交通事故における損害(傷害)

2014-08-26

交通事故により傷害を負った場合の主な損害項目について、簡単に説明します。

なお、後遺症がある場合の損害項目(後遺症逸失利益,後遺症慰謝料)については、交通事故における損害(後遺症)をご覧ください。

 

一 積極損害

1 治療関係費

(1)治療費

治療費については、必要かつ相当な実費全額が損害として認められます。

ただし、必要性、相当性を欠く場合には、過剰診療、高額診療として損害と認められない場合があります。

(2)鍼灸、マッサージ費用、器具薬品代、温泉治療費等

医師の指示がある場合など、治療のため必要かつ相当な場合には、損害として認められます。

2 付添費

(1)入院付添費

医師の指示がある場合や傷害の程度、被害者の年齢等の事情により、入院中に付添の必要がある場合には損害と認められます。

(2)通院付添費

被害者が幼児の場合等、通院に付き添う必要がある場合には、損害と認められます。

(3)自宅付添費

自宅での看護が必要な場合には、症状固定時までの自宅付添費用も損害となります。

3 将来介護費

重度の後遺障害があり、将来にわたって介護が必要な場合には、介護費用が損害として認められます。

4 入院雑費

入院したときには様々な雑費がかかりますが、少額で計算が煩雑なため、定額で計算するのが一般的です。

「赤い本」の基準では入院1日につき1500円として計算します。

5 通院交通費

通院のための交通費も損害として認められます。

タクシー利用が相当な場合にはタクシー代も損害として認められますが、それ以外の場合は、電車、バスの料金を損害とするのが一般的です。

また、自家用車を利用した場合は実費相当額(ガソリン代、駐車場代等)が損害となります。

6 装具・器具等の購入費

必要があれば損害として認められます。

また、交換の必要がある場合には、将来の費用も損害として認められます。

7 家屋・自動車等改造費、調度品購入費

傷害の内容、後遺症の程度等から必要性があれば、損害として認められます。

 

二 消極損害

1 休業損害

交通事故により休業した場合には、休業したことにより得られなかった収入が損害となります。

なお、家事従事者の場合、賃金センサスの産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎として、家事ができなかった期間について休業損害が認められます。

2 後遺症逸失利益

後遺症逸失利益とは、後遺症により労働能力を喪失し収入が減少したことによる損害です。

三 慰謝料

1 傷害慰謝料(入通院慰謝料)

交通事故により傷害を負った場合、被害者が被った精神的苦痛について、慰謝料を請求することができます。

慰謝料額は、入院期間・通院期間に基づいて算定され、「赤い本」の基準では、別表Ⅰと別表Ⅱ(むち打ち症で他覚症状のない場合)を使用して、慰謝料額を算定します。

2 後遺症慰謝料

後遺症慰謝料とは、後遺症が残存したことによる精神的苦痛についての慰謝料です。

 

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