【離婚】不貞行為による慰謝料と離婚による慰謝料

2017-09-05

妻が夫の不倫相手に慰謝料請求をし,その後に離婚した場合,妻は夫と不倫相手に対し,離婚による慰謝料を請求することができるでしょうか。

 

一 不貞行為による慰謝料

不貞行為(配偶者以外の者と肉体関係をもつこと)は婚姻共同生活の平和の維持という権利または法的保護に値する利益を侵害する行為であり不法行為となります。
そのため,不貞行為をされた配偶者は,不貞行為をした配偶者とその不倫相手に対し,不貞行為により精神的苦痛を被った慰謝料請求をすることができます。
ただし,肉体関係をもった時点で婚姻関係が破綻していた場合には,婚姻共同生活の平和の維持という権利または法的保護に値する利益がありませんので,特段の事情がない限り不法行為とはなりません。

 

二 離婚による慰謝料

夫婦の一方の有責行為により離婚することになった場合,慰謝料請求をすることができます。
離婚による慰謝料としては,①離婚原因となった有責行為(不貞行為等)から生じた精神的苦痛の慰謝料と②離婚したことによる精神的苦痛の慰謝料があります。
①,②のいずれを根拠とするか余り区別はされていませんが,消滅時効や遅延損害金の起算点に影響はあるでしょう。

 

三 不貞行為による慰謝料請求をした後に離婚する場合

不貞行為による慰謝料請求をした後に離婚する場合,改めて離婚による慰謝料請求をすることはできるでしょうか。
広島高等裁判所平成19年4月17日判決は,妻が夫とその不倫相手を被告とする慰謝料請求訴訟(前訴)の判決確定後に離婚による慰謝料請求訴訟(後訴)を提起した事案について,①前訴と後訴では訴訟物が異なるため,前訴の既判力は後訴には及ばないとしつつ,②前訴では不貞行為および婚姻関係が破綻したことによる精神的苦痛に対する慰謝料請求をしているので,新たな精神的苦痛は生じていないと判断しました。
この裁判例からすれば,不貞行為による慰謝料請求について,未だ婚姻関係が破綻していないとして低額の慰謝料しか認められなかった場合には,婚姻関係が破綻したことによる精神的苦痛の慰謝料は含まれていませんので,その後,婚姻関係が破綻し離婚に至った場合には,改めて離婚による慰謝料請求をすることはできるのではないかと考えられます。

 

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