【離婚】婚姻費用と住宅ローン

2015-04-14

一 事例

私は,マンションを購入し,妻と共に居住していましたが,先日,マンションから出ていき,妻と別居しました。マンションは私の名義になっており,住宅ローンの債務者も私ですので,私は,別居後もマンションの住宅ローンを支払っております。

そうしたところ,妻が私に対し婚姻費用の支払を請求してきました。

私は,妻が生活しているマンションの住宅ローンを支払っていますので,ローンの支払分,婚姻費用の分担額を少なくすることができるのでしょうか。

 

二 婚姻費用と住宅ローン

婚姻費用分担額は,簡易算定方式や簡易算定表により算定することが一般的です。

簡易算定方式では,①権利者(婚姻費用を請求する者)と義務者(婚姻費用を請求される者)のそれぞれについて,総収入から公租公課や住居費等の特別経費を控除して基礎収入額を算定し,②双方の基礎収入の合計額をそれぞれの世帯に按分して婚姻費用分担額を算定します。

また,簡易算定表は,簡易算定方式に基づいて算定される婚姻費用を1万円または2万円の幅で表に整理したものです。

そのため,婚姻費用分担額の算定にあたっては,それぞれの住居費が考慮されますので,義務者が権利者の住居費を負担している場合には,その分,婚姻費用分担額から控除することになります。

したがって,義務者が,自身の家賃を負担しつつ,権利者が居住する物件の住宅ローンを支払っている場合には,義務者は権利者の住居費を負担しているといえるので,その分,婚姻費用分担額の算定において考慮されることになります。

ただし,住宅ローンの支払には,義務者の資産形成の側面もあります。

そのため,義務者が支払っている住宅ローンの全額について婚姻費用分担額から控除することができるわけではありません。

控除額の算定方法については,住宅ローン支払額の一定割合を控除する方法,権利者の収入に応じた標準的な住居費を控除する方法等,複数ありますので,当事者としては,具体的な事情を主張して,相当な金額が控除されるようにすべきでしょう。

 

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