【労働問題】解雇予告・解雇予告手当

2016-07-13

民法では,期間の定めのない雇用契約については,各当事者はいつでも解約の申入れをすることができ,申入れの日から2週間を経過することによって終了しますが(民法627条1項),解雇により労働者が被るダメージを考慮して,解雇予告・解雇予告手当の制度が設けられております。

 

一 解雇予告・解雇予告手当とは

使用者は,労働者を解雇しようとする場合,少なくとも30日前にその予告をしなければならず,30日前に予告をしない使用者は,30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません(労働基準法20条1項)。

予告の日数については,平均賃金を支払った日数分短縮することができます(労働基準法20条2項)。

ただし,①天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合,②労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合には,解雇予告や解雇予告手当は必要なく,使用者は労働者を即時解雇することができますが(労働基準法20条1項但書),行政官庁(労働基準監督署長)の認定を受けることが必要となります(労働基準法20条3項,19条2項,労働基準法施行規則7条)。

 

二 解雇予告・解雇予告手当が不要である場合

以下の労働者については,解雇予告制度の適用はなく(労働基準法21条),解雇予告も解雇予告手当も必要ありません。

①日日雇い入れられる者

(1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)

②2か月以内の期間を定めて使用される者

(所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)

③季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者

(所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)

④試用期間中の者

(14日を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)

 

三 労働基準法20条に違反した場合

1 罰則

労働基準法20条に違反した場合には,処罰されます(労働基準法119条)。

 

2 解雇の効力

30日前の予告または解雇予告手当の支払をしないで行われた解雇については,即時解雇としての効力は生じませんが,使用者が即時解雇に固執する趣旨ではない限り,通知後30日を経過するか,解雇予告手当の支払をしたときに,解雇の効力が生じると解されております(相対的無効説)。

 

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