【交通事故】交通事故と保険

2016-05-11

交通事故に関する保険として,主なものは以下のとおりです。

 

一 自動車損害賠償責任保険・共済(自賠責保険・自賠責共済)

強制保険(保険契約の締結が強制される保険)であり,自賠責保険・共済に加入していない自動車の運行は禁止されています。

人損についての保険であり,保険金の限度額が定められておりますが,被害者保護の観点から過失相殺が制限されています。

また,後遺障害等級認定制度があります。

二 任意保険(自動車保険)

自賠責保険(共済)は保険金の限度額が定められており,自賠責保険(共済)だけでは,損害の填補ができない場合がありますので,自賠責保険(共済)に上乗せして,任意保険(自動車保険)に加入するのが一般的です。

任意保険(自動車保険)の内容は,保険会社や保険契約により異なりますが,概ね以下のようなものがあります。

なお,他にも様々な特約があります。

 

1 人損

(1)対人賠償責任保険

自動車事故の人損について,被保険者が被害者に対し損害賠償責任を負うことによる損害を填補する保険です。

保険会社の示談代行サービスがあることが通常です。

 

(2)傷害保険

被保険者自身の人損について填補する保険です。

 

①自損事故保険

被保険者が死傷した場合で,単独事故や加害者に運行供用者責任を問えないときに支払われます。

 

②搭乗者傷害保険

被保険車の搭乗者が搭乗中の事故で死傷した場合に支払われます。

 

③無保険者傷害保険

相手方自動車が無保険自動車である場合に支払われます。

保険会社は,保険金を支払ったときには,被保険者の加害者に対する損害賠償請求を代位取得します。

 

④人身傷害保険

被保険者の人損について,責任の有無や過失割合を問わず,保険契約上の損害算定基準により算定された金額が支払われます。

保険会社は,保険金を支払ったときには,被保険者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得します。なお,過失相殺がある場合には,保険会社が代位する範囲が問題となります。

 

2 物損

(1)対物賠償責任保険

自動車事故の物損について損害賠償責任を負うことによる損害を填補する保険です。

(2)車両保険

被保険自動車に生じた物損を填補するものです。

保険会社は,保険金を支払ったときには,被保険者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得します。

 

3 弁護士費用等補償特約(弁護士費用特約)

被保険者が交通事故にあった場合,被保険者(被保険者が亡くなった場合には,相続人)が加害者に損害賠償請求をして弁護士費用等を負担したときに,一定の限度で保険金が支払われます。

 

三 社会保険

1 労働者災害補償保険(労災保険)

労働者が業務上または通勤途上で災害にあい,死傷した場合に保険給付がなされます。

交通事故も災害にあたるため,労働者が業務上または通勤途上で交通事故にあった場合には,労災保険を利用することが考えられます。

 

2 健康保険

交通事故にあった場合にも,健康保険を利用することができます。

被害者に過失がある場合,治療費が高額になることが見込まれる場合,加害者の支払能力に問題がある場合には,自由診療ではなく,健康保険を利用することを検討したほうが良いでしょう。

 

四 その他

生命保険や医療保険も利用できます。

損害を填補する趣旨ではないので,被害者の加害者に対する損害賠償請求額に影響はありません。

 

 

ページの上部へ戻る

Copyright(c) 2016 ながせ法律事務所 All Rights Reserved.