【交通事故】治療関係費

2018-02-19

交通事故で傷害を負った場合の主な損害としては,①積極損害(治療関係費,文書料その他の費用等),②休業損害,③傷害慰謝料(入通院慰謝料)がありますが,ここでは治療関係費について説明します。

 

一 治療費,入院費

治療費や入院費は原則として実費全額が損害となりますが,損害と認められるには,事故との間に相当因果関係がなければなりませんので,必要性・相当性がなければなりません。
必要性,相当性を欠く場合には損害と認められませんので,実際に治療費や入院費が発生していても,過剰診療(診療行為に医学的な必要性や合理性がない場合)や高額診療(診療報酬額が特段の事由がないにもかかわらず,通常の水準より著しく高い場合)であるとの理由で損害と認められないことがあります。

 

二   入院中の特別室使用料(個室使用料,差額ベッド代等)

入院中の特別室使用料(個室使用料,差額ベッド代等)は,医師の指示がある場合や,症状が重篤である,空室がない等特別の事情がある場合に損害と認められます。
入院中,通常の大部屋の利用でも治療が可能であるにも関わらず,被害者が好みで個室等の特別室を利用しても損害とは認められないでしょう。

 

三 医療行為以外の症状改善のための費用

整骨院,接骨院,鍼灸,マッサージの施術費,温泉療養費等,医師による医療行為以外の症状改善のための費用については,医師の指示がある場合や必要性・有効性・合理性・相当性がある場合には相当額が損害と認められます。

 

四 症状固定後の治療費

症状固定(治療しても症状が改善しない状態)後の治療費は,原則として損害とは認められません。
もっとも,症状の内容や程度,治療の内容によっては,症状の悪化を防ぐ等の必要性があれば,症状固定後のリハビリ費用等の治療費が損害と認められることがありますし,将来行われる予定の治療行為や手術の費用が損害と認められることもあります。

 

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