【離婚】協議離婚無効確認

2015-04-22

一 事例

先日,妻とケンカをしてしまい,勢いで離婚届にサインをしてしまいました。

あとで冷静になって考えてみると,やはり離婚はしたくないので,妻に離婚届を出さないように言ったのですが,妻は私の言うのを聞かずに離婚届を役所に出してしまいました。

どうすればいいでしょうか。

二 離婚したくないのに,離婚届が出されてしまった場合

協議離婚の有効要件として,①法律婚を解消しようとする意思(離婚意思)の合致,②戸籍法の定めによる届出が要求されております。

①離婚意思は,届出の時点に存在することが必要であるため,離婚届を書いた後で離婚意思がなくなった場合には,届出の時点で離婚意思を欠いていることになりますから,離婚は無効となります。

しかし,離婚意思を欠いていたとしても,離婚届が役所に提出されてしまうと,離婚届は受理され,戸籍に離婚した旨記載されてしまいます。

戸籍から離婚の記載を抹消するためには,協議離婚無効確認の調停の申立てをするか,協議上の婚無効確認の訴えを提起することが必要となります。

 

三 協議離婚無効確認の調停申立て・合意に相当する審判

協議上の離婚の無効を確認するにあたっては,まず家庭裁判所に,協議上の離婚無効確認の調停を申し立てる必要がありますが(調停前置主義),当事者の合意だけで離婚の無効が確認できるわけではなく,合意に相当する審判を得なければなりません。

調停の結果,当事者双方が,①協議上の離婚の無効を確認する審判を受けることに合意し,②無効原因について争わない場合には,家庭裁判所は,必要な事実を調査した上で,合意を正当と認めるときは,合意に相当する審判をすることができます(家事事件手続法277条1項)。

 

四 協議上の離婚無効確認の訴え

相手方が離婚の無効を争ってくる場合には,調停を申し立てても合意に相当する審判を得ることはできません。

その場合には,家庭裁判所に協議上の離婚の無効確認の訴え(人事訴訟法2条1号)を提起しなければなりません。

審理の結果,家庭裁判所が,夫婦の一方または双方が,離婚届の提出時に離婚意思がなかったと判断したときには,離婚無効確認の判決がなされます。

 

五 まとめ

以上のように,離婚する意思がないのに,離婚届が出されてしまった場合には,協議離婚無効確認調停の申立てや協議上の離婚無効確認の訴えを提起することができますが,大変な労力が必要となりますし,離婚無効が認められるかどうかも分かりません。

そのため,離婚する意思がない場合には,離婚届を出されないようにするために,速やかに離婚届の不受理申出書を役所に提出しておくべきです。

 

 

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