交通事故における損害(死亡事故)

2014-08-11

交通事故において被害者が死亡した場合に発生する主な損害として

①逸失利益

②死亡慰謝料

③葬儀費用

があります。

一般的な場合について簡単に説明します。

 

一 逸失利益

交通事故により亡くなった場合、被害者は収入を得ることができなくなってしまいます。

交通事故により被害者が亡くなったことで、得ることができなくなった利益(「逸失利益」といいます。)は、損害にあたります。

1 逸失利益の計算式

逸失利益の額は、以下の計算式で計算します。

逸失利益=基礎収入額×(1-生活費控除額)×就労可能年数のライプニッツ係数

2 基礎収入額

通常、被害者の事故前の収入や、賃金センサスの平均賃金を基礎として逸失利益を算定します。

例えば、給与所得者の場合、原則として、事故前の収入を基礎収入としますが、収入が平均賃金を下回る場合であっても、平均賃金が得られる蓋然性があれば、平均賃金を基礎収入とすることができます。

また、家事従事者の場合、賃金センサスの産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎収入とするのが通常です。

3 生活費控除率

交通事故により死亡した場合、収入を得られなくなる一方、生活費の負担もなくなります。

そのため、逸失利益の算定にあたっては、生活費の負担分を控除します。

裁判基準では、被害者が家族を支えているか否か、独身か否か等の事情によって、30%から50%の間で控除されるのが通常です。

4 就労可能年齢に対応するライプニッツ係数

(1)原則

就労可能年数は原則として67歳までとされております。

交通事故により死亡した場合、亡くなった時から67歳までの年数、就労できなくなったといえ、逸失利益が発生します。

もっとも、収入は長年にわたって得られる一方、逸失利益は交通事故発生時を基準に算定されることから、逸失利益の算定にあたっては、中間利息を控除する必要があります。

逸失利益の算定にあたって、中間利息の割引率は年5%とされています。また、中間利息の控除の方法として、ライプニッツ方式が用いられております。

(2)平均余命の2分の1とする場合

就労可能な年齢を67歳までとすると、67歳以上の高齢者には逸失利益がないことになるのではないかと思われますが、その場合には平均余命の2分の1の期間について逸失利益を算定します。

また、67歳未満であっても、事故当時の平均余命の2分の1に当たる年数が67歳までの年数より長い場合には、平均余命の2分の1の期間について、逸失利益を算定します。

逸失利益=基礎収入額×(1-生活費控除率)×平均余命の2分の1のライプニッツ係数

 (3)18歳未満の場合

就労可能な年齢は原則として18歳からであると考えられております(ただし、大学卒業を前提とする場合には、大学卒業予定時から就労開始すると考えます。)。

そのため、被害者が18歳未満の場合には、以下の計算式で計算します。

また、基礎収入については、賃金センサスの平均賃金を用いるのが通常です。

逸失利益=平均賃金×(1-生活費控除額)×(事故時の年齢から67歳までのライプニッツ係数-18歳までのライプニッツ係数)

4計算例

年収400万円の給与所得者の男性(事故時40歳)で独身の場合

基礎収入額                400万円

生活費控除率                 50%

就労可能期間                 27年

27年に対応するライプニッツ係数   14.6430

 

逸失利益

=400万円×(1-0.5)×14.6430

=2928万6000円

 

二 死亡慰謝料

被害者本人の慰謝料のほか、被害者の遺族固有の慰謝料も損害として認められます(民法710条、711条)。

自賠責基準では、死亡した被害者本人の慰謝料を350万円とし、遺族(被害者の父母、配偶者、子)がいる場合、1人なら550万円、2人なら650万円、3人以上なら750万円とし、被害者に被扶養者がいる場合は200万円を加算されます。

これに対し、裁判基準(「赤い本」の基準)では、

一家の支柱の場合    2800万円

母親、配偶者の場合   2400万円 

            赤い本平成28年版より2500万円

その他の場合      2000万円から2200万円

                    赤い本平成28年版より2500万円

が、本人及び遺族合わせての慰謝料の目安とされていますが、具体的な事情(被害者の年齢、加害行為の悪質性等)により金額は異なります。

 

三 葬儀費用

自賠責基準では、原則60万円とし、これを超えることが明らかな場合には100万円の範囲内で必要かつ妥当な実費が認められます。

これに対し、裁判基準では、原則として150万円(ただし、実際に支出した金額が150万円を下回る場合には、実際に支出した金額)が、損害として認められます。事案によりそれ以上の金額が認められることもあります。

なお、葬儀費用以外に、仏壇や墓の購入費用等を損害と認めた裁判例もあります。

 

 

 

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