【離婚】扶養的財産分与

2019-02-25

離婚をした夫婦の一方は相手方に対して財産分与請求をすることができます。
財産分与には,①清算的要素(夫婦が婚姻中に協力して形成した財産の清算),②扶養的要素(離婚後の扶養),③慰謝料的要素(精神的損害の賠償)がありますが,扶養的財産分与はどのような場合に認められるのでしょうか。

一  扶養的財産分与

財産分与の可否,分与の額・方法については,「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して」定められますので(民法768条3項),夫婦が婚姻中に協力して形成した財産の額だけでなく,婚姻期間の長さ,当事者双方の年齢,健康状態,職業,収入,稼働能力,特有財産を含めた財産の状況,有責性等様々な事情が考慮されます。
財産分与は清算的財産分与が中心ですが,清算的財産分与や慰謝料だけでは夫婦の一方が離婚後の生活に困窮することになる場合には,補充的に扶養的財産分与が認められることがあります。

 

二 扶養的財産分与が認められる場合

扶養的財産分与が認められるには,①請求者に扶養の必要性があること,②義務者に扶養能力があることが必要となります。

 

1 扶養の必要性

扶養の必要性があるかどうかは,請求者が受けた清算的財産分与や慰謝料,請求者の収入,稼働能力,特有財産を含む財産の状況,親族からの援助の状況,社会保障等を考慮して,経済的自立が困難かどうかで判断されます。

扶養の必要性が問題となる場合としては,①高齢の専業主婦の場合(年金分割制度の適用がない場合や分割後の年金額が少額の場合等),②病気の場合,③未成熟子を監護して働くことができない場合,④専業主婦で働き始めるまで時間がかかる場合等があります。

 

2 義務者の扶養能力

扶養的財産分与が認められるには義務者に扶養する能力がなければいけません。
義務者の扶養能力の有無は,義務者の収入や財産から判断されます。
義務者の財産については特有財産も含めて判断されます。

 

三 扶養的財産分与の方法

扶養的財産分与は,金銭の支払いで行われることが通常です。
金額については,生計を維持できる程度の金額です。その金額は,婚姻費用より低くなることが通常です。
期間については,経済的に自立することができるまでの期間です。専業主婦が就職できるまでの期間,子を保育園に預けることができるまでの期間,病気が治るまでの期間等,事案によって異なります。
支払については,一括払いの場合と定期金払いの場合があります。

また,金銭の支払以外の方法として,夫婦の一方が所有する住居に使用貸借権等の利用権を設定して,離婚後の相手方の居住が認めること等もあります。

 

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