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弁護士との法律相談を充実したものにするために

2017-05-30

法律相談では,弁護士は,お客様からのお話やお持ちいただいた資料をもとに,①事案を整理して,②どのような法律上の問題点があり,③どのように対応すればよいかアドバイスします。

弁護士と法律相談を充実したものにするためには,以下の点に注意しましょう。

 

1 資料を準備する

法律相談では,弁護士は相談者から話しを聞いたり,相談者が持参した資料をみたりした上で,法的なアドバイスをします。

事実経過についてメモしたものや契約書等の資料を法律相談の場に持参していただければ,弁護士は事案を正確に把握することができ,より的確なアドバイスをすることができます。

何の資料も用意せず,抽象的な話しかできなかった場合には,弁護士は,一般論でのアドバイスしかできなかったり,どういった事案か理解できず,正確なアドバイスができなかったりすることがあります。

 

また,法律相談の時間が限られている場合,弁護士に事案を説明するだけで法律相談の時間が終わってしまうこともありますし,有料法律相談の場合には時間が長くなれば相談料も増えてしまいますので,資料を用意して説明の時間を短縮することは,時間や費用の点でも意味があります。

 

2 できる限り正確に事実を伝える

弁護士は,相談者から聞いた話をもとにアドバイスします。相談者から聞いた事実が正確でない場合には,弁護士のアドバイスも不正確になるおそれがありますので,できる限り正確に事実をお伝えください。

不利な事実がある場合,その事実を弁護士に伝えるべきかどうか悩まれるかもしれませんが,不利な事実を隠して不正確なアドバイスを受けても,相談者にとって意味はないでしょう。不利な事実があっても,対応の仕方によっては何とかなる場合がありますので対応を誤らないようにするためにも,弁護士には,有利な事実だけでなく,不利な事実も伝えたほうがよいです。

また,恥ずかしい等の理由で話しにくいこともあるかもしれませんが,弁護士は,職業柄,人には話しにくいことを聞くことに慣れておりますし,守秘義務を負いますので,安心して話してください。

 

3 法律相談の時間は十分にとる

最近は,30分以内であれば法律相談料は無料とする法律事務所が増えています。

手続の説明を受けるだけの場合やシンプルな事案であれば30分以内の法律相談でも足りるかもしれません。

しかし,多少なりとも事案が複雑な場合には,相談者の話を聞いているだけで法律相談が終わってしまうことがありますし,一般的なアドバイスしかしてもらえず,事案に即した具体的なアドバイスがもらえないことがあります。また,一見すると難しい事案であっても,相談者から時間をかけて話を聴けば,いい解決法が見えてくるくることがあるかもしれません。

細かいことは弁護士に依頼してから話せばよいので,法律相談の時間を短くして法律相談料を安くしたいという考えもあるかもしれませんが,検討が不十分な段階で依頼をしてしまうと,後で思っていたのと違うということもあります。弁護士に依頼しようと考えている場合であっても,十分な時間法律相談を受けて,納得してから依頼したほうがよいでしょう。

 

また,資料が足りない場合や法律や判例の調査が必要な場合には法律相談が1回では終わらず,相談者に資料を用意してもらったり,弁護士が法律や判例を調査したりしてから再度,法律相談を行うこともあります。

 

4 当事者本人が法律相談に行く

当事者本人ではなく,家族等本人以外の方が法律相談に来られることもありますが,本人でなければ分からないことが多いですし,本人が何を望んでいるのかよく分からないため,適切なアドバイスができないことがあります。

例えば,子の離婚問題について親が心配して法律相談に来ることがありますが,離婚原因や夫婦の財産が実際のところどうなのかは当事者本人でなければ分からないですし,親が離婚を望んでいても,本人が離婚を望んでいないこともありますので,本人から話をきかなければどうにもなりません。

やむを得ない場合もあるでしょうが,できる限り当事者本人が法律相談に行ったほうがよいです。

 

