【交通事故】交通事故の損害 弁護士費用

2017-02-14

交通事故の被害者が負担する弁護士費用も交通事故の損害となります。

 

1 弁護士費用を加害者に負担させることができるか

(1)判決の場合

民事訴訟では,判決で訴訟費用を敗訴者に負担させることができますが,弁護士費用は訴訟費用には含まれないため,被害者が弁護士に依頼して弁護士費用を負担しても,訴訟費用として加害者に負担させることはできません。

 

そこで,被害者が負担する弁護士費用について,交通事故の損害として,加害者に賠償させることができるかどうか問題となりますが,相当な範囲であれば交通事故の損害として,加害者に負担させることはできます。

不法行為の被害者が自分で訴訟活動をすることは容易ではなく,弁護士に依頼するのでなければ十分な訴訟活動をすることはできないため,不法行為の被害者が弁護士に依頼した場合の弁護士費用は,相当な範囲内のものであれば,不法行為と相当因果関係のある損害であると考えられるからです。

 

(2)示談,調停,和解の場合

示談,調停,和解は当事者の合意により成立しますので,弁護士費用を損害として加害者に負担させることができるかどうかは当事者次第ではありますが,調整金として支払額に上乗せされることがあります。

 

2 弁護士費用は,どの程度,損害として認められるのか

交通事故の被害者が弁護士に依頼した場合,その弁護士費用の全額が,交通事故の損害と認められるわけではありません。

実務上,交通事故の損害賠償請求訴訟では,請求認容額の10%程度に相当する額が,弁護士費用として交通事故と相当因果関係のある損害と認められることが多いです。

 

もっとも,必ず10%ということではなく,事件の難易等,事案によって異なります。

認容額が高額な場合には10%を下回ることがありますし,逆に認容額が少額な場合には10%を上回ることがあります。

 

3 弁護士費用特約がある場合

被害者が弁護士費用特約を利用した場合には,被害者が負担する弁護士費用について保険金が支払われます。

その場合でも弁護士費用が損害にあたるかどうか問題となりますが,弁護士費用特約を利用したことにより支払われる保険金は,被害者側が支払った保険料の対価ですから,被害者が弁護士費用特約を利用した場合であっても,弁護士費用は交通事故の損害となると考えられます。

 

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