離婚原因 配偶者に不貞な行為があったとき

2015-01-09

話し合いで離婚をすることができなかった場合には,裁判で離婚することになりますが,裁判で離婚するには,民法770条1項の離婚原因がなければなりません。

離婚原因は,不貞行為(1号),悪意の遺棄(2号),3年以上の生死不明(3号),回復の見込みのない強度の精神病(4号),その他婚姻を継続しがたい重大な事由(5号)の5つです。

今回は1号の不貞行為について説明します。

 

1 離婚原因になる不貞行為とはなんですか

配偶者のある者が,自由な意思に基づいて配偶者以外の異性と性交渉を行うこと(いわゆる肉体関係がある場合)をいいます。

自由な意思に基づかない場合(例えば強姦被害にあった場合)には不貞行為にあたりません。

一緒に食事をした,デートをしただけのような場合には,不貞行為にはあたりませんが,5号のその他婚姻を継続しがたい重大な事由にあたる可能性があります。

 

2 婚姻関係が破綻していた場合でも不貞行為にあたりますか

すでに婚姻関係が破綻していた場合には不貞行為にあたりません。

裁判では,配偶者以外の異性と性交渉があった時点で,すでに婚姻関係が破綻していたかどうかが争いになることがよくあります。

 

3 不貞行為をされたら必ず離婚は認められますか

770条1項の離婚原因があったとしても,裁判所は,一切の事情を考慮して婚姻継続を相当と認めるときは,離婚請求を棄却することができます(同条2項)。

例えば不貞を許した場合には,同項により離婚請求が棄却されることもありえます。

また,不貞行為を許した場合には,信義則上離婚原因として主張できなくなることもありえます。

全面的に許したのか,条件付きで許したのか,その後の夫婦の関係はどうだったのかなど,さまざまな事情が総合的に考慮されます。

不貞行為をした配偶者に詫び状や誓約書を書かせる場合,許した証拠になる場合がありますので,内容には十分注意してください。

 

4 不貞行為をした配偶者から離婚請求はできますか

有責配偶者からの離婚請求の問題です。

不貞行為をした配偶者からの離婚請求なんて認められるはずがないと思われるかもしれません。たしかに,認められないのが原則ですが,判例上は一定の要件をみたしていれば認められることがあります。

また,不貞行為をした配偶者が,別の離婚原因を主張して離婚請求をすることもあります。その場合,離婚を求められた配偶者としては,相手方が不貞行為をした有責配偶者であると主張することが考えられますが,不貞行為があったことが裁判で認められるかどうかは証拠の有無等によりますので,自分は不貞行為をされた配偶者なのだから離婚請求されることはないだろうと高をくくってはいけません。

 

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