借地契約にかかわるお金(地代・承諾料・立退料など)

2017-06-26

人の土地を借りると,いろいろな名目でお金がかかります。借地契約にかかわるお金の問題は,金額が大きくなることが多く,トラブルになりやすいので,よく理解しておきましょう。

 

1 借地契約を締結するとき

(1)権利金

権利金とは,土地を借りるときに借地人から地主に支払われるものです。

返還されないことが一般的ですが,どのような性質があるかは,契約によりますので,契約内容をきちんと確認しましょう。

(2)敷金

敷金とは,賃借人の賃料債務などの債務を担保するために,賃借人から賃貸人に差し入れるもので,土地の明渡までに生じた賃借人の債務が充当され,残額について賃借人に返還されます。

(3)礼金

礼金とは,契約してもらうお礼として借地人から地主に支払われるものです。契約が終了しても返還されません。

(4)保証金

保証金とは,土地を借りるときに借地人から地主に支払われるもので,契約によって,敷金としての性質,権利金ないし礼金としての性質,更新料としての性質をもつ場合があります。

 

2 土地を借りている間

(1)地代

地代とは,土地を使用収益する対価として借地人から地主に支払われるものです。

租税公課の増減,地価の上昇・低下その他の経済状況の変動により地代が不相当になった場合や,近隣類似の土地の地代に比較して地代が不相当になった場合には,地代の増減請求をすることができます(借地借家法11条)。

(2)修繕費

修繕費とは,借地人が使用収益することができる状態に維持するために必要な費用です。

地盤が緩むなどして借地人の使用に差しつかえる程度になった場合は,原則として地主が修繕費を負担しなければなりません。

(3)承諾料

承諾料とは,借地人が借地契約で禁止されていることを地主に承諾してもらう見返りとして支払うものです。

借地条件の変更の許可(借地借家法17条),借地上の建物の増改築の許可(借地借家法17条),借地契約更新後の建物の再築の許可(借地借家法18条),借地権の譲渡又は転貸の許可(借地借家法19条)等地主の許可が必要な場合に支払われます。

(4)更新料

更新料とは,契約の期間が満了して契約が更新される場合に借地人から地主に支払われるものです。

更新料の支払いが契約で定められていなければ,支払う必要がないと考えられています。

 

3 借地契約を終了するとき

(1)立退料

立退料とは,借地人に土地を立退いてもらう場合に,地主から借地人に支払われるものです。

地主が建物の所有を目的とする借地契約の更新を拒絶するには,地主自身が土地を使用することを必要とする事情のほか正当の事由ある場合でなければなりません(借地借家法6条)。正当事由を補完する要素として,立退料が支払われることがあります。

(2)建物買取請求権行使による買取代金

建物の所有を目的とする借地契約の契約期間が満了して契約の更新がない場合,借地人が地主に対して借地上の建物等を買い取ることを請求できる権利のことを,建物買取請求権といいます(借地借家法13条)。第三者が借地上の建物等を取得し地主が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しない場合は,その第三者が地主に対して建物買取請求をすることができます(借地借家法14条)。

建物買取請求権を行使すると,借地人ないし第三者と地主との間に建物等の売買契約が成立したのと同様の効果が発生し,その借地人ないし第三者は,地主に対して,建物等の売買代金請求権を取得することになります。

この代金額は,借地上の建物等の時価であるとされています。

 

 

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