借家契約にかかわるお金(家賃・敷金・更新料など)
人から建物(一軒家やマンションなど)を借りると,いろいろな名目でお金がかかります。
借家契約にかかわるお金の問題は,トラブルになりやすいので,よく理解しておきましょう。
1 借家契約を締結するとき
(1)権利金
権利金とは,建物を借りるときに賃借人から賃貸人に支払われるものです。
どのような性質があるかは,契約によりますので,契約内容をきちんと確認しましょう。権利金は返還されないのが一般です。
(2)敷金
敷金とは,賃借人の賃料債務などの債務を担保するために,賃借人から賃貸人に差し入れるもので,建物の明渡までに生じた賃借人の債務が充当され,残額について賃借人に返還されます。
(3)礼金
礼金とは,契約してもらうお礼として賃借人から賃貸人に支払われるものです。契約が終了しても返還されません。
(4)保証金
保証金とは,建物を借りるときに賃借人から賃貸人に支払われるものです。契約によって,敷金としての性質,権利金ないし礼金としての性質,更新料としての性質をもつ場合があります。
2 建物を借りている間
(1)家賃(賃料)
家賃とは,建物を使用収益する対価として賃借人から賃貸人に支払われるものです。
(2)管理費・共益費
管理費・共益費とは,建物の共有部分を管理するための費用で,家賃に加えて支払うことが多いです。
(3)修繕費
修繕費とは,賃借人が使用収益することができる状態に維持するために必要な費用です。
建物が古くなったり傷んだりして賃借人の使用に差しつかえる程度になった場合は,原則として賃貸人が修繕費を負担しなければなりません。
3 借家契約を更新するとき
(1)更新料
更新料とは,契約の期間が満了して契約が更新される場合に賃借人から賃貸人に支払われるものです。
借家契約では,更新料を支払う場合がほとんどです。
4 建物を明渡すとき
(1)立退料
立退料とは,賃借人に建物を明渡してもらう場合に,賃貸人から賃借人に支払われるものです。
賃貸人が契約の更新を拒絶する場合や解約を申し入れる場合に正当事由を補完するものとして立退料の支払が行われることがあります(借地借家法28条)。
(2)原状回復費用
原状回復費用とは,借家契約が終了する際に,建物をできるだけ借りた時の状態に戻すために必要な費用です。
賃借人は,通常の使用をしていて汚れたり傷んだりしたものについては原則として負担する必要はありませんが,わざと(故意)または不注意で(過失)汚したり破損したりした場合には,原状回復費用を負担しなければなりません。通常は,敷金と相殺されます。