【交通事故】給与所得者の休業損害
2015-05-20
一 給与所得者の休業損害
休業損害とは,交通事故による傷害の治療のため,休業し,収入を得ることができなかったことによる損害です。
原則として,1日あたりの収入(基礎収入)に休業日数を乗じて計算します。
計算式:給与所得者の休業損害=1日あたりの基礎収入×休業日数
休業損害立証の資料としては,休業損害証明書や源泉徴収票等があります。
休業損害証明書は,休業したことを証明する書類で,勤務先に作成してもらいます。休業損害証明書には,休業日数や,事故前3か月の給与額等が記載されており,これを基に休業損害を算定するのが通常です。
なお,給与の支払に際しては,所得税や住民税といった税金や社会保険料が控除されますが,休業損害の算定においては,税金や社会保険料は控除しないのが一般的です。
二 休業したことにより賞与の減額等があった場合
休業したことにより賞与の減額・不支給があった場合には,本来支払われるはずであった金額と実際に支払われた金額との差額が損害となり得ます。
また,休業したことにより降格し,収入が減った場合や,昇給,昇格が遅延し,収入が増えなかった場合も,損害となり得ます。
これらの場合,事故との相当因果関係が立証できるかどうかが問題となります。
三 有給休暇を使用した場合
有給休暇を使用した場合,現実の収入の減少はありません。
しかし,有給休暇の使用は,労働者の権利であり,財産的価値があるといえます。
そのため,事故が原因で有給休暇を使用させられた場合には,休業損害が認められます。
四 事故後に退職した場合,事故後に解雇された場合
事故後に退職した場合や事故後に解雇された場合であっても,事故との相当因果関係が認められる範囲で,退職・解雇した後も休業損害が認められます。
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