【離婚】婚姻の要件・効果

2015-11-06

離婚は婚姻関係の解消ですが,そもそも婚姻とはどのようなものなのでしょうか。

 

一 婚姻とは

婚姻とは,結婚すること,夫婦となることです。

民法では,法律上の手続を要求しており,法律婚といいます。

 

二 婚姻の要件

1 婚姻の意思の合致

婚姻をするには,当事者の婚姻意思の合致が必要です

婚姻意思とは,社会通念上,夫婦関係を形成しようとする意思のことです。

婚姻意思がなかった場合には,婚姻の無効原因となります(民法742条1号)

2 届出

婚姻は,戸籍法の定めるところにより届け出ることによって,効力を生じます(民法739条1項)。

届出は,当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面またはこれらの者からの口頭でしなければなりません(民法739条2項)。

婚姻意思は,届出の時点で存在することが必要であり,届出の時点で婚姻意思を欠くと婚姻は無効となります。

3 その他の要件(婚姻障害事由の不存在)

以下の婚姻障害事由が存在しないことが要件となります。

(1)婚姻適齢

男性は18歳,女性は16歳にならなければ婚姻することができません(民法731条)。

(2)重婚の禁止

配偶者のある者が重ねて婚姻することはできません(民法732条)。

(3)再婚禁止期間

女性は,前婚の解消または取消しの日から6か月を経過した後でなければ再婚することができません(民法733条1項)。

女性が,前婚の解消または取消しの前から懐胎していた場合には,出産の日から前項の規定は適用されません(民法733条2項)。

*最高裁判所平成27年12月16日大法廷判決は,民法733条1項の規定のうち,100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分について,憲法14条1項,憲法24条2項に違反すると判断しました。この判決を受けて,平成28年6月1日,民法733条を改正する法律が成立し,同月7日に施行されました。改正後は,①女性の再婚禁止期間が前婚の解消又は取消しの日から起算して100日となり(民法733条1項),②女性が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合又は女性が前婚の解消若しくは取消しの後に出産した場合には,再婚禁止期間の規定を適用しないこととなりました(民法733条2項)。

(4)近親婚の禁止

直系血族または三親等内の傍系血族の間(養子と養方の傍系血族の間は除きます。)では,婚姻することはできません(民法734条1項)。

特別養子縁組により養子と実方との親族関係が終了した後も同様です(民法734条2項)。

(5)直系姻族間の婚姻の禁止

直系姻族間では婚姻することはできません。離婚等により姻族関係が終了した後(民法728条)や特別養子縁組により養子と実方との親族関係が終了した後(民法817条の9)であっても同様です(民法735条)。

(6)養親子などの間の婚姻の禁止

養子もしくはその配偶者または養子の直系卑属もしくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では,離縁によって親族関係が終了した後でも婚姻をすることはできません(民法736条)。

(7)未成年者の婚姻についての父母の同意

未成年の子が婚姻するには,父母の同意がなければなりません(民法737条1項)。

父母の一方が同意しないとき,知れないとき,死亡したとき,または意思表示をしないときは,他の一方の同意だけで足ります(民法737条2項)。

 

三 婚姻の効果

1 同居・協力・扶助義務

夫婦は,同居し,互いに協力し扶助しなければなりません(民法752条)。

2 貞操義務

夫婦は互いに貞操義務を負います。

不貞行為は離婚原因となります(民法770条1項1号)。

3 夫婦財産制

(1)夫婦財産契約

夫婦は,婚姻の届け出前に,財産関係について契約をすることができます。

届け出までに登記をしなければ夫婦の承継人や第三者に対抗することはできません(民法756条)。

(2)法定夫婦財産制

夫婦財産契約がなかった場合,法定夫婦財産制度として以下の規定があります。

①婚姻費用分担義務

夫婦は,資産,収入その他一切の事情を考慮して,婚姻から生じる費用を分担します(民法760条)。

②日常家事債務の連帯責任

夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは,他方は,これによって生じた債務について,第三者に対して責任を負わない旨予告した場合を除き,連帯して責任を負います(民法761条)。

③夫婦間の財産の帰属

夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産)となります(民法762条1項)。

夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は,共有に属するものと推定します(民法762条2項)。

4 夫婦間の契約の取消権

夫婦間でした契約は,婚姻中,いつでも夫婦の一方から取り消すことができます。ただし,第三者の権利を害することはできません(民法754条)。

5 相続権

被相続人の配偶者は常に相続人となります(民法890条)。

6 子の嫡出化

婚姻中に生まれた子は嫡出子となります。

また,認知後に婚姻した場合(婚姻準正)や婚姻後に認知した場合(認知準正)も嫡出子となります(民法789条)。

7 夫婦同姓

夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫または妻の氏を称します(民法750条)。

8 姻族関係の発生

配偶者の一方と他方配偶者の血族との関係を姻族といいます。

三親等以内の姻族は親族となります(民法725条3号)。

9 成年擬制

未成年者が婚姻したときは,成年に達したものとみなされます(民法753条)。

10 生命侵害に対する慰謝料

配偶者の生命が侵害された場合,他方の配偶者は慰謝料請求をすることができます(民法711条)。

 

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