労働問題の発生から解決までの流れ

労働問題には、個別労働紛争(個々の労働者と使用者との間で生じた紛争)と集団的労使紛争(労働組合などの団体と使用者との間で生じた紛争)があります。

集団的労使紛争は、不当労働行為(集団的労使関係における使用者の一定の不正行為)についての紛争などです。

労働者個人の方が、弁護士に相談や依頼されるケースは、通常、解雇や残業代の不払等の個別労働紛争です。

個別労働紛争が発生した場合、当事者間の交渉のほか、以下のような解決方法があります。

個別労働紛争の主な解決方法

行政機関による解決手続
労働基準監督署への申告 労働基準監督署に使用者の労働基準法違反の事実を申告し、使用者の違反を是正させることで、結果的に紛争解決の実現を図ることができます。
紛争調整委員会のあっせん 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(個別労働紛争解決促進法)により、当事者の申請があった場合に都道府県労働局長が必要と認めたときには、紛争調整委員会に個別労働紛争(募集・採用に関する紛争は除きます。)のあっせんを行わせます(5条)。
当事者間で合意が成立した場合には、民法上の和解契約が成立したことになります。
紛争解決の見込がない場合には、あっせんは打ち切られます(15条)。
労働委員会のあっせん 労働委員会は、通常、集団的労使紛争を取扱いますが、個別労働紛争解決促進法20条により、労働委員会においても、個別労働関係紛争について、あっせんが行われます。
裁判所による解決手続
仮処分 訴訟による解決を待つことができない場合に行います。
仮処分事件では、原則として、当事者双方の審尋が行われます。
審尋の際に和解が成立する場合もあります。
仮処分であるため、命令が発令されたとしても本訴(訴訟)で争うことになりますし、本訴で敗訴した場合には、仮処分で受け取った金員を返還しなければなりません。
労働審判手続 個別労働関係民事紛争について、地方裁判所で労働審判委員会が審理し、調停の成立による解決を試み、調停が成立しない場合には審判を行う手続です。
原則として3回で終了するため、迅速な解決がはかれます。
ただし、審判に異議がある場合には、訴訟に移行します。
民事訴訟 終局的な解決を図ることができます。
通常、和解または判決により終了します。

 

弁護士への相談・依頼

交渉による解決や、行政機関のあっせんによる解決は、いずれも労働者と使用者との間で合意ができなければなりません。
合意ができない場合には、裁判所による解決手続をとることが必要となります。

しかし、裁判所による解決手続については、専門的・法律的知識が必要です。

そのため、裁判所による解決手続をお考えの方は、弁護士に相談・依頼することをご検討ください。

また、裁判所による解決手続には、仮処分、労働審判手続、訴訟などがありますが、どの方法が良いかは、事案によりますので、ながせ法律事務所にご相談ください。

 

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