【離婚】夫婦がそれぞれ子を監護する場合の婚姻費用,養育費

2018-08-23

婚姻費用分担額や養育費の算定は簡易算定表を用いて行うことが多いですが,簡易算定表は,夫婦の一方が子を監護している場合を前提としています。
そのため,夫婦がそれぞれ子を監護している場合,婚姻費用や養育費をどのように算定するのか問題となります。

なお,簡易算定方式と簡易算定表については,「【離婚】婚姻費用(簡易算定方式と簡易算定表)」,「【離婚】養育費(簡易算定方式と簡易算定表)」のページをご覧ください。

 

一 夫婦がそれぞれ子を監護している場合の婚姻費用分担額の算定

簡易算定方式では,婚姻費用分担額を以下の計算式で算定します。

婚姻費用分担額=(権利者の基礎収入+義務者の基礎収入)×権利者世帯の生活費指数÷(義務者世帯の生活費指数+権利者世帯の生活費指数)-権利者の基礎収入

基礎収入とは,収入のうち生活に当てられる部分のことです。
生活費指数については,夫,妻を100,0歳から14歳の子を55,15歳から19歳の子を90とします。

夫婦がそれぞれ子を監護している場合の婚姻費用分担額も上記の計算式で計算することができます。

例えば,妻の基礎収入が100万円,夫の基礎収入が250万円で,10歳と15歳の子がいる場合に,妻が10歳の子,夫が15歳の子をそれぞれ監護しているときは,夫が負担すべき婚姻費用分担額は以下のとおりです。

婚姻費用分担額(年額)=(100万円+250万円)×(100+55)÷(100+100+55+90)-100万円≒57万2463円

婚姻費用分担額(月額)=婚姻費用分担額(年額)÷12≒4万7705円≒5万円

なお,上記の例で夫が妻に婚姻費用を請求した場合には,婚姻費用分担額はマイナスになりますので,妻には婚姻費用分担義務はありません。

婚姻費用分担額(年額)=(100万円+250万円)×(100+90)÷(100+100+55+90)-250万円≒-57万2463円

 

二 夫婦がそれぞれ子を監護している場合の養育費の算定

夫婦がそれぞれ子を監護している場合の養育費の算定については,いくつかの方法が考えられます。以下,述べる方法以外の計算の仕方も考えられますのでご注意ください。

 

1 簡易算定表を用いる場合

①権利者が子全員を監護していると仮定して,簡易算定表に権利者,義務者双方の収入を当てはめて,養育費の額を算定します。
②上記の額に,子全員の生活費指数の合計に占める権利者が監護する子の生活費指数の割合を乗じて,義務者の負担額を算定します。

例えば,妻が10歳の子,夫が15歳の子をそれぞれ監護している場合に夫が負担すべき養育費は,①妻が子全員を監護していると仮定した場合に夫が支払うべき養育費が簡易算定表によると月額10万円から12万円であり,②その金額に,子全員の生活費指数の合計(145=55+90)に占める妻が監護する子の生活費指数(55)の割合(約0.38)を乗じると,夫の負担額は,約3万8000円から4万5000円となります。

 

2 簡易算定方式による場合

簡易算定方式では,養育費は以下の計算式で算定します。

養育費={義務者の基礎収入×(子の生活費指数÷義務者と子の生活費指数)}×{義務者の基礎収入÷(権利者の基礎収入+義務者の基礎収入)}

夫婦がそれぞれ子を監護している場合の養育費も上記の計算式を用いて算定することが考えられます。
その際,①まず,権利者が子全員を監護しているものと仮定した場合の義務者の負担額を計算し,②次いで,その額に子全員の生活費指数の合計に占める権利者が監護する子の生活費指数の割合を乗じて,義務者が負担すべき養育費の額を算定します。

例えば,妻の基礎収入が100万円,夫の基礎収入が250万円で,10歳と15歳の子がいる場合に,妻が10歳の子,夫が15歳の子をそれぞれ監護しているときは,夫が妻に監護される子のために負担すべき養育費は以下のとおりです。

①妻が子を全員監護していると仮定した場合の夫の負担額(年額)
250万円×(55+90)÷(100+55+90)×250万円÷(100万円+250万円)≒105万6851円

②子の生活費指数の割合を乗じた額(年額)
105万6851円×{55÷(55+90)}≒40万0874円

他方,上記の例で,夫が妻に養育費を請求したときは,妻が夫に監護される子のために負担すべき養育費が発生します。

養育費(年額)={100万円×(55+90)÷(100+55+90)×100万円÷(100万円+250万円)}×{90÷(55+90)}≒10万4956円

その場合,夫婦がお互いに養育費を支払いあうことになりますが,双方の負担額を差引きして,負担額が多いほう(例では夫)から少ないほう(例では妻)に差額を支払うことにすることも考えられます。

 

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