【離婚】離婚調停と婚姻費用分担調停の同時申立て

2018-05-21

配偶者と離婚したいけれども,離婚するまでの間の生活費も負担してもらいたい場合には,離婚調停と婚姻費用分担調停の申立てを同時にすることが考えられます。

 

1 離婚調停と婚姻費用分担調停の同時申立て

離婚調停は離婚や離婚条件について話合いをするものであり,婚姻費用の分担については話合いの対象とはなりませんので(なお,未払婚姻費用は財産分与で考慮されますが,全額が認められるわけではありません),離婚するまでの間の婚姻費用分担請求をしたい場合には,離婚調停とは別に婚姻費用分担調停の申立てをしなければなりません。
また,婚姻費用分担義務は基本的に請求時から生じると解されていますので,婚姻費用分担調停の申立ては早期に行なったほうが良いです。
そのようなことから,離婚したいけれども,離婚するまでの間の生活費も負担してもらいたい場合には,離婚調停と婚姻費用分担調停を同時に申し立てることが考えられます。

 

2 婚姻関係の破綻と婚姻費用分担調停

離婚調停で婚姻関係の破綻を主張しておきながら,婚姻費用分担請求をすることは矛盾するのではないか疑問に思われるかもしれません。
しかし,請求者やその監護する子の生活保持のため,婚姻費用分担額は迅速に決める必要があるところ,婚姻関係破綻の有無が判明するまで婚姻費用分担額が決まらないとすれば婚姻費用分担額を迅速に決めることが難しくなってしまいますので,一般的に,婚姻関係が破綻していても,婚姻関係が継続する限り,婚姻費用分担義務はなくならないと解されています(ただし,有責配偶者からの婚姻費用分担請求は権利の濫用にあたるものとして否定または減額されることがあります。)。
そのため,離婚調停を申し立て,婚姻関係の破綻を主張している場合であっても,離婚するまでの間の婚姻費用分担請求をすることができますので,離婚調停と婚姻費用分担調停を同時に申立てても矛盾はありません。

 

3 手続の流れ

離婚調停と婚姻費用分担調停の申立てをする場合には,それぞれについて申立書や必要書類等を準備して,家庭裁判所に提出します。
離婚調停と婚姻費用分担調停は併合されて,同一期日に並行して進められます。
生活費の早急な確保が必要な場合や離婚や離婚条件についての話合いが長期化するおそれがある場合には,まず婚姻費用分担額を決めてから,離婚や離婚条件についての話合いを進めることになりますが,そうでない場合には,財産分与額や解決金に婚姻費用分担額を含めて解決することもあります。

 

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