【民事訴訟】債権者代位訴訟における訴訟上の和解

2025-02-07

債権者代位訴訟で訴訟上の和解をするにはどうすればよいでしょうか。

 

一 債権者代位訴訟

債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に代位して債務者の権利を行使することができます(民法423条)。

債権者代位訴訟は、債権者が、自己の債権を保全するため、債務者に代位して債務者の第三債務者に対する権利(被代位権利)を行使する訴訟です。

 

債権者代位訴訟では、債権者が原告となり、第三債務者が被告となります。

原告である債権者は法定訴訟担当にあたり、債務者には判決の効力(既判力)が及びます(民事訴訟法115条1項2号)。

平成29年民法改正(令和2年4月1日施行)前は、債権者が債権者代位権を行使したことにより、債務者は被代位権利に対する管理処分権を失い、当事者適格がなくなると解されていました。しかし、改正により、債権者が債権者代位権が行使した場合でも債務者は被代位権利について管理処分権を失わないことになりましたので(民法423条の5)、債務者は第三者に対し権利行使することができます。ただし、債権者代位訴訟開始後に債務者が被代位権利について別訴を提起することは、二重起訴が禁止されていること(民事訴訟法142条)から許されません。そのため、債務者が権利行使をするには、共同訴訟参加や独立当事者参加の形で債権者代位訴訟に参加することになります。

また、債務者の手続保障の観点から、債務者に訴訟に参加する機会を与える必要があるので、債権者は、訴訟提起したときは、遅滞なく、債務者に対し訴訟告知をしなければなりません(民法423条の6)。

 

二 債権者代位訴訟における訴訟上の和解

債権者代位訴訟では、債務者は訴訟に参加しなくても判決の効力が及びますが、債務者の参加なしで訴訟上の和解ができるかどうかは別問題です。

例えば、債権者が、債務者の第三債務者に対する金銭債権を代位行使する訴訟で、第三債務者との間で、減額や分割払い等の和解をして解決ができるかどうかという問題があります。

 

債権者は法定訴訟担当として訴訟を遂行しますが、自身の債権を保全するために債務者の権利を代位行使しているにすぎませんので、債権者が被代位権利の権利実現を目的とする行為や保存行為を超えて被代位権利の譲渡や放棄等の処分行為を内容とする訴訟上の和解をすることはできません。

そのため、債権者代位訴訟では原告(債権者)と被告(第三債務者)の二者だけで訴訟上の和解をすることはできず、債務者が和解手続に参加し、和解の内容に同意することが必要となります。

 

債務者の参加の方法としては、共同訴訟参加等の手続をする以外にも、利害関係人として和解手続に参加することも可能です。

 

ページの上部へ戻る

Copyright(c) 2016 ながせ法律事務所 All Rights Reserved.