【離婚】年金分割と清算条項

2015-04-10

一 事例

私は,先日,調停で離婚しましたが,調停では年金分割について取り決めをしませんでした。

そこで,私は,元夫に年金分割について話し合いを求めましたが,元夫は,調停調書には「当事者間には何らの債権債務が存在しないことを確認する。」という条項(清算条項)があるから,年金分割はできないと言ってきました。

清算条項があると,年金分割請求はできなくなるのでしょうか?

二 清算条項があっても年金分割請求はできます。

調停や和解で成立した場合,紛争が解決したことを確認するため,「当事者間には何らの債権債務が存在しないことを確認する。」,「名目の如何を問わず,金銭その他の請求をしない。」という条項(清算条項)を入れるのが一般的です。離婚の場合にも,調停や和解成立後に,慰謝料請求や財産分与請求をされないようにするため,清算条項を入れることが多いです。

清算条項がある場合には,当事者間には債権債務や請求権がなくなってしまうため,年金分割請求をすることもできなくなってしまうのではないかと思われるかも知れません。

しかし,年金分割請求権は,厚生労働大臣等に対する公法上の請求権であり,当事者の一方から他方に対する請求権ではありません。

そのため,清算条項を入れて,当事者間に債権債務や請求権がないことを確認しても,離婚後に当事者の一方は年金分割請求を行うことができます。

したがって,先の事例では,調停調書に清算条項が入っていたとしても,離婚後に年金分割請求をすることができますので,合意分割の場合は,元夫が話合いに応じなければ,家庭裁判所に申立てをして,按分割合を決めることができますし,3号分割の場合には,元夫との話合いも不要ですので,年金事務所に必要書類を提出して年金分割請求することができます。

ただし,年金分割請求は離婚をした日の翌日から2年以内にしなければなりませんので,期限には注意してください。

 

 

 

 

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