【離婚】養育費の変更(増額請求・減額請求)

2019-06-21

養育費の額を決めた後に,失業や病気で収入がなくなった場合等,事情の変更があった場合には,養育費の増額や減額を請求することができます。

 

一 養育費の増額請求・減額請求

民法880条は「扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは,家庭裁判所は,その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。」と規定しており,この規定により,養育費の額を決めた後に事情の変更がある場合には,養育費の増額または減額の請求をすることができます。
養育費の増額,減額のほか,養育費の終期を変更することもあります。また,養育費不請求の合意をした後に,事情の変更があれば,養育費の請求が認められることもあります。

 

二 事情の変更

養育費の増額請求や減額請求が認められるには,養育費を決めた当時予測することができなかった重大な事情の変更があり,従前の養育費が不相当となったことが必要となります。
例えば,増額請求する場合としては,①権利者の失業,病気,怪我により収入が減少した場合,②子が進学して学費が増える場合,③子が病気になって医療費がかかる場合等があります。
また,減額請求する場合としては,①義務者が失業,病気,怪我により収入が減少した場合,②義務者が再婚して扶養家族が増えた場合,③子が権利者の再婚相手の養子となった場合等があります。
事情の変更の有無が争いとなることに備えて,養育費の取決めをする際には,「収入の状況の変更,子の進学,病気などの事情があったときは,養育費の額について別途協議する」などの取決めをしておくことも考えられます。

 

三 変更の始期

養育費の増額や減額の請求した場合,養育費がいつから変更されるのかについては,増額や減額を請求したとき(調停や審判の申立てをしたときは,申立てをしたとき)からだと考えられています。

 

四 変更後の養育費の額

変更後の養育費の額は,増額請求や減額請求をしたときの権利者,義務者双方の収入をもとに簡易算定表や簡易算定方式により算定するだけではなく,養育費の合意をした当時の事情や合意後の事情も考慮されます。

 

五 手続

当事者間の合意により養育費の額を変更することができますが,協議による合意ができないときには,家庭裁判所に養育費の増額請求または減額請求の調停または審判の申立てをすることができます。

 

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