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【刑事弁護】保釈とは

2014-10-20

1 保釈とは

保釈とは、刑事事件で起訴された人(被告人)が拘置所等で身柄拘束(勾留)されている場合に一定の保証金の納付と引き換えに被告人の身柄拘束を解く制度です。

保釈は起訴された後の制度ですので、起訴される前に保釈されることはありません。

また、保釈をするにあたっては、保釈保証金の用意が必要となります。

 

2 保釈を請求できる人

①勾留されている被告人、②弁護人、③法定代理人、④保佐人、⑤配偶者、⑥直系の親族、⑦兄弟姉妹は保釈を請求することができます(刑事訴訟法88条1項)。

 

3 保釈の手続

通常の場合、保釈の手続は以下のように進みます。

①保釈請求書と身元引受書等の添付資料を裁判所に提出します。

②裁判所は検察官に意見を聴取します(刑事訴訟法92条)。

③裁判官と面接(面接を希望する場合)

④保釈許可決定又は却下決定

⑤許可決定がでた場合には保釈保証金の納付

⑥被告人の釈放

 

4 保釈の種類には3つあります

保釈には、権利保釈、裁量保釈、義務的保釈の3つがあります。

 

(1)権利保釈

保釈請求があったときは、以下の①から⑥の場合を除いては、これを許さなければならないとされています(刑事訴訟法89条本文)。

①被告人が死刑、無期又は短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯したものであるとき

②被告人が前に死刑、無期又は長期10年を超える懲役・禁錮に当たる罪につき有罪宣告を受けたことがあるとき

③被告人が常習として長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯したものであるとき

④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき

⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者やその親族の身体・財産に害を加え、又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき

⑥被告人の氏名又は住所が分からないとき

 

権利保釈が認められない理由としてよく挙げられるのは、④や⑤です。

ですから、保釈請求する場合には、罪証隠滅のおそれがないことや、被害者等への加害行為や畏怖行為のおそれがないことを具体的に主張する必要があります。

 

(2)裁量保釈

上記の例外に当たる場合であっても、裁判所が適当と認めるときは、職権で保釈を許可することができます(刑事訴訟法90条)。

保釈の必要性や逃亡のおそれがないこと(身元引受人が存在すること等)等を主張するとともに、主張を裏付ける資料(身元引受書等)を提出します。

 

(3)義務的保釈

勾留による拘禁が不当に長くなったときは、裁判所は、勾留を取り消さない限り、請求又は職権で保釈を許さなければならないとされています(刑事訴訟法91条1項)。

 

5 保釈保証金・保釈の条件

(1)保釈保証金

保釈をするにあたっては、保証金額が定められます(刑事訴訟法93条1項)。

保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならないとされています(刑事訴訟法93条2項)。

保釈保証金の額は事案により異なりますが、通常の執行猶予が見込まれるような事案では、200万円程度となることが多いです。

保証金の納付があった後に保釈されます(刑事訴訟法94条1項)。

なお、裁判所の許しがあれば、有価証券又は被告人以外の者の差し出した保証書を保証金の納付に代えることができます(刑事訴訟法94条3項)

(2)保釈の条件

保釈にあたっては、被告人の住居の制限、その他適当と認める条件が付されます(刑事訴訟法93条3項)。

 

6 保釈保証金が取り上げられる場合(没取)

保釈が許可されても、以下の①から⑤のうち一つでも当てはまると,検察官の請求又は職権により、保釈は取り消され、保釈保証金の全部又は一部が没取されてしまうことがあります(刑事訴訟法96条1項、2項)。

①被告人が召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき

②被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき

③被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき

④被告人が被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者やその親族の身体・財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき

⑤被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき

 

また、保釈された者が、刑の言い渡しを受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、保証金の全部または一部が没取されます(刑事訴訟法96条3項)。

 

7 裁判終了後保釈保証金が返還されます

保釈が取り消され保釈保証金が没取されることがなければ、裁判終了後、保釈保証金は返還されます(刑事訴訟規則91条)。

 

刑事弁護:執行猶予について

2014-09-02

起訴された場合、被告人やその家族の方にとって、執行猶予がつくか、実刑(執行猶予がつかない場合)になるかどうかは非常に気になることでしょう。

実際にも、刑事弁護の依頼を受けると、被告人やその家族の方から、「執行猶予になりますか?」という質問をよくされます。

そこで、執行猶予について簡単に説明いたします。

 

