【離婚】面会交流(面接交渉)

2015-06-26

一 面会交流(面接交渉)とは

面会交流(面接交渉)とは,別居中または離婚後に,子を養育・監護していない親(非監護親)が子と会ったり,手紙で文通したり,電話で話したりする等して交流することをいいます(離婚後の面会交流については,民法766条が規定しております。別居中の面会交流については民法766条が類推適用されると解されております。)。

面会交流は,非監護親の権利と考えられていますが,民法766条1項が,面会交流について定める際には,子の利益を最も優先して考慮しなければならないと規定しているように,面会交流については子の利益を第一に考えなければなりません。

 

二 面会交流の取決めをする手続

面会交流をするにあたっては,回数・頻度,日時,場所,方法等を決める必要があります。以下の手続があります。

 

1 協議

父又は母と子との面会及びその他の交流について,協議で定めることができます(民法766条1項)。

2 調停,審判

面会交流について,協議が調わないとき,または協議ができないときは,家庭裁判所が定めます(民法766条2項)。

そのため,非監護親は,面会交流を求め,家庭裁判所に調停や審判の申立てをすることができます。

3 離婚訴訟の附帯処分

離婚訴訟を提起する際,離婚訴訟の附帯処分として,面会交流を求めることも考えられます。

もっとも,非監護親としては,面会交流よりも,まず自分が親権者と指定されることを求めるでしょうから,訴え提起の段階で,附帯処分として面会交流を求めることは余りないでしょう。

 

三 面会交流が制限される場合

面会交流について定める際には,子の利益を最も優先して考慮しなければならないため(同条1項),子の福祉に反する場合には面会交流が制限されることがあります。

子の福祉に反する場合としては,非監護親が子を虐待するおそれがある場合,非監護親が子を連れ去るおそれがある場合,非監護親が監護親に対し暴力を振るっていたような場合(ドメスティック・バイオレンス(DV)事案)が考えられます。

これに対し,非監護親が養育費を支払わない場合については,面会交流が子の福祉に反するわけではないので,面会交流が制限されることにはならないでしょう。

また,監護親が再婚する場合であっても,面会交流が制限されるわけではありませんが,再婚家庭との関係を考慮する必要はあるでしょう。

また,面会交流が制限される場合であっても,全面的に制限するだけではなく,面会交流の回数や時間を減らす,手紙や電話で間接的に交流させる,第三者を立ち会わせる等の制限も考えられます。

 

四 監護親が面会交流させない場合に取りうる方法

子を養育・監護する親(監護親)が,非監護親に子と面会交流をさせない場合,非監護親としては,以下のような方法をとることが考えられます。

 

1 履行勧告(家事事件手続法289条)

調停や審判で決まった面会交流を監護親が拒否する場合には,非監護親は申出をして,家庭裁判所に履行勧告をしてもらうことが考えられます。

ただし,履行勧告に強制力はありません。

2 強制執行

調停や審判でき待った面会交流を監護親が拒否する場合には,非監護親は強制執行をすることが考えられます。

その際,子を強制的に連れてきて面会させること(直接強制)はできませんが,面会交流の日時や頻度,時間,子の引渡しの方法等が具体的に定められており,監護親の給付内容が特定されている場合には,履行しない監護親に一定額の金銭を支払わせること(間接強制)ができると解されております。

3 損害賠償請求

面会交流させない監護親に対し,不法行為責任に基づく損害賠償請求をすることが考えられます。

4 再度の調停の申立て

再度,調停を申立てて,監護親が面会交流に応じるように面会交流の回数,日時,方法等を決め直すことも考えられます。

 

 

 

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