【離婚】離婚原因(3年以上の生死不明)

2015-01-31

話し合いで離婚をすることができなかった場合には,裁判で離婚することになりますが,裁判で離婚するには,民法770条1項の離婚原因がなければなりません。

離婚原因は,不貞行為(1号),悪意の遺棄(2号),3年以上の生死不明(3号),回復の見込みのない強度の精神病(4号),その他婚姻を継続しがたい重大な事由(5号)の5つです。

今回は3号の「3年以上の生死不明」について説明します。

 

1 「3年以上の生死不明」とは

「3年以上の生死不明」とは,生存の証明も死亡の証明もできない状態が3年以上続くことをいいます。

単なる行方不明は,生死不明にはあたりません。

生死不明になった理由は問われませんし,生死不明になったことについて過失があるかどうかも問われません。

なお,生死不明の状態が3年未満の場合や,行方不明の場合にも,民法770条1項5号の婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして,離婚請求をすることは可能です。

 

2 失踪宣告との違い

配偶者が生死不明の場合に,婚姻を解消する方法としては,失踪宣告による方法もあります。

①不在者の生死が7年間明らかでない場合(普通失踪)

②戦地に臨んだ者,沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が,それぞれ,戦争が止んだ後,船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないとき(特別失踪)

は,利害関係人の請求により,家庭裁判所は,失踪宣告をすることができます(民法30条)。

失踪宣告がなされた場合,普通失踪の場合は期間が満了したとき,特別失踪の場合は危難が去ったときに,死亡したものとみなされ(民法31条),婚姻関係は終了します。

もっとも,失踪者の生存が後に判明し,失踪宣告が取り消されることがあり(民法32条),その場合には,婚姻関係が復活します。失踪宣告後,再婚した場合,失踪宣告が取り消されると重婚状態になってしまうので注意が必要です。

そのため,失踪宣告手続と,民法770条による離婚請求のどちらの手続をするか考える必要があります。

 

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