【離婚】婚姻の無効,婚姻の取消し

2015-11-10

婚姻が成立するには,①婚姻意思の合致,②婚姻の届出,③婚姻障害事由の不存在が要件となりますが,婚姻の成立に瑕疵がある場合には,婚姻は無効となるか,取り消されます。

一 婚姻の無効

1 無効原因

①人違いその他の事由によって当事者間に婚姻する意思がないときや,②当事者が婚姻の届出をしないとき(方式を欠くだけの場合は除きます。)は,婚姻は無効となります(民法742条)。

2 効果

無効な婚姻は,訴訟や審判を経なくても当然に無効であると解されております。ただし,戸籍の訂正には婚姻無効の判決または審判が必要です(戸籍法116条)。

また,当事者のみならず,利害関係のある者は,無効を主張することができます。

3 手続

当然無効であり,訴訟や審判をしなくても婚姻の無効を主張することができますが,戸籍の訂正をするには法的手続をとることが必要です。

婚姻の無効を確認する法的手続としては,①婚姻無効の調停を申し立て,合意に相当する審判をする場合,②婚姻無効の訴えをする場合があります。

 

二 婚姻の取消し

1 取消事由

婚姻の取消しは,民法の規定がある場合に限定されております(民法743条)。

(1)不適法な婚姻の取消し

①婚姻適齢(民法731条),②重婚の禁止(民法732条),③再婚禁止期間(民法733条),④近親婚の禁止(民法734条),⑤直系姻族間の婚姻の禁止(民法735条),⑥養親子などの間の婚姻の禁止(民法736条)の各規定に違反した場合には,各当事者その他の取消権者は,婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができます(民法744条)。

なお,①婚姻適齢違反の場合,③再婚禁止期間違反の場合については,期間の経過等により取消しができなくなることがあります(民法745条,民法746条)。

(2)詐欺または強迫による婚姻の取消し

詐欺または強迫によって婚姻をした者は,婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができます(民法747条1項)。

詐欺を発見後または強迫を免れた後3か月を経過した場合や追認したときは取消しができなくなります(民法747条2項)。

2 効果

婚姻の取消しは将来に向かってのみ効力を生じます(民法748条1項)。

婚姻によって財産を得た場合には,利益を返還しなければなりません(民法748条2項,3項)。

3 手続

婚姻を取り消すには,家庭裁判所に婚姻の取消しを請求しなければなりません。

婚姻を取消す法的手続としては,①婚姻の取消しの調停,②婚姻の取消しの訴えがあります。

 

 

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