離婚時年金分割制度 合意分割と3号分割

2014-08-05

一 年金分割制度

離婚した場合、相手方に年金分割を請求することが考えられます。

年金分割というと、「年金が半分もらえるのかな」と思われるかもしれませんが、そうではありません。また、すべての年金が年金分割の対象になるわけではありません。年金分割制度によって分割されるのは、厚生年金の報酬比例部分、共済年金の報酬比例部分と職域部分(以下「厚生年金等」といいます)のうち、婚姻期間中に支払われた部分です。

離婚してから、「こんなはずじゃなかった」ということがないように、年金分割制度についてきちんと理解しておきましょう。

年金分割制度には、「合意分割」と「3号分割」がありますので、以下では、それぞれについて簡単にご紹介します。

 

二 合意分割

1 概要

合意分割は、夫婦の合意又は裁判手続によって、厚生年金等を分割することができるという制度です。

2 対象となる期間

婚姻期間中の加入期間全てです。

3 分割の割合

当事者双方の厚生年金等の記録を合算しその2分の1を上限として、夫婦間の合意又は裁判手続によって決められた割合で分割します。裁判手続によって決められる場合には、特段の事情がない限り2分の1になるのが一般です。

4 請求期間

原則として離婚後2年以内に請求する必要があります。

5 手続

(1)分割割合の合意等

分割割合を決める必要があるので、まず、夫婦の標準報酬の記録を確認しなければいけません。そこで、「年金分割の情報提供請求書」を、厚生年金の場合には年金事務所、共済年金の場合には共済組合(以下「年金事務所等」といいます)に、必要書類を添えて提出すれば、「年金分割のための情報通知書」という離婚時年金分割に必要な情報を入手することができます。この情報に基づいて、夫婦の合意又は裁判手続で分割割合を定め、年金事務所等に年金分割を請求することになります。

(2)年金分割の請求

年金分割の請求をする場合には、必要書類を添えて、「分割改定の請求書」を年金事務所等に提出します。必要書類には、離婚当事者の年金手帳又は国民年金手帳、基礎年金番号通知書、当事者双方の戸籍謄本、住民票、分割割合を確認するための書類などがあります。詳しくは、提出先の年金事務所等に確認してください。

 

三 3号分割

1 概要

3号分割、国民年金の第3号被保険者であった方が年金事務所等に申請することにより、相手方の厚生年金等を自動的に分割できるという制度です。第3号被保険者とは、会社員や公務員などの第2号被保険者の被扶養配偶者で、20歳以上60歳未満の人のことです。例えば、専業主婦がこれにあたります。

2 対象となる期間

平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間のみです。

3 分割の割合

2分の1と決まっています。

4 請求期間

原則として離婚後2年以内に請求する必要があります。

5 手続

年金分割の請求をする場合には、離婚当事者の年金手帳などの必要書類を添えて、「分割改定の請求書」を年金事務所等に提出します。詳しくは、提出先の年金事務所等に確認してください。

 

四 注意点

老後に年金をもらうには受給資格が必要です。原則として、公的年金に加入した期間の合計が25年以上でないと、受給資格がありません。年金の受給資格がないと年金分割請求しても年金はもらえませんので、ご注意下さい。

※平成29年8月1日から、受給資格を得るための保険料納付期間が25年から10年に短縮されます。期間が10年に満たない場合でも、後納制度等を利用することにより、受給資格が得られる可能性があります。

 

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