【離婚】離婚原因(回復の見込みのない強度の精神病)

2015-02-05

話し合いで離婚をすることができなかった場合には,裁判で離婚することになりますが,裁判で離婚するには,民法770条1項の離婚原因がなければなりません。

離婚原因は,不貞行為(1号),悪意の遺棄(2号),3年以上の生死不明(3号),回復の見込みのない強度の精神病(4号),その他婚姻を継続しがたい重大な事由(5号)の5つです。

今回は4号の回復の見込みのない強度の精神病について説明します。

 

1 民法770条1項4号の離婚原因について

民法770条1項4号は,「配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき」を離婚原因としており,配偶者が統合失調症や躁鬱病等の高度の精神病にかかり,回復の見込みのない場合(不治の場合)には離婚をすることができます。

配偶者が回復の見込みのない強度の精神病にかかった場合には,夫婦の精神的な交流ができなくなっており,婚姻関係が破綻しているといえるため,離婚が認められます。

なお,アルコール中毒や薬物中毒については精神病ではないため,民法770条1項4号の離婚原因にはあたりませんが,婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして民法770条1項5号の離婚原因にあたることがあります。

 

2  今後の療養,生活等についての配慮が必要です。

配偶者が不治の精神病にかかった場合に離婚ができるとすると,離婚を求められる配偶者にとって酷な場合があります。

そのため,民法770条1項4号に該当する場合であっても,不治の精神病にかかった配偶者の今後の療養,生活等について具体的な方途を講じられ,ある程度,その方途の見込みがついてない場合には,民法770条2項(同条項は「裁判所は前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても,一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは,離婚の請求を棄却することができる。」と規定しております。)により,請求が棄却されてしまいます。

そのため,離婚が認められるためには,回復の見込みのない強度の精神病にかかった配偶者の治療費や生活費を負担する等,配偶者の今後の療養,生活等に配慮することが必要となります。

 

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