【相続・遺言】相続放棄の撤回・取消し

2023-04-24

相続放棄をした後に相続放棄をなかったことにすることはできるでしょうか。

 

一 相続放棄の撤回

相続放棄は、相続放棄ができる期間内であっても、撤回することはできません(民法919条1項)。

そのため、家庭裁判所に相続放棄の申述受理の申立てをして受理された場合には、後で気が変わって相続放棄を撤回したいと思っても、撤回できないので注意しましょう。

 

二 相続放棄の取消し

前述のとおり相続放棄は撤回することはできませんが、総則及び親族の規定により取り消すことができる場合には相続放棄を取り消すことができます(民法919条2項)。

 

そのため、相続放棄が錯誤取消しの要件を満たす場合、詐欺・強迫により相続放棄をした場合、未成年者が親権者の同意なく相続放棄をした場合、成年被後見人本人が相続放棄をした場合等、総則及び親族の規定による取消原因がある場合には相続放棄を取り消すことができます。

 

この取消権は、追認することができるときから6か月間行使しないときは時効により消滅します。また、放棄の時から10年経過したときも取消しはできなくなります(民法919条3項)。

 

取消しをする場合には、家庭裁判所に相続放棄取消しの申述をする必要があります(民法919条4項)。

なお、家庭裁判所に取消しの申述が受理されたとしても、取消原因の存在を終局的に確定するものではないと解されておりますので、受理された後に相続人から争われる可能性があります。

 

三 まとめ

以上のように、相続放棄を撤回することはできませんし、相続放棄の取消しも容易に認められるものではありません。

そのため、相続放棄をする場合には、事前に、相続放棄をしてもよいかどうか慎重に検討する必要があります。

 

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