財産分与

2014-09-26

離婚に際して、当事者の関心が高いのは、財産分与です。

財産分与を請求する側(請求者)としては、どれだけ分与を受けることができるのか

財産分与を請求される側(義務者)としては、どれだけ分与しなければならないのか

気になることでしょう。

そこで、これから財産分与について簡単に説明します。

 

一 財産分与請求権

民法768条1項「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。」、2項本文「前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に変わる処分を請求することができる。」と規定しており、離婚をした夫婦の一方は他方に対して財産分与請求をすることができます。

二 財産分与の内容

1 財産分与の三つの要素

民法768条3項は「前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。」と規定しておりますが、具体的には、財産分与において考慮される要素として、①清算的要素、②扶養的要素、③慰謝料的要素があります。

このうち、①清算的要素が財産分与の中心です。

2 清算的要素

夫婦が婚姻中に築いた財産を清算することです。

(1)財産分与の対象となる財産

夫婦が婚姻中に取得した共有財産や、一方の単独名義であっても実質的には共有といえる財産は財産分与の対象となります。

これに対し、夫婦が婚姻前から有していた財産や相続により取得した財産は、特有財産として、財産分与の対象とならないのが原則です。

(2)いつの時点の財産を分与するのか

夫婦が別居した以降は、夫婦が協力して財産を形成したとはいえません。

そのため、別居時点の財産が分与の対象となるのが、原則です。

ただし、別居後についても、過去の婚姻費用や養育費が財産分与において清算の対象となることはあります。

(3)財産の評価

財産分与は、金銭の支払で行われる場合が多く、その場合には、財産をいつの時点で評価するのか問題となりますが、その場合には、離婚時点で評価するのが原則です。

(4)分与の割合

夫婦は財産の形成につき、同程度の貢献をしたとみて、特段の事情がない限り2分の1とされています。

そのため、清算的財産分与については、原則として以下のように計算します。

 

清算的財産分与の額=(請求者の財産+義務者の財産)÷2-請求者の財産

 

3 扶養的要素

高齢である、病気がある等扶養が必要な状態であり、清算的財産分与や慰謝料だけでは、離婚後の生活保持が困難な場合に、補充的に考慮されることがあります。

扶養的財産分与については、①請求者が要扶養状態にあること、②義務者に扶養能力があることが要件となります。

4 慰謝料的要素

財産分与において、慰謝料的な要素を考慮することもあります。

もっとも、離婚に際して、財産分与とは別個に、慰謝料請求をすることもできますので、両方請求している場合には、財産分与に慰謝料的な要素を考慮した場合には、その分慰謝料額を少なくする、十分な慰謝料額を認定した場合には財産分与において慰謝料的要素を考慮しない等、調整されます。

 

三 財産分与の請求方法

1 協議

民法768条1項は、「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。」と規定しており、離婚に際して、夫婦の一方は他方に対し、財産分与請求をすることができ、協議の上、財産分与の取り決めをすることができます。

2 調停・審判

財産の分与について、当事者間で協議して取り決めることができないときは、当事者は、家庭裁判所に、財産分与の調停又は審判を申し立て、財産分与の請求をすることもできます(民法768条2項)。

3 離婚訴訟の附帯処分

離婚訴訟の附帯処分として財産分与を請求することができます(人事訴訟法32条1項)。

 

四 財産分与請求ができる期間

離婚の時から2年を経過すると、財産分与請求ができなくなりますので(民法768条2項但書)、ご注意ください。

 

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