【後見】任意後見監督人選任申立て

2016-06-13

任意後見契約の効力を発生させるためには,任意後見監督人の選任申立てをして,家庭裁判所に任意後見監督人を選任してもらう必要があります。

 

1 任意後見監督人選任申立てとは

任意後見契約が登記されている場合において,本人が精神上の障害により事理を弁識する能力(判断能力)が不十分な状況にあるときは,本人,配偶者,4親等以内の親族,任意後見受任者は,家庭裁判所に対し,任意後見監督人選任の申立てをすることができ(任意後見契約に関する法律4条1条),家庭裁判所が任意後見監督人を選任することで,任意後見契約の効力が発生します(法2条1号)。

 

2 本人の判断能力

「本人が精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況にあるとき」とは,本人の判断能力が補助開始相当程度以上に不十分な状況にある場合をいいます。

 

3 申立人

本人,配偶者,4親等以内の親族,任意後見受任者は,家庭裁判所に対し,任意後見監督人選任の申立てをすることができます(法4条1条)。

 

4 管轄裁判所

管轄裁判所は,本人の住所地を管轄する家庭裁判所です(家事事件手続法217条1項)。

 

5 本人の同意

本人以外の者が申立てをする場合には,本人が意思表示できないときを除き,本人の同意が必要となります(法4条3項)。

 

6 申立ての取下げの制限

家庭裁判所の許可がなければ,取り下げることはできません(家事事件手続法221条)。

 

7 意見,陳述の聴取

家庭裁判所は,①本人の精神の状況につき医師その他適当な者の意見,②本人の陳述(心身の障害により陳述を聴くことができない場合を除きます。),③任意後見監督人となるべき者の意見,④任意後見契約の効力が生ずることについて任意後見受任者の意見を聴いた上で(家事事件手続法219条,220条),任意後見監督人選任の審判をします。

 

8 任意後見監督人を選任することができない場合

家庭裁判所は,以下の場合には,任意後見監督人を選任することができません(法4条1項但書各号)。

 

①本人が未成年

②本人について,法定後見が行われており,その継続が本人の利益のために特に必要であると認められるとき

③任意後見受任者が,次に掲げる者である場合

ⅰ 未成年

ⅱ 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人,保佐人,補助人

ⅲ 破産者

ⅳ 行方の知れない者

ⅴ 本人に対し訴訟をし,またはした者及びその配偶者並びに直系血族

ⅵ 不正な行為,著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある者

 

9 登記

任意後見監督人が選任されたときは,登記されます。

 

 

 

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