【交通事故】弁護士費用保険(弁護士費用特約)

2017-10-20

交通事故被害にあい,加害者に損害賠償請求する場合,弁護士費用保険(弁護士費用特約)がつかえれば,弁護士との法律相談料や依頼した場合の弁護士費用を保険会社が負担してくれます。

 

一 弁護士費用保険(弁護士費用特約)とは

弁護士費用保険(弁護士費用特約)とは,被保険者が交通事故等偶然の事故により被害を被ることによって,保険金請求者が損害賠償請求をした場合に弁護士費用を負担したことによって生じた損害について,一定の限度で保険金を支払われる契約です。

自動車保険の特約として,交通事故被害者が加害者に損害賠償請求する場合に弁護士との法律相談料や弁護士に依頼した場合の弁護士費用を保険会社が負担する場合が多いですが,自動車保険の特約以外の弁護士保険もありますし,交通事故被害の場合以外にも弁護士費用を負担してくれる契約もあります。
契約の内容は保険会社や保険商品によって異なりますので,詳しくは約款をご確認ください。

日弁連と協定を締結している保険会社の場合,日弁連リーガル・アクセス・センター(LAC)や各地の弁護士会のLACを通じて,弁護士を紹介してくれます。

 

二 弁護士費用保険(弁護士費用特約)を利用することによるメリット

1 弁護士費用の負担がなくなり,弁護士に相談や依頼がしやすくなる

弁護士への法律相談料や弁護士に依頼した場合の弁護士費用が保険会社から支払われるので,弁護士費用に躊躇して弁護士に相談や依頼ができない人にとっては,弁護士に相談や依頼がしやすくなるといえます。

 

2 保険料への影響

対人賠償保険や対物賠償保険等の主契約を利用した場合には,ノンフリート等級が下がり保険料が上がりますが,弁護士保険を利用してもノンフリート等級が下がらず,保険料に影響しません。

 

3 軽微な物損事故についても弁護士に依頼することができる

修理費が10万円から20万円くらいの軽微な物損事故で,依頼者が自ら弁護士費用を負担しなければならないとすると,費用倒れに終わるおそれがありますので,弁護士に依頼することは難しいでしょう。
しかし,弁護士費用保険を利用した場合には弁護士費用が保険会社から支払われるため,軽微な物損事故についても弁護士に依頼することができます。

 

三 弁護士費用保険(弁護士費用特約)を利用する場合の注意点

1 依頼者と弁護士との間の委任契約であること

弁護士費用保険は,依頼者が弁護士に依頼した場合の弁護士費用を保険会社が負担する保険であり,弁護士に依頼するにあたっては依頼者と弁護士が委任契約を締結しなければなりません。
依頼者は,契約の当事者ですので,当事者意識をもって,弁護士と協力して,紛争の解決に向けて努力する必要があります。

また,弁護士の報酬基準と保険会社の支払基準が異なる場合には,保険会社が弁護士費用の全額を負担してくれず,依頼者の自己負担が発生する場合があるので注意しましょう。
なお,日弁連LACを利用している場合には保険金支払基準(LAC基準)があり,その基準で契約しているときには,通常,保険会社もその基準での弁護士費用の負担を認めますので,問題となることは余りないでしょう。

 

2 支払限度額

例えば,法律相談費用の限度額が1事故あたり10万円,弁護士費用の限度額が1事故当たり300万円といったように,保険会社の支払に限度額がある場合,支払限度額を超える法律相談料や弁護士費用が発生すると,超過額は相談者や依頼者の自己負担となります。

 

3  加害者から反訴された場合

交通事故事件で加害者が被害者にも過失があると主張しているケースでは,被害者が損害賠償訴訟を提起すると,加害者が損害賠償を求めて反訴提起してくることがあります。
反訴を提起された場合,反訴についての弁護士費用が発生することになりますが,弁護士費用保険は,被害者が加害者に対し損害賠償請求する場合の弁護士費用をまかなう保険ですので,反訴の弁護士費用は弁護士保険では支払われません。
そのため,反訴提起された場合,依頼者がご自身で反訴の弁護士費用を負担しなければなりませんが,主契約(対人賠償保険,対物賠償保険)をつかうことで,反訴の弁護士費用も保険会社が負担してくることがありますので,保険会社に相談してください。
なお,弁護士保険をつかってもノンフリート等級が下がらない場合であっても,主契約をつかうとノンフリート等級が下がり,保険料が上がることがありますので,注意してください。

 

四 まとめ

弁護士費用保険がある場合には,法律相談料や弁護士費用を保険会社が負担してくれますし,弁護士費用保険を利用しても保険料は上がりませんので,加害者に損害賠償請求したいときには積極的に利用したほうがよいでしょう。
もっとも,まったく費用負担がなくなるとは限りませんし,特に双方に過失があるケースでは,加害者から損害賠償請求の反訴を提起されるおそれがありますが,反訴の弁護士費用は弁護士費用保険では支払われませんので注意しましょう。

 

 

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