【離婚】離婚原因(悪意の遺棄)
2015-01-27
話し合いで離婚をすることができなかった場合には,裁判で離婚することになりますが,裁判で離婚するには,民法770条1項の離婚原因がなければなりません。 離婚原因は,不貞行為(1号),悪意の遺棄(2号),3年以上の生死不明(3号),回復の見込みのない強度の精神病(4号),その他婚姻を継続しがたい重大な事由(5号)の5つです。
今回は2号の悪意の遺棄について説明します。
1 「悪意の遺棄」とは
「悪意の遺棄」とは,正当な理由なく民法752条の同居・協力・扶助義務を履行しないことをいいます。
「悪意」というのは,社会的・倫理的非難に値する要素を含むものであり,積極的に婚姻共同生活を廃絶するという遺棄の結果たる害悪の発生を企図し,もしくはこれを認容する意思をいいます。単に遺棄の事実や結果の発生を知っているだけでは「悪意」があるとはいえません。
「遺棄」とは,相手方を置き去りにして家を出てしまうこと,相手方を追い出すこと,相手方が出ざるをえないようにしむけ,帰ってこられなくすること等をいいます。
例えば,半身不随となった配偶者を,十分な看護もせずに,突然家を出て行き,生活費も入れなかった場合には「悪意の遺棄」にあたると考えられます。
2 「悪意の遺棄」とまではいえない場合
同居・協力・扶助義務違反があるからといって,直ちに「悪意の遺棄」にあたるわけではありません。
もっとも,「悪意の遺棄」とまではいえないとしても,同居・協力・扶助義務違反がある場合には,5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとして,離婚原因の存在が認められることがあります。
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