に困窮することがないよう配慮すべきでしょう。

 

 

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