家事事件の手続の流れと分類

2016-11-29

家事事件の手続には,調停,審判,訴訟がありますが,事件の種類によって,とられる手続に違いがあります。

どのような手続をとるのかによって,対応の仕方が違ってきますので,どの事件について,どのような手続がとられるのか意識して対応する必要があります。

 

一 家事事件の手続

1 家事審判手続

家事審判手続は,家庭裁判所が本案について終局的な判断をする裁判ですが,裁判所が後見的に関与する非訟手続です。

家事審判手続には,家事審判の申立てまたは職権により手続が開始する場合と,調停から審判に移行して手続が開始する場合があります。

なお,家事審判には合意に相当する審判(家事事件手続法277条)や調停に代わる審判(家事事件手続法284条)のように調停手続の中で行われるものもあります。

 

2 家事調停手続

調停は,当事者の合意を基礎とする自主的な紛争解決手続であり,家庭に関する事件で家庭裁判所で手続をするものを家事調停といいます。

家事調停手続には,家事調停の申立てによって開始する場合と,審判手続または訴訟手続から調停手続に付されて開始する場合があります。

 

3 訴訟手続

家事事件の訴訟手続には,人事訴訟手続と民事訴訟手続があります。

(1)人事訴訟手続

人事訴訟は,婚姻の取消しの訴え,離婚の訴え,認知の訴え等,身分関係の形成または存否の確認を目的とする訴えに係る訴訟であり(人事訴訟法2条),家庭裁判所が管轄裁判所となります(人事訴訟法4条)。

人事訴訟手続では,弁論主義が制限され(人事訴訟法19条),職権探知主義がとられたり(人事訴訟法20条),判決が第三者に対しても効力を有する(対世効。人事訴訟法24条1項)等,民事訴訟手続とは様々な違いがあります。

(2)民事訴訟手続

不貞行為の慰謝料請求訴訟や,遺留分減殺請求,遺産の範囲の確認,遺言無効確認等の遺産分割に関連する訴訟は,民事訴訟であり,地方裁判所または簡易裁判所が管轄裁判所となります。

ただし,離婚の慰謝料請求のように人事訴訟と関連する損害賠償請求については,人事訴訟と併合して家庭裁判所で審理を行うこともできます(人事訴訟法8条,17条)。

 

二 家事事件の分類

家事事件を手続により分類すると,

Ⅰ 審判のみで,調停はしない事件(家事事件手続法別表第一の事件)

Ⅱ 調停をする事件

ⅰ 調停が不成立となると審判に移行する事件(家事事件手続法別表第二の事件)

ⅱ 人事訴訟を提起することができる事件

①合意に相当する審判をすることができる事件(特殊調停事件)

②それ以外の事件(離婚,離縁事件。一般調停事件)

ⅲ 民事訴訟を提起することができる事件(一般調停事件)

ⅳ 調停のみの事件(その他の家庭に関する事件。一般調停事件)

があります。

 

1 審判のみで調停はしない事件

成年後見,保佐,補助,任意後見,特別養子縁組の成立・離縁,相続放棄の申述受理,遺言書の検認等,家事事件手続法別表第一に掲げる事項についての事件は,公益性が比較的高く,当事者の意思で処分することができない権利や利益に関する事項についての事件であるため,当事者の意思(調停)ではなく,裁判所の判断(審判)で解決すべきであることから,審判手続のみ行い,調停手続は行いません。

そのため,別表第一に掲げる事項についての事件は,家事審判の申立てをして,審判手続を開始させ,審判により解決します。

 

2 調停をする事件

(1)調停が不成立になった場合に審判に移行する事件(家事事件手続法別表第二の事件)

婚姻費用分担,子の監護に関する処分,財産分与,親権者の指定・変更,遺産分割等,家事事件手続法別表第二に掲げる事項についての事件は,公益性が比較的低く,当事者の意思で処分することができる権利や利益に関する事項についての事件であるため,当事者の意思(調停)で解決することができます。

