【離婚】不貞行為の証拠

2017-10-13

離婚事件において,不貞行為があったかどうかは,離婚原因や慰謝料請求に影響しますので,不貞行為の有無は大きな争点となります。
不貞行為の事実について当事者間に争いがある場合,不貞行為の証拠があるかどうかが重要になりますが,どのようなものが証拠となるのでしょうか。また証拠を収集するにあたって,どのようなことに注意すべきでしょうか。

 

一 不貞行為の証拠

1 写真・動画・録音

配偶者とその不貞相手が旅行中に撮影した写真,自宅やホテルに宿泊している写真,性交渉や性交類似行為をしている写真は,不貞行為を裏付ける証拠になります。
また,写真以外に動画を撮影していたり,録音していた場合には,動画や録音データも証拠となります。

 

2 興信所・探偵社の調査報告書

興信所や探偵社の調査報告書により不貞行為の存在を立証することができる可能性があります。
もっとも,調査が功を奏するかわかりませんし,調査期間が長くなると多額の調査費用がかかりますので,利用するかどうかは慎重に検討すべきでしょう。

 

3 メール

配偶者と不貞相手が,携帯電話やパソコンでメールのやりとりをしていることがあります。メールの内容が不貞関係の存在をうかがわせるものであれば,重要な証拠となります。

 

4 不貞相手からの手紙

不貞相手から配偶者に宛てた手紙は,内容によっては,不貞行為の存在を推認させる証拠となります。

 

5 レシート・領収証

ホテルや避妊具等のレシートや領収証は,不貞行為の存在を推認させる証拠となります。

 

6 ICカードやETCの履歴

配偶者が電車等の公共交通機関を利用して相手方の自宅等に行っている場合には,ICカードの履歴が証拠となります。
また,自動車で行っている場合には,ETCの履歴が証拠となります。

 

7 手帳・日記

配偶者の手帳に不貞相手の連絡先や密会の日時や場所について記載があったり,日記に不貞相手と会ったことや不貞相手への気持ちが書いてあれば,不貞関係を推認させる証拠となります。

 

8 覚書・謝罪文

不貞行為の発覚後,配偶者の一方が他方に対し,不貞行為を認めた覚書や謝罪文を渡すことがあります。配偶者が不貞行為を認めているので重要な証拠となります。
紛失したり,破棄されたりしないよう厳重に保管しておくべきですし,写真に撮ったり,コピーをとったりしておいたほうがよいでしょう。

 

9 不貞行為を認める内容のメールや録音データ等

夫婦間の話合いにおいて,配偶者が不貞行為を認める内容のメールを送っていたり,不貞行為を認める発言が録音されていれば,メールや録音データが不貞行為の証拠となります。

 

10 その他

配偶者が別居し,不貞相手と同棲している場合には,同棲していることの証拠も不貞行為の証拠となりますし,不貞相手との間に子ができた場合にはその証拠も不貞行為の証拠となります。
また,証人尋問や本人尋問により,不貞行為を立証することができるかもしれませんので,客観的な証拠がないからといって諦める必要はありません。

 

二 違法収集証拠として証拠能力が争いになる場合

不貞行為の証拠は,メールや手紙等,個人のプライバシーに関するものが多く,当事者の一方が他方に無断で見てよいのかという問題があり,違法収集証拠として証拠能力(証拠調べの対象となる資格)の有無が争いになることがあります。
相手方の同意なく収集されたからといって直ちに証拠能力が否定されるわけではありませんが,収集行為の違法性が強い場合には違法収集証拠として証拠能力が否定される可能性がありますので,注意しましょう。

 

三 まとめ

不貞行為は,通常,密室で行われますので,相手が不貞行為の存在を認めない場合には,立証は容易ではありません。
そのため,証拠を収集しておく必要がありますが,どのような証拠が有力な証拠となるかは,証拠の種類(写真,メール,手紙など)で決まるわけではなく,内容がどのようなものかによります。
また,一つひとつの証拠だけでは不貞行為の事実を立証するのに不十分だったとしても,複数の証拠をつなぎ合わせると不貞行為の事実を立証できることもありますので,決定的な証拠がないからといって諦める必要はありません。
ただし,不貞行為の証拠はプライバシーに関わるものが多いので,証拠の収集や扱いには細心の注意を払いましょう。

 

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