【民事訴訟】訴状を受け取ったとき,被告はどう対応すべきか

2017-09-01

原告が訴訟を提起すると,裁判所は,被告に訴状の副本と第一回口頭弁論期日の呼出状等の書類を送ってきます。

被告が何もしないで放置していると欠席判決になり,原告の請求が認められ,強制執行により財産の差押え等を受けるおそれがありますので,被告としては無視しておくことはできません。訴状を受け取った場合,被告としては,どのように対応をすべきでしょうか?

一 答弁書の作成・提出

被告は,答弁書を作成して,第一回口頭弁論期日前に裁判所に提出しなければなりません(民事訴訟規則79条1項)。また,原告にも答弁書を送ります(民事訴訟規則83条)。

答弁書を提出せず,第一回口頭弁論期日に欠席すると,欠席判決となり,原告の請求内容がそのまま認められてしまうのが通常ですから,答弁書の提出は忘れないようにしましょう。
答弁書は,裁判所から送られてきた用紙に記入して作成することもできますが,自分で必要事項を記載して作成することもできます。答弁書の記載内容は訴訟の結果に影響しますので,答弁書にどのようなことを記載すべきか分からない場合には,弁護士に相談や依頼をしたほうがよいでしょう。

また,答弁書の提出は,第1回口頭弁論期日の前に提出しておきましょう。できる限り指定された提出期限までに提出すべきなのはいうまでもありませんが,間に合わないからといって当日持参しようとすると,期日に出席できなかったり,遅刻した場合に,答弁書の提出のないまま第1回口頭弁論期日に欠席したものと扱われ,欠席判決になってしまいます。その場合,争うには控訴しなければなりません。

 

二 第1回口頭弁論期日への出席

裁判所から第1回口頭弁論期日を指定した呼出状が送られてきますので,指定された期日に出席しましょう。
ただし,第1回口頭弁論期日より前に答弁書を提出しておけば,期日に欠席しても答弁書の記載内容を陳述したものと擬制されますので(民事訴訟法158条),出席しないこともできます。

 

三 弁護士への相談・依頼

被告本人で訴訟に対応することも可能ですが,弁護士に相談し,できれば依頼したほうがよいでしょう。弁護士に依頼することには,以下のようなメリットがあります。

 

1 適切な主張や証拠の提出

訴訟では,どのような主張をし,どのような証拠を提出するかによって,結果が変わってきます。本来であれば勝訴できる場合であっても,適切な主張や証拠を提出しないために敗訴することもあります。
適切な主張や証拠の提出をするには,法律や訴訟についての専門知識や経験が必要であり,弁護士に依頼せず,本人だけで行うことは難しいでしょう。
分からないことがあれば裁判所に聞けばよいと思われるかもしれませんが,裁判所は公正中立の立場で当事者に接しますので,基本的に一方当事者の肩を持つことはしませんから,裁判所がどうすればよいか教えてくれることは期待できません。自分の権利は自分で守らなければなりませんので,自分の権利を守るために,弁護士に依頼したほうがよいでしょう。

 

2 訴訟の準備の負担を軽減できる

被告は,答弁書や準備書面の作成・提出,証拠の提出等,訴訟の準備をしなければなりませんが,弁護士に依頼すれば,弁護士がこれらを行います。
弁護士に依頼したからといって,弁護士に任せきりでよいわけではなく,弁護士との打合せや,どういった事実があったのか記載したメモの作成,証拠を探してくる等,本人も活動しなければなりませんが,一人で全部抱えるよりも負担が大幅に軽減されます。

 

3 期日に出席しないで済む

仕事で忙しく裁判所に行くのが難しい場合や,裁判所に行くたくない場合には,弁護士に依頼すれば,弁護士が代理人として期日に出席しますので,基本的に本人は裁判所にいかなくて済みます。
当事者の尋問がある場合には当事者本人の出席が必要となりますし,和解期日に本人の出席が求められることもありますので,弁護士に依頼したからとって全く裁判所にいかないで済むとは限りませんが,出席しないで訴訟が終わることもありますし,毎回出席しないで済みますので,本人の負担は大幅に軽減されます。
なお,弁護士に依頼した場合であっても,本人が出席することは当然できます。

 

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