調停と審判どちらの手続をするか当事者が選択することができますが,当事者が家事審判の申立てをした場合,裁判所は調停に付すことができ(家事事件手続法274条),調停に付したときは,調停事件が終了するまで,審判手続を中止することができますので(家事事件手続法275条2項),まず調停をし,調停で解決を図るのが通常です。

調停が不成立となった場合には,審判手続に移行し(家事事件手続法272条4項),裁判所の審判で解決されます。

 

(2)人事訴訟を提起することができる事件

①合意に相当する審判をする事件(特殊調停事件)

人事訴訟とは,婚姻の取消しの訴え,離婚の訴え,認知の訴え等,身分関係の形成または存否の確認を目的とする訴えに係る訴訟をいいます(人事訴訟法2条)。

このうち,離婚,離縁を除く,人事訴訟をすることができる事項についての事件(婚姻の無効・取消し,離婚の無効・取消し,養子縁組の無効・取消し,離縁の無効・取消し,認知,認知の無効・取消し,嫡出否認,親子関係不存在確認等)については,公益性が強く,当事者の意思だけで解決することはできませんが,当事者に争いがない場合には,簡易な手続で処理することが望ましいといえます。

そのため,まず調停手続を行い(調停前置主義。家事事件手続法257条1項),当事者間に申立ての趣旨とおりの審判を受けることについて合意が成立し,原因事実について争いがない場合には,家庭裁判所は,事実の調査をした上,合意が正当と認めるときに,合意に相当する審判をします(家事事件手続法277条1項)。

調停不成立の場合や,合意に相当する審判による解決ができなかった場合には,当事者は,人事訴訟を提起して解決を図ることができます。

 

②離婚事件,離縁事件

離婚や離縁(特別養子縁組の離縁は除きます。)は当事者の意思ですることができるため,調停で離婚や離縁をすることができます。

そのため,まず調停による解決を図ります(調停前置主義。家事事件手続法257条)。

調停による解決ができず,調停が不成立となった場合,離婚や離縁をしたい当事者は,人事訴訟を提起して解決を図ることができます。

 

(3)民事訴訟を提起することができる事件

不貞行為の慰謝料請求事件や遺留分減殺請求事件等,民事訴訟を提起することができる事件であっても,家庭に関する事件については,まず調停による解決を図ります(調停前置主義。家事事件手続法257条)。

調停が不成立になった場合には,当事者は,地方裁判所または簡易裁判所に民事訴訟を提起して解決を図ることができます。

 

(4)調停のみの事件

夫婦関係調整(円満)調停事件等,当事者が任意の行為に期待するしかない事項を目的とする事件は,調停手続のみ行います。

調停が不成立になっても,審判に移行しませんし,訴訟を提起することはできません。

三 まとめ

以上のように,家事事件には,①審判だけで調停はしないもの,②調停が不成立になったら審判に移行するもの,③調停が不成立になっても,審判には移行しないが,人事訴訟や民事訴訟で解決を図ることができるもの,④調停しかできないものがあります。

①については,裁判所が申立てを認めるかどうかが問題となりますし,②や③については,調停が不成立になった場合に審判や訴訟になることを念頭に置いて調停に臨む必要がありますし,④については,調停が不成立になったら何もできないことを念頭に置いて調停に臨む必要があります。

【法律相談】弁護士の守秘義務

2015-05-07

1 弁護士には守秘義務がありますので,安心してご相談ください

法律相談のご予約の際,相談者の氏名や連絡先,相手方等関係者の氏名や,事案の概要をお聞かせいただいております。

また,法律相談の際には,契約書等の関係資料をお見せいただいております。

弁護士に相談する内容はプライバシーに関わるものですので,ご自身や相手方の情報を開示することや,契約書等の資料を見せることを躊躇される方も少なくありません。

しかし, 弁護士は,以下のように,守秘義務を負っておりますので,安心してご相談ください。

 

2 利益相反の有無を確認する必要があります

例えば,弁護士が相手方の相談を受けている場合,相手方から事件を受任している場合等利益相反にあたる場合には,弁護士は原則として職務を行うことはできません(弁護士法25条,弁護士職務基本規程27条,28条)。