一 刑の執行猶予とは

刑の執行猶予とは、有罪の言渡しをされた場合に、情状によって一定期間その執行を猶予し、その期間を無事経過したときは刑の言渡しが効力を失うという制度です。

例えば、懲役刑の場合、刑務所に収容されてしまうのですが、執行猶予になると、それが取消されない限りは刑務所に入らなくてもよいことになります。

刑務所に入ると入らないでは、社会生活に大きな影響があるので、被告人やその家族の方にとって、関心が高くなるのも当然です。

なお、執行猶予になったとしても有罪であることは違いがないので、前科にはなってしまいます。

 

二 執行猶予の要件

1 初度の執行猶予(刑法25条1項)

①ⅰ 前に禁錮以上の刑に処されたことがない者 または

ⅱ 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、

情状により

判決確定の日から1年以上5年以下の範囲で、刑の執行を猶予することができます。

なお、執行猶予期間中、保護観察に付される場合があります(刑法25条の2第1項)。

2 再度の執行猶予(刑法25条2項)

前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者

1年以下の懲役又は禁錮の判決の言渡しを受けたときは(初度の場合と異なり、罰金は含まれません。)

情状に特に酌量すべきものがある場合には

保護観察付の執行猶予期間中に犯罪をした場合でなければ

再度の執行猶予ができます。

なお、再度の執行猶予が認められた者については、必ず保護観察に付されます(刑法25条の2第1項)。

 

三 執行猶予の取消し

1 必要的取消し(刑法26条)

次の場合には執行猶予は取り消されます。

猶予期間内にさらに罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがない場合

猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがない場合

猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚した場合(25条1項2号、26条の2第3号の場合は除きます。)

2 裁量的取消し(刑法26条の2)

次の場合には執行猶予が取消される可能性があります。

猶予期間内にさらに罪を犯し、罰金に処せられた場合

保護観察の遵守事項を遵守せず、その情状が重い場合

猶予の言渡しの前に他の罪について禁錮以上の罪に処せられ、その執行を猶予されたことが発覚した場合

 

四 執行猶予期間を経過した場合の効果

執行猶予を取消されることなく猶予期間を経過すると、刑の言渡しの効力を失います(刑法27条)。

刑の執行が免除されるだけでなく、刑の言渡しの効果が将来に向かって消滅しますので、例えば、懲役刑の執行猶予期間が経過するとその件については刑務所に入らなくてすみます。

 

身柄拘束されてから起訴までの流れ

2014-08-27

ご家族やご友人が逮捕された場合、どのように手続が進むのか、心配になる方が多いと思います。

そこで、逮捕から起訴までの一般的な流れをおおまかに説明します。

① 逮捕

 

② 検察官送致

警察官は、身柄拘束の必要があると判断すると、被疑者が身柄を拘束された時から48時間以内に検察官に送致します(刑事訴訟法203条1項)。

 

③ 勾留請求

検察官は、さらに身柄拘束の必要があると判断すると、被疑者を受け取った時から24時間以内に裁判官に勾留請求をします(刑事訴訟法205条1項)。

ただし、被疑者が身柄を拘束された時から72時間を超えることができません(同条2項)。

 

④ 勾留

勾留請求を受けた裁判官は、検察官からの資料と、勾留質問における被疑者の陳述を踏まえて、勾留の要件を満たしているかどうかを判断します。

勾留された場合、勾留期間は、原則として勾留請求をした日から10日です(刑事訴訟法208条1項)。やむを得ない事情がある場合には、通算して10日を超えない限度でこの期間を延長することができます(同条2項)。(なお、特定の罪名の事件については、さらに5日まで延長することができます。刑事訴訟法208条の2)

事案によっては、接見禁止となり、家族であっても面会できないことがありますが、その場合でも弁護人は被疑者と接見することができます。

 

⑤ 処分

検察官は、どのような処分をするか(不起訴にするか、公判請求するか、略式起訴するか等)を判断し、勾留満期までに処分します。

不起訴になった場合や略式起訴された場合(罰金、科料の納付をします。)には、釈放されます。

公判請求された場合には、身柄拘束は続きますが、身柄拘束を解く制度である保釈を請求することができるようになります(刑事訴訟法88条1項)。

 

以上のように、逮捕された場合には、通常、起訴までに最長で23日間身柄が拘束されることになります。

弁護人としては、被疑者が身柄拘束された場合には、被疑者と接見してアドバイスするとともに、被害者がいる場合には示談交渉をする等して、早期の身柄解放を目指すことになります。

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