弁護士が利益相反する事件について職務を行うことは,相談者や依頼者の利益を害するおそれがありますし,弁護士の職務執行の公正の確保,弁護士の品位と信用の確保の観点から問題があるからです。

そのため,法律相談を受ける際には,利益相反がないかどうかを確認するために,当事者や関係者の氏名などをお聞きかせいただいております。

 

3 法律相談で適切なアドバイスをするためには,正確な情報が必要です

法律問題は事案によって千差万別であり,具体的な事実や証拠の有無によって異なるため,一般論では,適切なアドバイスにならないことが通常です。

例えば,離婚の法律相談では,相談者から離婚できるかどうか聞かれますが,具体的な事実やどのような証拠があるのか分からなければ,大まかな見通しをつけることさえできません。

そのため,事実を正確に把握し,できる限り適切なアドバイスをさせていただくため,相談者の方には,具体的な事情をお話ししていただくと共に,契約書などの重要な書類や,手紙やメールなどの資料がある場合には,それらをお見せいただいております。

 

4 弁護士の守秘義務

弁護士法23条は「弁護士又は弁護士であった者は,その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し,義務を負う。但し,法律に別段の定めがある場合は,この限りではない。」と規定しており,弁護士は職務上知り得た秘密を保持する権利を有し,義務を負います。

また,日本弁護士連合会が定める弁護士職務基本規程23条は,「弁護士は,正当な理由なく,依頼者について職務上知り得た秘密を他に漏らし,又は利用してはならない。」と規定しており,弁護士は依頼者について職務上知り得た秘密を他に漏らすことが禁じられているのみならず,これを利用することも禁じられております。

このように,弁護士には守秘義務がありますので,安心してご相談ください。

取扱業務案内 内容証明郵便の作成

2014-06-12

1 内容証明郵便とは

内容証明郵便は、郵便局が手紙の発送日と記載内容を証明してくれる制度です。普通郵便ですと、後日記載内容について争いになってしまうおそれがあるからです。相手に到達した日にちを証明してもらいたい場合には、配達証明を利用することになります。

内容証明と配達証明によって、文書の記載内容、発送日、到達日についての争いを防止することができます。

 

2 内容証明郵便を利用するケース

内容証明郵便は、通常、法的な争いがありお互いの権利関係をはっきりさせたいときに利用されます。また、意思表示をすることが法律上の要件になっているケースでは、内容証明郵便を利用することが一般的です。内容証明で意思表示をすると、後で訴訟等になったときに重要な証拠になるからです。

例えば、遺留分減殺請求をする場合、家賃滞納を理由に契約の解除をする場合、債権の消滅時効の完成を防ぐために債務履行請求をする場合などがあります。

 

3 内容証明郵便の出し方

内容証明郵便を出す場合は、内容証明を取り扱っている郵便局に行き、同じ内容の文書3通(受取人が1人の場合)と封筒を提出して郵送してもらいます。

また、インターネットを通じて郵便局が24時間受付を行うサービスを利用することもできます。電子内容証明郵便の制度です。この制度を利用すると、より手軽に内容証明を出すことができますが、予め登録を行う必要があります。

 

4 弁護士に依頼したほうがいいケース

内容証明の書き方には予め決められた形式があります。この形式に従ったものであれば、どなたでも出すことができます。

ただし、内容証明郵便は相手方にかなりのインパクトを与えるものですし、その後の交渉や訴訟に重要な影響を与える文書です。そのため、事案をきちんと分析し後々のことも見越した上で、どのような内容を記載すべきか、弁護士名で出すべきかなどを検討する必要があります。

ですから、内容証明でトラブルを未然に防止したい場合、交渉の際に相手にスキを与えないような内容証明を作成したい場合、訴訟の際に意思表示があったことを確実に証明できるような内容証明を作成したい場合など、効果的な内容証明を作成したい方は弁護士に相談することをおすすめいたします。

内容証明の作成をお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

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